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リチタマ騒動記1 2章 アキュハヴァーラのイージス忍者
十九話 乳母と乳姉妹と乳兄弟と(3)
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【バッファロービル一階 メイド喫茶『百舌鳥亭』一般ご主人様フロア】
指定された十五時の五分前に、ユーシアは入店する。
ユーシアの歓迎会の為に確保された一角には、リップとサラサが各自のチャンネルの為に撮影のカメラを回している。
ユーシアは、リップのカメラマンと化しているエイリンに声を掛ける。
ユーシア「いいのか? 病院に詰めていなくて」
エイリン「夕方まで、コスパの良いバイトに励むぜ。時給二千五百円で、リップが雇ってくれた」
ユーシア「おお、それは良かっ…放送できるのか、これは?」
レリーが、歓迎会のメインテーブルで、脱衣麻雀をして同僚たちを剥いている。
幹事として下準備を終えたレリーは、もう後は他のメイド店員に任せても構わない状況だと悟った瞬間、サラサに乗せられて脱衣麻雀対決実況を始めてしまった。
レリー以外のメイド店員三名が、下着姿になって敗北を表している。周囲の客たちは、望外の景色に感涙し、この場に居合わせた幸運を其々の神に感謝してスクショする。
レリー本人は、カチューシャを一枚脱いだのみ。
その様子を、エイリンは満面の笑顔で撮影している。
レリー「ふう、ぬるいわあ。本物の戦場では、下着を上下共脱ぐまでが勝負だよ」
ユーシア「ここを戦場にするなよ」
ユーシアの言葉に、レリーは歓迎会を思い出す。
レリー「あ、歓迎会だった」
スカートの中から二丁拳銃を取り出すと、合図の空砲を連射する。
レリー「始めるぞ、メイドども! ユーシアが命乞いをしても、歓迎会を遂行する! 死んでも屍は拾いません! 鳥葬!」
空砲の中に実弾が混じっていたので、運の悪い無関係の客の携帯電話が一台、破壊される。
レリー「あ、ごめん。十二発に一発は、実弾を込めておく癖があって」
客に謝りつつ弁償するかと思いきや、
レリー「お詫びに、ハンデ付きのイージーモードで、脱衣麻雀をしてあげよう。お客さんは負けても、現金を払うだけでいい」
悪質な営業を始めたので、フロア担当責任者がレリーの襟首を掴んで厨房に引き摺っていく。
幹事が強制退場をしても、合図と共に歓迎会は開始される。
控えていた新人声優グループ『サンダーサボテンズ』が、ミニスカのアイドル衣装で店内に乱入し、電撃ライブを始める。
エリカリエ「ユーシアの歓迎会は、『サンダーサボテンズ』が仕切ります!」
トモト「最初の曲は、『ソルジャー・イン・ザ・スペース』行くぞ~!」
ミキミ「ミキミは『ロキ』がヤリたかったのに」
エリカリエとトモトが、定番の我儘を言うミキミに定番のハイキック&飛び蹴りツッコミをしてから、ライブを開始する。
主賓席に座って生のライブを鑑賞しながら、ユーシアは隣席に座ったリップから耳打ちされる。
リップ「気を付けてね。今日の『サンダーサボテンズ』の見せパンは、サラサの意見でシマパンに統一されているから。弄られまくるわよ」
ユーシア「サラサが混じっている時点で、諦めているよ」
ユーシアは、卓越した動体視力を、『サンダーサボテンズ』の見せパンチェックに全振りしている。
サラサの陰謀に、全く抵抗せずに。
隣席のリップと、アイドルユニットの見せパンを秤にかけて、シマパンを選んでいる。
リップは「はい、あ~ん」と恵方巻をユーシアの口に突っ込んで、窒息させようとする。
ユーシア「んぐう?!」
リップ「さあ、た~んとおあがり」
ユーシア「むぐう」
エリアス「あのう、これは良い子が真似をしてはいけないアクションでは?」
ユーシア「もうが(そうだ)もがもがまん(だが構わん)」
エリアス「エリアスは人工呼吸スキルも取得していますので、ご勝手に」
リップ「あたしがするから、要らないよ?」
リップの声音に、エリアスはユーシアを挟んで反対側に避難する。リップがエリアスを攻撃しようとしても、ユーシアの頭を破壊しないと攻撃が届かない位置取りだ。
リップは恵方巻が尽きたので、バナナを剥かずにユーシアの口に突き込み始める。
ユーシアはリップの手を防ぎながら、皮を剥いてバナナを消費する。
エリアス「…難易度高いなあ、このカップル」
そういうラブコメをしている隙に、サラサが実況で好き放題にコメントを始める。
サラサ「『サンダーサボテンズ』に、何があったのでしょう?
