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本編
幕間 内に秘めた想い
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あいつが先だって屋上を出たあと、あたしたちは何故か少しだけその場にとどまっていた。
何か申し合わせたわけではない。
ただ、お互いにもう少し話をしたいという空気があった。
「わたしさ……」
サキがポツリと口を開いた。
「中一の初めに、ちょっとクラスでイジメられかけてたことがあるんだよね」
サキがイジメに……? にわかには信じられない話だった。
確かに出る杭は打たれると言うが、ここまでのオーラを持つ少女をイジメるだなんて、普通の神経でできることだとはとても思えない。
クラスメイトによほどサイコなやつがいたのだろうか。
「中一のころはまだイモ娘だったからね。それこそ、本当にただの眼鏡陰キャでさ。アニメとゲームとBL漫画が好きな、学生ヒエラルキー最底辺にいるオタク女子だったのよ」
とても信じられない。
だが、この一ヶ月で見てきたクラスメイトの飯塚は、確かにそういうキャラだった。
常にあのテンションなので陰キャ感はなかったが、確かにイタイ女子ではあった。
「ダンスは小学校のときからやっててさ。それなりに自信もあったから、試しにタックトックに上げたことがあったんだよね。それをクラスのイジメっこたちに見られてさ。オタクがダンスとかキモいんだよって、イチャモンつけてられちゃって」
ありがちな話ではある。
うちの弟もすぐイジメられるので、なんとなく状況の想像はできた。
「軽く叩かれたり髪の毛を引っ張られたりしたけど、別にわたしはビビってなかったし、そういうのが何日も続いてムカついてきたから、反撃した日があったんだよね」
やはり、サキはただでやられる女ではなかったようだ。
いくら見た目が芋娘だったころの話とはいえ、心まで弱かったのならこのオーラはありえない。
サキの持つカリスマ性はデビュー当時から本物だった。
あとから体得できる類のものではない。
間違いなく生まれながらの天賦のものだ。
「でも、相手は集団じゃない? すぐにフクロにされちゃってさ。それは別によかったんだけど、ひとつだけマズいことがあったんだよね」
マズいこと……? なんだろう。顔を傷つけられそうになったとかだろうか。
「脚をね、折られそうになったんだ。向こうは踏みつけてるだけだったんだろうけどね」
――そうか。サキはダンスが好きだ。脚を折られたら、ダンスができなくなる。
「そのときだけは恐怖したよ。でも、そこにヒーローが現れたんだ。誰だと思う?」
サキがこちらを見てニヤッと笑う。
天使のような、それでいて小悪魔のようなスマイルだ。
その顔には恋が宿っていた。
雑誌の中で見るどんな顔よりも魅力的な笑顔だった。
そうか。あいつは中一のころから大事なところはしっかり押さえる男だったのか。
「まあ、そのときはね、まだアッくんにそういう感情を持ってたわけじゃないんだ。本当にヒーローって感じで、仲良くなりたいって思ったんだよね。まあ、そのあとアッくんは色々とやりすぎちゃって大変だったんだけどさ……」
サキがケラケラと笑っている。
やりすぎちゃったとは、いったい何をしたのだろう。
気になる……いつか、本人から聞いてみようか。
「まあ、その色々もあって、アッくんもぼっちになっちゃってさ。ぼっち同士で自然と結束も強くなっていったんだよ。まあでも、まだその時点ではただのオトモダチだけど」
サキの目が、遠くを見るようにすっと細められる。
「ハルナと出会ったのはそのころだよ。ダンス教室に新しい生徒として入ってきてさ。最初はめちゃくちゃ無口で感情表現とかもぜんぜんしないから、こいつ実はロボットなんじゃないかって思ったりしたよ。でも、だから逆に興味を引かれちゃってさ。気づいたら仲良くなってたんだよね」
この一ヶ月で見てきた飯塚のキャラから考えると、ありそうな話ではある。
「それでさ、色々と話してるうちにハルナがアッくんと知り合いで、しかもずっと片思いしてたって話を聞いてさ。それなら、わたしがアッくんに変な虫がつかないように見張っててあげるよって言っちゃったんだよね」
言いながら、苦笑いでもするように溜息をつく。
「安請け合いしちゃったって、今は後悔してる。こんなことになるなんて、あのときは思ってもみなかった」
サキは膝の上で頬杖をつき、物憂げに遠くを見つめた。
「中一の秋から中二の夏くらいにかけて一気に身長が伸びてさ。胸とかも大きくなって、女の体になってきたっていうか……わたし、綺麗になってるなって思ったんだよね」
サキが読者モデルとしてポップティーンの紙面に現れたのは中二の秋ごろからだ。
夏にはすでに完成形に近づいていたのだろう。
それからサキは、遠くを見つめたままはにかむように笑った。
「馬鹿だなぁと思うんだけど、自分に自信がついてきたら、ひょっとしてアッくんもわたしのこと女として見てくれるんじゃないかって思っちゃったんだよね。ハルナとの約束があるのにさ。ほんと、馬鹿だよねぇ。わたし、そういうのって一度でも思い出したらとめられなくて、もうあとはハマっていく一方だったよ」
