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EP1. 俺たちがオトナになってしまうまで
第二話 流れるようなセックス
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自宅に戻ると、すでに室内には明かりがついていた。
ひょっとしたら、姉が先に帰っているのかもしれない。
俺の両親はすでに事故で他界しており、現在は姉と二人で綾小路グループが管理するマンションの一室を借りて住まわせてもらっている。
「この靴は優那さまのものですね」
一緒に玄関に入ってきた有紗が、靴脱ぎにならぶ靴を見て言う。
ということは、先に優那が来ているのか。
優那は当然のことながら綾小路の邸宅に住んでいるのだが、この家には専用の個室を用意させられるほど日常的に入り浸っている。当然、合鍵も持っている。
有紗も優那つきの侍女で住まいは綾小路の邸宅のほうになるが、あまり生活力のない俺や姉のためによく夕食をつくりに来てくれていた。
「おかえりなさい! 遅かったじゃないですの!」
リビングの扉が開いて、奥から優那が姿を見せた。
絹のように滑らかな髪は天然の栗色で、今は亡き母親が東欧系のハーフであることから顔だちも異様に整っている。
すっきりと通った鼻筋にくっきりとした二重の大きな瞳、意志の強そうな口許は普段こそ理知的に結ばれているが、俺や有紗の前では明るすぎるくらいの笑顔をたたえている。
もうすでに着替えは済ませているようで、純白のフリルつきワンピースが3LDKのこんなファミリー向けマンションには不釣り合いなほど華やかだった。
「ちょっと友達から相談事を持ちかけられてさ」
トコトコと歩み寄ってくる優那に、靴を脱ぎながら俺が言う。
まだ交際をスタートしてから男女関係らしい変化があったわけではないが、それでも今日あったことをそのまま優那に伝えるのは気が憚られた。
しかし、次に優那の口から飛び出してきた言葉は予想外なものだった。
「塚本さんに告白されていたんですのよね? どうされたんですか? やっぱりお付き合いされることにしたんですか?」
あれれ? なんで知ってるの?
「わたしが報告いたしました」
俺の背後で、スマホの画面を見せながら淡々と有紗が言った。表情すら変わってない。
えええ……?
どういう状況かさっぱり分からないが、それならいちおう俺のほうも報告はしておくか。
「いや、断ったよ。当然だろ。俺たち、もうつきあってるんだし……」
俺の言葉に、優那はキョトンとした顔でこちらを見上げている。
いや、つきあってるんだよな?
あるいは俺がおかしな妄想をしていただけで、実はまだ俺たちはお嬢さまとその付き人くらいの関係性だった……?
「なんでですの!?」
——と、優那が両手で口を覆い隠しながら驚嘆の声を上げる。
「わたくしのことなど気にせず、好きなだけおつきあいなさればよろしかったのに!」
そして、平然ととんでもないことを言い放った。
いやいや、どちらかというと俺のほうがその反応に驚きを隠せないのだが……。
え? もしかして、本当に俺たち別に交際なんてしてなかったってコト……?
「なにを仰っていますの!? わたくしたちはすでに結婚を控えたも同然ですわよ!?」
あれ!? なんだったらもうそこまでいってる感じ!?
確かに、いちおう綾小路の旦那さまにはご挨拶をさせてもらったが……。
「なんでしたら、あなたは綾小路グループの次期総帥を担う予定の殿方なのですよ! 女子の二人や三人くらい侍らせなくてなんといたしますか!」
そういう感じ!? 現代のコンプラ的に色々と問題ないですか!?