昨夜は見せパンをパンチラする努力をしなかった『サンダーサボテンズ』が、今日は積極的に踊っています。
しかも、全員、新品のシマパン装備。
美少年忍者ユーシア・アイオライトが、シマパン大好き人間と知った上でのパフォーマンスでしょうか?
青田買いにも限度があります。
しかもユーシアには、既に本妻がいます。
彼女たちの方向性が、心配です」
仕込んだ本人による白々しい実況に、『サンダーサボテンズ』の冷たい視線がサラサに集まる。
しかし、サラサのチャンネルで世間への認知度が高まる旨味に目が眩んでいるので、耐え忍ぶ。
シマパン好きを全世界生実況で暴露されているユーシアは、リップが食い物を口に捩じ込み続けるという窒息型接待を、満更でもない顔で受け続ける。
ちょっと本当に窒息しかかると、イリヤが少しだけユーシアの口から食物を抜いて、自分で食べて処理をする。
リップは、二秒ほど目から名状し難い視線をイリヤに向けていたが、戦術を食い物から炭酸水に変えて窒息型接待を続ける。
これもユーシアは、満更でもない顔で受け続ける。
「…アホか」
乳弟妹たちの狂騒した歓迎会に、エイリンは呆れながらも羨ましそうにカメラ撮影を続ける。
エイリンは、ユーシアとは別の意味で、子供らしくは生きていない少年だ。
母が妊娠した経緯を軍に説明する際、『異世界に臨時召喚されて、冒険して、妊娠した』という話をするので、腫れ物扱いされている。
昔から代々、異世界に臨時召喚され易いらしい。
そして、妊娠すると戻される。
本当なら、世界にとってジョーカーのカードになりかねない血統である。
エイリンが成長して異常な怪力と異能を備えていると判明してからは、近衛軍で飼い殺し状態が続いている。
常に監視され査定され、ユーシア(乳兄弟)が顔を見せに来る事を長年、探りを入れられていると勘違いしていた程である。
ユリアナ様の護衛に引き抜かれてからは母の立場も安定したが、一年前に再び『異世界に臨時召喚されて、冒険して、妊娠した』
母が神隠しされた二ヶ月の間、エイリンはユリアナ様に保護されて不自由はしなかったが、子供でいられる贅沢は諦めた。
母が妹を身籠って帰還した頃には、エイリンは学校を休学して、怪力を活かしたバイトに励む勤労少年になっていた。
サリナ「人が異世界でラブコメして孕んで忙しかったのに、小学校をサボるとは何事じゃあ!?」
と、理不尽にキレた母にマジ説教されて小学校には戻ったが、放課後に働くのは辞めなかった。
今の境遇から自立するには、仕事と経済力が必要だと気付いてしまうと、エイリンは小学校以外で子供をしているのが無駄に思えてしまった。
働きながら、もっとコスパの良い仕事はないかと試行錯誤していると、ユーシア(乳兄弟)が親元から独立できる程にコスパの良い仕事に就いてしまった。
母の後釜である。
母と同じ仕事場への就職には抵抗が有ったが、ユーシアが楽しそうなので、拘りが消えていく。
(…ユーシアが働く所なら、僕も目立たないし)
エイリンは、自分の怪力と異能を、ユーシアの横なら霞んで問題にされ難いだろうという見通しで、人生設計を練り始めている。
そして、放課後労働の場所を、ここに絞ろうかという考えを、固めてしまう。
この歓迎会に顔を出した事を契機に、エイリンはユーシアと同じ量の返り血を浴びる道へ踏み込んだ。
指定された十五時の五分前に、ユーシアは入店する。
ユーシアの歓迎会の為に確保された一角には、リップとサラサが各自のチャンネルの為に撮影のカメラを回している。
ユーシアは、リップのカメラマンと化しているエイリンに声を掛ける。
ユーシア「いいのか? 病院に詰めていなくて」
エイリン「夕方まで、コスパの良いバイトに励むぜ。時給二千五百円で、リップが雇ってくれた」
