獣人の父子家庭に拾われました。

本編

おまじないをかけられました。

翌日、昨日と同じ制服を身にまとい馬車に乗る。昨日と違うところはカルロスではなくてリヒターが馬車に乗っていることだ。今日からリヒターが毎日の送り迎えをしてくれるらしい。

本当はパパが毎日送り迎えしたかったみたいだけどね。

今日の朝、僕を送る気満々だったカルロスは、僕と一緒に起きて一緒に朝食をとったが、そのあとアースに連れていかれてしまった。

カルロスは盛大にごねたが、アースにせっつかれてしぶしぶ仕事に向かった。余裕があるときは送り迎えをしてくれるらしい。

「シーア様、お忘れ物はございませんか？」

「うん！ないよ！」

「わかりました。それでは出発いたしましょう。」

リヒターが御者に声をかけるとそのまま馬車が発進する。屋敷からは30分ほどで魔法学校につくのでそこまで遠いわけでもない。

魔法学校が近づくにつれて、魔法学校の教師や学生に向けて様々なお店が出てきて面白い。変わった生き物や植物がたくさん並べられている。

今度ゆっくり見てみたいなぁ。

「あのね、今日は教室に集合するんだって！だからクラスメートとか担任の先生とかが分かるんだよ！」

「ふふっ、楽しみですね。」

「うん！楽しみ！いっぱい友達ができたらいいなぁ。」

「シーア様ならたくさん友達ができるでしょう。」

僕は昨日と同じように足を揺らしながら胸をわくわくさせていた。

「シーア様、学校に到着したようですよ。教室まではご自身で行けますか？」

「うん！大丈夫だよ！じゃあ行ってくるね！」

「あ、少しお待ちください。シーア様が無事に学校生活を送れるようにおまじないをかけてもよろしいですか？」

「おまじない？」

「はい。それではこちらに来ていただけますか？」

リヒターに呼ばれるまま、リヒターの座っている座席近くまで行くとそのままぎゅっと抱きしめられた。

「わっ！リヒター？」

「はい、これでおまじない完了です。」

「わぁ、ありがとう。なんだか、胸がポカポカしてる。リヒターはすごいね！」

「ありがとうございます。これから毎日おまじないを描けてもよろしいですか？」

「うん！もちろんだよ！リヒターのおかげでもっと頑張れそうな気がする！」

「それは良かったです。それでは気をつけていってらっしゃいませ。」

「うん！行ってきます！！」

校舎を囲うようにある森を抜けたところで馬車を止めてもらい、そこからは一人で歩いていく。周りにはちらちらと新入生たちがいる。

クラス発表は校舎の前に映し出されていた。きっと何かの魔法だろう、空中に浮かぶようにして名前と所属クラスが映されている。