「ああでも、セイくんの童貞はわたくしが頂戴したいと兼ねがね思っておりましたので、そこだけはご留意なさってくださいましね……」
両手で頬を包み込みながらポッと頬を赤らめる。
前からそういう片鱗がなかったとは言わないが、交際を機に倫理観と貞操観念がぶっ壊れてしまったのだろうか。
「でも、そういうわけにはいかないよ。俺もそうだけど、できれば優那にも健全で穏やかな高校生活を送ってほしいと思ってる」
俺の胸中はすでにだいぶ混乱していたが、努めて平静を装いながら言った。
しかし、優那は再び表情を険しくすると、バッと両手を広げながら訴えてくる。
「なにを仰っていますの!? 人生で最も華やかたる高校生活をそのような安穏とした精神で過ごそうなどと言語道断ですわ!」
言語道断とか、可憐なお嬢さまの口から出てきていい言葉なんだろうか。
「高校生活といえば放課後デートからの流れるようなセックス! 授業中に性欲を持て余して保健室でセックス! 体育の授業ともなればお互いの汗の匂いに興奮して体育倉庫でセックス! 夏はプール授業のあとにスクール水着でセックス! さらには文化祭でコスプレセックスや修学旅行先での混浴セックスなどと、様々なお楽しみイベントが目白おしなんですのよ!?」
なんで全部セックス前提なんだ?
「有紗からも何か言ってあげてください!」
何故か唐突に有紗に話の矛先を向ける。
振り返ると、有紗は表情一つ変えずにこっくりと頷いた。
「はい。わたしも早くセイさまとエッチなことがしたいので、さっさとお嬢さまを犯して童貞を卒業してください。さすがにお嬢さまを差し置いてわたしが襲いかかるのは気が憚られます」
なに言ってんだコイツ。
「先ほどのお嬢様の発言を聞いているだけで、下着の中が大洪水となっております」
「さすがはわたくしの従者ですわ!」
何がさすがなのかはさっぱりなのか分からないが、いくらなんでも下半身の防御力が低すぎる。
「何を仰いますの! 女子はあなた方が思っているよりもずっと先のことを考えているんですのよ!? セイくんも早くそのおちんちんの正しい使いかたを自覚すべきです!」
「そうです。いつまでも子どもではいられません。覚悟を決めて大人になりましょう」
前後からよく分からない理由で責め立てられてしまった。
確かに俺は童貞で経験値が足りないので、詳しい人がいたら誰か教えてほしい。
これって俺がおかしいのか?
ひょっとしたら、姉が先に帰っているのかもしれない。
俺の両親はすでに事故で他界しており、現在は姉と二人で綾小路グループが管理するマンションの一室を借りて住まわせてもらっている。
「この靴は優那さまのものですね」
一緒に玄関に入ってきた有紗が、靴脱ぎにならぶ靴を見て言う。
ということは、先に優那が来ているのか。
優那は当然のことながら綾小路の邸宅に住んでいるのだが、この家には専用の個室を用意させられるほど日常的に入り浸っている。当然、合鍵も持っている。
有紗も優那つきの侍女で住まいは綾小路の邸宅のほうになるが、あまり生活力のない俺や姉のためによく夕食をつくりに来てくれていた。
「おかえりなさい! 遅かったじゃないですの!」
リビングの扉が開いて、奥から優那が姿を見せた。
絹のように滑らかな髪は天然の栗色で、今は亡き母親が東欧系のハーフであることから顔だちも異様に整っている。
すっきりと通った鼻筋にくっきりとした二重の大きな瞳、意志の強そうな口許は普段こそ理知的に結ばれているが、俺や有紗の前では明るすぎるくらいの笑顔をたたえている。
もうすでに着替えは済ませているようで、純白のフリルつきワンピースが3LDKのこんなファミリー向けマンションには不釣り合いなほど華やかだった。
「ちょっと友達から相談事を持ちかけられてさ」
トコトコと歩み寄ってくる優那に、靴を脱ぎながら俺が言う。
まだ交際をスタートしてから男女関係らしい変化があったわけではないが、それでも今日あったことをそのまま優那に伝えるのは気が憚られた。
しかし、次に優那の口から飛び出してきた言葉は予想外なものだった。
「塚本さんに告白されていたんですのよね? どうされたんですか? やっぱりお付き合いされることにしたんですか?」
あれれ? なんで知ってるの?