ユーシア「おお、それは良かっ…放送できるのか、これは?」
レリーが、歓迎会のメインテーブルで、脱衣麻雀をして同僚たちを剥いている。
幹事として下準備を終えたレリーは、もう後は他のメイド店員に任せても構わない状況だと悟った瞬間、サラサに乗せられて脱衣麻雀対決実況を始めてしまった。
レリー以外のメイド店員三名が、下着姿になって敗北を表している。周囲の客たちは、望外の景色に感涙し、この場に居合わせた幸運を其々の神に感謝してスクショする。
レリー本人は、カチューシャを一枚脱いだのみ。
その様子を、エイリンは満面の笑顔で撮影している。
レリー「ふう、ぬるいわあ。本物の戦場では、下着を上下共脱ぐまでが勝負だよ」
ユーシア「ここを戦場にするなよ」
ユーシアの言葉に、レリーは歓迎会を思い出す。
レリー「あ、歓迎会だった」
スカートの中から二丁拳銃を取り出すと、合図の空砲を連射する。
レリー「始めるぞ、メイドども! ユーシアが命乞いをしても、歓迎会を遂行する! 死んでも屍は拾いません! 鳥葬!」
空砲の中に実弾が混じっていたので、運の悪い無関係の客の携帯電話が一台、破壊される。
レリー「あ、ごめん。十二発に一発は、実弾を込めておく癖があって」
客に謝りつつ弁償するかと思いきや、
レリー「お詫びに、ハンデ付きのイージーモードで、脱衣麻雀をしてあげよう。お客さんは負けても、現金を払うだけでいい」
悪質な営業を始めたので、フロア担当責任者がレリーの襟首を掴んで厨房に引き摺っていく。
幹事が強制退場をしても、合図と共に歓迎会は開始される。
控えていた新人声優グループ『サンダーサボテンズ』が、ミニスカのアイドル衣装で店内に乱入し、電撃ライブを始める。
エリカリエ「ユーシアの歓迎会は、『サンダーサボテンズ』が仕切ります!」
トモト「最初の曲は、『ソルジャー・イン・ザ・スペース』行くぞ~!」
ミキミ「ミキミは『ロキ』がヤリたかったのに」
エリカリエとトモトが、定番の我儘を言うミキミに定番のハイキック&飛び蹴りツッコミをしてから、ライブを開始する。
主賓席に座って生のライブを鑑賞しながら、ユーシアは隣席に座ったリップから耳打ちされる。
リップ「気を付けてね。今日の『サンダーサボテンズ』の見せパンは、サラサの意見でシマパンに統一されているから。弄られまくるわよ」
ユーシア「サラサが混じっている時点で、諦めているよ」
ユーシアは、卓越した動体視力を、『サンダーサボテンズ』の見せパンチェックに全振りしている。
サラサの陰謀に、全く抵抗せずに。
隣席のリップと、アイドルユニットの見せパンを秤にかけて、シマパンを選んでいる。
リップは「はい、あ~ん」と恵方巻をユーシアの口に突っ込んで、窒息させようとする。
ユーシア「んぐう?!」
リップ「さあ、た~んとおあがり」
ユーシア「むぐう」
エリアス「あのう、これは良い子が真似をしてはいけないアクションでは?」
ユーシア「もうが(そうだ)もがもがまん(だが構わん)」
エリアス「エリアスは人工呼吸スキルも取得していますので、ご勝手に」
リップ「あたしがするから、要らないよ?」
リップの声音に、エリアスはユーシアを挟んで反対側に避難する。リップがエリアスを攻撃しようとしても、ユーシアの頭を破壊しないと攻撃が届かない位置取りだ。
リップは恵方巻が尽きたので、バナナを剥かずにユーシアの口に突き込み始める。
ユーシアはリップの手を防ぎながら、皮を剥いてバナナを消費する。
エリアス「…難易度高いなあ、このカップル」
そういうラブコメをしている隙に、サラサが実況で好き放題にコメントを始める。
サラサ「『サンダーサボテンズ』に、何があったのでしょう?
