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本編
全力逃走
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今日は体育も美術もなく、柿本と一緒の授業はない。
今顔を合わせても、どうせ逃げちゃうだろうし安心する。
そして俺は今全力で走っている。
何かに追われてるかのように走る俺を見て周りはぎょっとしているけど。
俺が走っているのには理由がある。
行く先々で会うのだ。柿本と真辺に。
「楠野!ちょっと……」
「よう、柿本!俺ちょっと急いでるんだよね!じゃあね!」
全力疾走。
「あれ、楠野。ふふ、ねぇ……」
「ごめんね、真辺!俺今止まれないんだよね!!」
全力疾走。
と、いう感じだ。いい加減しんどい。
唯一の救いは、柿本に会っても機械音声が反応しないことだ。
ここで自動モードになってしまったら自分の意思関係なしに柿本に話しかけてしまう。
放課後になり、帰り支度を済ませる。前の席の柿本に話しかけられない内にそそくさと教室を出た。
明日以降も柿本と会うのは気まずいが、真辺の様子がおかしいのが分からない。
真辺とできる限り距離を置こう。話しかけられないように全力で逃げる!
突如、腕を掴まれて空き教室へと連れ込まれた。
「うわぁ?!」
ばっと上を見るとにやりと笑った真辺がいる。
早々に、会ってしまったぁー!!!!
「な、何?真辺……」
「ねぇ、今日俺の事避けてるでしょ?」
「そ、そうか?」
「面白いから良いけどね。」
「お、面白い?」
「あぁ、柿本避けてるのも面白かったよ?」
「えっと……」
「まぁ、柿本と顔合わせずらいのは分かるけどね?」
「へ?」
分かる?な、何で?だってあのことは俺と柿本しか知らないはず、だし。
ぽかんと口を開けて真辺を見上げる。
真辺はさらに口角を上げて笑った。
「いやぁ、俺見ちゃったんだよね。ほら一緒に勉強した日あったじゃん?」
ドクンドクンと心臓から音が聞こえる。
「俺用事あったんだけど、つっても友達との約束だけど、校門前で確認したらドタキャンされててさー。」
「……。」
「それなら一緒に帰ろうと思って待ってたら、待てと暮らせど出てこないし。それでね、俺見に行っちゃったんだよね。」
「見に、行った……」
「うん、そしたらびっくり!教室から楠野が真っ赤になって目をうるませて走ってくるし、若干服乱れてるし?教室の中は顔真っ赤にさせた柿本がいるし。」
「見られてた……」
顔が熱くなって真っ赤に染まっていく。きっと首や耳だって真っ赤だ。
「ね、楠野って可愛いね?」
「ちょっ、やめ……」
真辺が距離を詰めてくる。
正直恥ずかしさでそれどころではないが真辺から漂ってくる妖しい雰囲気に呑まれないようにもがく。
ガラリとドアが開いた。
ビクッとしてドアを見る。
そこには剣呑な光を目に宿らせた柿本がいた。
「おい、真辺、こいつに触んな。」
「なんで?」
こんな時でも真辺は楽しそうだ。
「チッ!いいから!」
おおぉ、イケメンの舌打ちは怖いな……。
柿本が俺の腕を掴んで引っ張っていく。
え、柿本さん?どこに連れていくの?
今顔を合わせても、どうせ逃げちゃうだろうし安心する。
そして俺は今全力で走っている。
何かに追われてるかのように走る俺を見て周りはぎょっとしているけど。
俺が走っているのには理由がある。
行く先々で会うのだ。柿本と真辺に。
「楠野!ちょっと……」
「よう、柿本!俺ちょっと急いでるんだよね!じゃあね!」
全力疾走。
「あれ、楠野。ふふ、ねぇ……」
「ごめんね、真辺!俺今止まれないんだよね!!」
全力疾走。
と、いう感じだ。いい加減しんどい。
唯一の救いは、柿本に会っても機械音声が反応しないことだ。
ここで自動モードになってしまったら自分の意思関係なしに柿本に話しかけてしまう。
放課後になり、帰り支度を済ませる。前の席の柿本に話しかけられない内にそそくさと教室を出た。
明日以降も柿本と会うのは気まずいが、真辺の様子がおかしいのが分からない。
真辺とできる限り距離を置こう。話しかけられないように全力で逃げる!
突如、腕を掴まれて空き教室へと連れ込まれた。
「うわぁ?!」
ばっと上を見るとにやりと笑った真辺がいる。
早々に、会ってしまったぁー!!!!
「な、何?真辺……」
「ねぇ、今日俺の事避けてるでしょ?」
「そ、そうか?」
「面白いから良いけどね。」
「お、面白い?」
「あぁ、柿本避けてるのも面白かったよ?」
「えっと……」
「まぁ、柿本と顔合わせずらいのは分かるけどね?」
「へ?」
分かる?な、何で?だってあのことは俺と柿本しか知らないはず、だし。
ぽかんと口を開けて真辺を見上げる。
真辺はさらに口角を上げて笑った。
「いやぁ、俺見ちゃったんだよね。ほら一緒に勉強した日あったじゃん?」
ドクンドクンと心臓から音が聞こえる。
「俺用事あったんだけど、つっても友達との約束だけど、校門前で確認したらドタキャンされててさー。」
「……。」
「それなら一緒に帰ろうと思って待ってたら、待てと暮らせど出てこないし。それでね、俺見に行っちゃったんだよね。」
「見に、行った……」
「うん、そしたらびっくり!教室から楠野が真っ赤になって目をうるませて走ってくるし、若干服乱れてるし?教室の中は顔真っ赤にさせた柿本がいるし。」
「見られてた……」
顔が熱くなって真っ赤に染まっていく。きっと首や耳だって真っ赤だ。
「ね、楠野って可愛いね?」
「ちょっ、やめ……」
真辺が距離を詰めてくる。
正直恥ずかしさでそれどころではないが真辺から漂ってくる妖しい雰囲気に呑まれないようにもがく。
ガラリとドアが開いた。
ビクッとしてドアを見る。
そこには剣呑な光を目に宿らせた柿本がいた。
「おい、真辺、こいつに触んな。」
「なんで?」
こんな時でも真辺は楽しそうだ。
「チッ!いいから!」
おおぉ、イケメンの舌打ちは怖いな……。
柿本が俺の腕を掴んで引っ張っていく。
え、柿本さん?どこに連れていくの?
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