獣人の父子家庭に拾われました。

本編

朝ごはん食べました。

カルロスに抱っこされて食堂へ行く。ちなみに僕が今来ている服はエーヴェンやフォレストが5歳の時に着ていた服のようだ。それでも袖や裾がだぼついているのが恨めしい。

「シーア、シーアの服はまた今度買いに行こうな？」

どうやら身の丈に合わない袖を見ていたことがばれたようだ。

「買いに行くって、街に行けるの？」

「あぁ、呼び寄せることも出来るがシーアは街を見たいだろ？」

「うん！見たい！獣人さんたちがいっぱいいるんだよね？」

「あぁ、シーアはすぐ食べられちゃうかもしれないから気をつけろよ？」

「えぇ！僕、食べられるの?!」

「シーアはとても可愛いからな。ほんとに食べてしまいたいくらい可愛いよ。」

「からかわないでよ。もう。」

「ほんとだぞ？」

「……た、食べないでね？」

「はは、まだな。」

エーヴェンがシーアの肩を掴む。

「シーア、気をつけるんだぞ。父上が手を出してきたら全力で逃げて俺のところに来い。」

「手を出す？」

「おい、エーヴェン。お前だって手を出すなよ？」

そこでフォレストが食堂へ入ってきた。

「どこに行ったのかと思えばもう食堂に来ていたのですね。」

「あぁ、どこかの銀狼が率先して迎えに来たからな。」

「あぁ、なるほど。」

「フォレストお兄ちゃん大丈夫？」

「えぇ、大丈夫です。」

「ん？フォレストは何かあったのか？」

「あのね、朝起きたらフォレストお兄ちゃんがお顔を真っ赤にさせてて、僕が寝ながらしっぽ掴んじゃってたみたいで、痛かったのかなって。」

「ほぅ。そうかそうか。通りでトイレが長いと。」

最後の方はぼそぼそと話したためシーアには聞こえなかったが、獣人のみんなには聞こえたらしい。

「大丈夫？フォレストお兄ちゃん、またお顔赤いよ？」

「……大丈夫です。」

「うん、無理しないでね？」

「……はい。」

そのまま和やかな食事が始まった。朝食は柔らかいふわふわのパンにコーンスープ、温野菜、チーズなど美味しそうなものがたくさん並べられる。

「ん、そういえばエーヴェンお兄ちゃんは今日学校なんですよね？」

「あぁ。俺は16歳で学校の最高学年だから、今日は行かなくては行けない。……寂しいか？」

「……うん。でも、大丈夫だよ！フォレストお兄ちゃんはいるんだよね？」

「えぇ、私はいますよ。」

「よかった！でも、寂しいからエーヴェンお兄ちゃんも早く帰ってきてね？」

「うぐっ、あぁ！最速で帰ってくるよ。」

ちゅっとおでこにキスを落とされる。

「父上、もう時間だから学校に行くな。」

「あぁ、ゆっくりしてきていいぞ？」

「父上も仕事があるだろう？早くしたらどうだ？」

「……そうだな。まぁ、俺は融通がきくからな。」

「はぁ。それでは行ってくる。」

「行ってらっしゃい！エーヴェンお兄ちゃん！」

シーアが声をかけるとエーヴェンの顔が緩んだがすぐに引き締め食堂から出た。