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本編
捨てられました。
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「なんでお前なんか生まれたんだ……。俺たちは普通の子が欲しかったのに……。こんな……。」
「……お、とう、さ……。」
「こっちに来るな!!気持ち悪い!!お前なんか生まれて来なければよかった!!お前のせいで!!俺たちは!!お前なんかいらない子なんだ!!!!」
……僕って、いらない子なんだね。知ってたよ。だって僕は人を不幸にしちゃうんだ。みんな、みんな僕のそばにはいられないんだよね。でも、僕はお父さんたちのこと、大好きだから……
「こっちを見るな!あっちへ行け!!!!」
ガシャーン!
お父さんがランプを落とした。床が燃えてる。
消さなきゃ!!
手のひらから火を消すイメージで水を溢れさせる。パシャパシャと火に注ぎ火を消し止めた。
「ひっ……!!お前なんか化け物だ!もう、もう、出ていってくれ……。」
泣かないで……。お父さん、お母さん。ごめんね。僕が化け物だから。いらない子だから。ごめん、ごめんね。
涙を流しながらそっと、扉を開け出ていく。
「あぁ、シーア、シーア……。ごめんな……。」
後ろからお父さんたちの泣く声が聞こえてくる。3年前、僕が5歳の時のお父さんみたいだった。
僕は5歳まで愛されていた。お父さんもお母さんも僕を愛してくれてた。でも、僕が壊したんだ。僕が、自分で壊した。
家族で出かけた時に火事があったんだ。家が燃えていて、早く消さなきゃって思った。家の中には僕と同じくらいの男の子が助けを求めてた。でも大人たちは無力だったんだ。だから僕が助けた。魔法を使って。僕自身も驚いたんだ。だって家を包むくらいのたくさんの水が僕の手から出てきたの。みんな気の抜けたような顔をしてた。僕は驚いたけど、助けられたことが誇らしかった。
でも、誰も褒めてくれなかった。その時の僕は目が輝いていたと思う。おとぎ話のように魔法を使えたことが嬉しかった。みんなの役にたてたことが。
……ねえ、なんで褒めてくれないの?僕、手から水を出したんだよ?すごいでしょ!褒めてよ……
僕が近づくとじりじりとみんな後ずさりした。親は子を後ろにかばい、僕から守るようにしていた。
「ば、化け物……!」
化け物?なんで?僕、助けたんだよ?お父さん、お母さん、僕凄かったよね……?
僕が見ると、お父さんとお母さんは肩を震わせて目を見開いた。怯えていた。僕に。
それから僕とお父さんたちは化け物扱いをされた。日に日にお父さんたちは弱っていって、僕を見なくなった。僕の家には化け物とか、そういう落書きがいっぱいされてた。僕が村を歩けば子供たちが罵りながら石を投げる。それをみた大人たちが子供たちをかばい僕を怯えた目で見てくる。
まるで、僕に殺されるみたいだった。
それでも、お父さんたちは僕を家には置いてくれた。話さないし、目も合わないけど、寝るところとかはあった。
そんなお父さんたちにも限界が来た。
そりゃそうだよね。僕のせいでお父さんたちは化け物の親になってしまった。……ごめんね。もう出ていくから。生まれてきて、ごめんね。
僕は家を出た。出る直前、お父さんとお母さんを見たら僕に必死に謝っていた。
「ごめんね。シーア、化け物に産んでしまって……。ごめん、シーア……」
僕は泣きそうになったけど、一瞬で冷めてしまった。あぁ、お父さんもお母さんも僕を化け物だと思うんだね。謝ってくれても、僕は化け物ということを否定して欲しかった。せめて、お父さんとお母さんだけは僕を化け物とみないでほしかったなぁ……。
止まってしまったと思った涙が今度は溢れてくる。この涙は止まりそうになかった。
「……お、とう、さ……。」
「こっちに来るな!!気持ち悪い!!お前なんか生まれて来なければよかった!!お前のせいで!!俺たちは!!お前なんかいらない子なんだ!!!!」
……僕って、いらない子なんだね。知ってたよ。だって僕は人を不幸にしちゃうんだ。みんな、みんな僕のそばにはいられないんだよね。でも、僕はお父さんたちのこと、大好きだから……
「こっちを見るな!あっちへ行け!!!!」
ガシャーン!
お父さんがランプを落とした。床が燃えてる。
消さなきゃ!!
手のひらから火を消すイメージで水を溢れさせる。パシャパシャと火に注ぎ火を消し止めた。
「ひっ……!!お前なんか化け物だ!もう、もう、出ていってくれ……。」
泣かないで……。お父さん、お母さん。ごめんね。僕が化け物だから。いらない子だから。ごめん、ごめんね。
涙を流しながらそっと、扉を開け出ていく。
「あぁ、シーア、シーア……。ごめんな……。」
後ろからお父さんたちの泣く声が聞こえてくる。3年前、僕が5歳の時のお父さんみたいだった。
僕は5歳まで愛されていた。お父さんもお母さんも僕を愛してくれてた。でも、僕が壊したんだ。僕が、自分で壊した。
家族で出かけた時に火事があったんだ。家が燃えていて、早く消さなきゃって思った。家の中には僕と同じくらいの男の子が助けを求めてた。でも大人たちは無力だったんだ。だから僕が助けた。魔法を使って。僕自身も驚いたんだ。だって家を包むくらいのたくさんの水が僕の手から出てきたの。みんな気の抜けたような顔をしてた。僕は驚いたけど、助けられたことが誇らしかった。
でも、誰も褒めてくれなかった。その時の僕は目が輝いていたと思う。おとぎ話のように魔法を使えたことが嬉しかった。みんなの役にたてたことが。
……ねえ、なんで褒めてくれないの?僕、手から水を出したんだよ?すごいでしょ!褒めてよ……
僕が近づくとじりじりとみんな後ずさりした。親は子を後ろにかばい、僕から守るようにしていた。
「ば、化け物……!」
化け物?なんで?僕、助けたんだよ?お父さん、お母さん、僕凄かったよね……?
僕が見ると、お父さんとお母さんは肩を震わせて目を見開いた。怯えていた。僕に。
それから僕とお父さんたちは化け物扱いをされた。日に日にお父さんたちは弱っていって、僕を見なくなった。僕の家には化け物とか、そういう落書きがいっぱいされてた。僕が村を歩けば子供たちが罵りながら石を投げる。それをみた大人たちが子供たちをかばい僕を怯えた目で見てくる。
まるで、僕に殺されるみたいだった。
それでも、お父さんたちは僕を家には置いてくれた。話さないし、目も合わないけど、寝るところとかはあった。
そんなお父さんたちにも限界が来た。
そりゃそうだよね。僕のせいでお父さんたちは化け物の親になってしまった。……ごめんね。もう出ていくから。生まれてきて、ごめんね。
僕は家を出た。出る直前、お父さんとお母さんを見たら僕に必死に謝っていた。
「ごめんね。シーア、化け物に産んでしまって……。ごめん、シーア……」
僕は泣きそうになったけど、一瞬で冷めてしまった。あぁ、お父さんもお母さんも僕を化け物だと思うんだね。謝ってくれても、僕は化け物ということを否定して欲しかった。せめて、お父さんとお母さんだけは僕を化け物とみないでほしかったなぁ……。
止まってしまったと思った涙が今度は溢れてくる。この涙は止まりそうになかった。
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