昨夜は見せパンをパンチラする努力をしなかった『サンダーサボテンズ』が、今日は積極的に踊っています。
しかも、全員、新品のシマパン装備。
美少年忍者ユーシア・アイオライトが、シマパン大好き人間と知った上でのパフォーマンスでしょうか?
青田買いにも限度があります。
しかもユーシアには、既に本妻がいます。
彼女たちの方向性が、心配です」
仕込んだ本人による白々しい実況に、『サンダーサボテンズ』の冷たい視線がサラサに集まる。
しかし、サラサのチャンネルで世間への認知度が高まる旨味に目が眩んでいるので、耐え忍ぶ。
シマパン好きを全世界生実況で暴露されているユーシアは、リップが食い物を口に捩じ込み続けるという窒息型接待を、満更でもない顔で受け続ける。
ちょっと本当に窒息しかかると、イリヤが少しだけユーシアの口から食物を抜いて、自分で食べて処理をする。
リップは、二秒ほど目から名状し難い視線をイリヤに向けていたが、戦術を食い物から炭酸水に変えて窒息型接待を続ける。
これもユーシアは、満更でもない顔で受け続ける。
「…アホか」
乳弟妹たちの狂騒した歓迎会に、エイリンは呆れながらも羨ましそうにカメラ撮影を続ける。
エイリンは、ユーシアとは別の意味で、子供らしくは生きていない少年だ。
母が妊娠した経緯を軍に説明する際、『異世界に臨時召喚されて、冒険して、妊娠した』という話をするので、腫れ物扱いされている。
昔から代々、異世界に臨時召喚され易いらしい。
そして、妊娠すると戻される。
本当なら、世界にとってジョーカーのカードになりかねない血統である。
エイリンが成長して異常な怪力と異能を備えていると判明してからは、近衛軍で飼い殺し状態が続いている。
常に監視され査定され、ユーシア(乳兄弟)が顔を見せに来る事を長年、探りを入れられていると勘違いしていた程である。
ユリアナ様の護衛に引き抜かれてからは母の立場も安定したが、一年前に再び『異世界に臨時召喚されて、冒険して、妊娠した』
母が神隠しされた二ヶ月の間、エイリンはユリアナ様に保護されて不自由はしなかったが、子供でいられる贅沢は諦めた。
母が妹を身籠って帰還した頃には、エイリンは学校を休学して、怪力を活かしたバイトに励む勤労少年になっていた。
サリナ「人が異世界でラブコメして孕んで忙しかったのに、小学校をサボるとは何事じゃあ!?」
と、理不尽にキレた母にマジ説教されて小学校には戻ったが、放課後に働くのは辞めなかった。
今の境遇から自立するには、仕事と経済力が必要だと気付いてしまうと、エイリンは小学校以外で子供をしているのが無駄に思えてしまった。
働きながら、もっとコスパの良い仕事はないかと試行錯誤していると、ユーシア(乳兄弟)が親元から独立できる程にコスパの良い仕事に就いてしまった。
母の後釜である。
母と同じ仕事場への就職には抵抗が有ったが、ユーシアが楽しそうなので、拘りが消えていく。
(…ユーシアが働く所なら、僕も目立たないし)
エイリンは、自分の怪力と異能を、ユーシアの横なら霞んで問題にされ難いだろうという見通しで、人生設計を練り始めている。
そして、放課後労働の場所を、ここに絞ろうかという考えを、固めてしまう。
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