「わたしが報告いたしました」
俺の背後で、スマホの画面を見せながら淡々と有紗が言った。表情すら変わってない。
えええ……?
どういう状況かさっぱり分からないが、それならいちおう俺のほうも報告はしておくか。
「いや、断ったよ。当然だろ。俺たち、もうつきあってるんだし……」
俺の言葉に、優那はキョトンとした顔でこちらを見上げている。
いや、つきあってるんだよな?
あるいは俺がおかしな妄想をしていただけで、実はまだ俺たちはお嬢さまとその付き人くらいの関係性だった……?
「なんでですの!?」
——と、優那が両手で口を覆い隠しながら驚嘆の声を上げる。
「わたくしのことなど気にせず、好きなだけおつきあいなさればよろしかったのに!」
そして、平然ととんでもないことを言い放った。
いやいや、どちらかというと俺のほうがその反応に驚きを隠せないのだが……。
え? もしかして、本当に俺たち別に交際なんてしてなかったってコト……?
「なにを仰っていますの!? わたくしたちはすでに結婚を控えたも同然ですわよ!?」
あれ!? なんだったらもうそこまでいってる感じ!?
確かに、いちおう綾小路の旦那さまにはご挨拶をさせてもらったが……。
「なんでしたら、あなたは綾小路グループの次期総帥を担う予定の殿方なのですよ! 女子の二人や三人くらい侍らせなくてなんといたしますか!」
そういう感じ!? 現代のコンプラ的に色々と問題ないですか!?
「ああでも、セイくんの童貞はわたくしが頂戴したいと兼ねがね思っておりましたので、そこだけはご留意なさってくださいましね……」
両手で頬を包み込みながらポッと頬を赤らめる。
前からそういう片鱗がなかったとは言わないが、交際を機に倫理観と貞操観念がぶっ壊れてしまったのだろうか。
「でも、そういうわけにはいかないよ。俺もそうだけど、できれば優那にも健全で穏やかな高校生活を送ってほしいと思ってる」
俺の胸中はすでにだいぶ混乱していたが、努めて平静を装いながら言った。
しかし、優那は再び表情を険しくすると、バッと両手を広げながら訴えてくる。
「なにを仰っていますの!? 人生で最も華やかたる高校生活をそのような安穏とした精神で過ごそうなどと言語道断ですわ!」
言語道断とか、可憐なお嬢さまの口から出てきていい言葉なんだろうか。
「高校生活といえば放課後デートからの流れるようなセックス! 授業中に性欲を持て余して保健室でセックス! 体育の授業ともなればお互いの汗の匂いに興奮して体育倉庫でセックス! 夏はプール授業のあとにスクール水着でセックス! さらには文化祭でコスプレセックスや修学旅行先での混浴セックスなどと、様々なお楽しみイベントが目白おしなんですのよ!?」
なんで全部セックス前提なんだ?
「有紗からも何か言ってあげてください!」
何故か唐突に有紗に話の矛先を向ける。
振り返ると、有紗は表情一つ変えずにこっくりと頷いた。
「はい。わたしも早くセイさまとエッチなことがしたいので、さっさとお嬢さまを犯して童貞を卒業してください。さすがにお嬢さまを差し置いてわたしが襲いかかるのは気が憚られます」
なに言ってんだコイツ。
「先ほどのお嬢様の発言を聞いているだけで、下着の中が大洪水となっております」
「さすがはわたくしの従者ですわ!」
何がさすがなのかはさっぱりなのか分からないが、いくらなんでも下半身の防御力が低すぎる。
「何を仰いますの! 女子はあなた方が思っているよりもずっと先のことを考えているんですのよ!? セイくんも早くそのおちんちんの正しい使いかたを自覚すべきです!」
「そうです。いつまでも子どもではいられません。覚悟を決めて大人になりましょう」
前後からよく分からない理由で責め立てられてしまった。
確かに俺は童貞で経験値が足りないので、詳しい人がいたら誰か教えてほしい。
これって俺がおかしいのか?
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