まあ、仕方ない。あたしも馬鹿だとは思うが、あいつには確かに『ひょっとして』と思わせてしまうような謎の引力を感じる。
気がついたらずぶずぶと沼の中に沈み込んでいくような、そういう魔性だ。
「せめて、ハルナとの約束は守らなきゃと思って、自分からは絶対に手を出さないって心に誓ってさ。でも、アッくんからわたしに襲いかかってくる分には不可抗力じゃない? だから、今日も明日も不可抗力を期待してるわけ」
……そういうことだったのか。
でも、ハルナは最終的に『あてにならなくなった』と言っていた。
それはつまり、けっきょくサキはハルナとの約束を反故にしたということだろうか。
「まあ、結果的にはそうなるかな。ほんと、馬鹿な話だけど、アッくんとハルナが近づいていくたびに自分の中のイヤな気持ちが大きくなって、抑えられなくなってきちゃったんだよね。だから、わたしからは手を出さないけど、もう協力もできないって言ったの」
まあ、致しかたのないことだろう。
あたしから見ても、日に日に二人の距離は縮んでいるように思えた。
自らの手で恋敵に塩を送り続ける苦悩は筆舌にしがたい。
それに、あたしもその辛さの片鱗くらいは味わうことができた。
「ま、ほんとの勝負は明日からだね!」
そう言って、サキがその場に立ち上がる。
「なんかごめんね! 聞いてもらえて、ちょっとすっきりしたよ!」
サキがあたしに向かってニッコリと笑いかけてくれる。
その笑顔が見れただけで、あたしには十分すぎた。
あたしなんかでサキの心のつかえが少しでも取れたなら、こんなに嬉しいことはない。
……でも。
あたしの中にくすぶるこの気持ちが、ただの思い込みでなどではなく本物なのだとしたら。
あたしもまた、戦うことになるのだ。
自分の推したちを相手に。
何か申し合わせたわけではない。
ただ、お互いにもう少し話をしたいという空気があった。
「わたしさ……」
サキがポツリと口を開いた。
「中一の初めに、ちょっとクラスでイジメられかけてたことがあるんだよね」
サキがイジメに……? にわかには信じられない話だった。
確かに出る杭は打たれると言うが、ここまでのオーラを持つ少女をイジメるだなんて、普通の神経でできることだとはとても思えない。
クラスメイトによほどサイコなやつがいたのだろうか。
「中一のころはまだイモ娘だったからね。それこそ、本当にただの眼鏡陰キャでさ。アニメとゲームとBL漫画が好きな、学生ヒエラルキー最底辺にいるオタク女子だったのよ」
とても信じられない。
だが、この一ヶ月で見てきたクラスメイトの飯塚は、確かにそういうキャラだった。
常にあのテンションなので陰キャ感はなかったが、確かにイタイ女子ではあった。
「ダンスは小学校のときからやっててさ。それなりに自信もあったから、試しにタックトックに上げたことがあったんだよね。それをクラスのイジメっこたちに見られてさ。オタクがダンスとかキモいんだよって、イチャモンつけてられちゃって」
ありがちな話ではある。
うちの弟もすぐイジメられるので、なんとなく状況の想像はできた。
「軽く叩かれたり髪の毛を引っ張られたりしたけど、別にわたしはビビってなかったし、そういうのが何日も続いてムカついてきたから、反撃した日があったんだよね」
やはり、サキはただでやられる女ではなかったようだ。
いくら見た目が芋娘だったころの話とはいえ、心まで弱かったのならこのオーラはありえない。
サキの持つカリスマ性はデビュー当時から本物だった。
あとから体得できる類のものではない。
間違いなく生まれながらの天賦のものだ。
「でも、相手は集団じゃない? すぐにフクロにされちゃってさ。それは別によかったんだけど、ひとつだけマズいことがあったんだよね」
マズいこと……? なんだろう。顔を傷つけられそうになったとかだろうか。
「脚をね、折られそうになったんだ。向こうは踏みつけてるだけだったんだろうけどね」
――そうか。サキはダンスが好きだ。脚を折られたら、ダンスができなくなる。
「そのときだけは恐怖したよ。でも、そこにヒーローが現れたんだ。誰だと思う?」
サキがこちらを見てニヤッと笑う。
天使のような、それでいて小悪魔のようなスマイルだ。
その顔には恋が宿っていた。
雑誌の中で見るどんな顔よりも魅力的な笑顔だった。
そうか。あいつは中一のころから大事なところはしっかり押さえる男だったのか。
「まあ、そのときはね、まだアッくんにそういう感情を持ってたわけじゃないんだ。本当にヒーローって感じで、仲良くなりたいって思ったんだよね。まあ、そのあとアッくんは色々とやりすぎちゃって大変だったんだけどさ……」
サキがケラケラと笑っている。
やりすぎちゃったとは、いったい何をしたのだろう。
気になる……いつか、本人から聞いてみようか。
「まあ、その色々もあって、アッくんもぼっちになっちゃってさ。ぼっち同士で自然と結束も強くなっていったんだよ。まあでも、まだその時点ではただのオトモダチだけど」
サキの目が、遠くを見るようにすっと細められる。
「ハルナと出会ったのはそのころだよ。ダンス教室に新しい生徒として入ってきてさ。最初はめちゃくちゃ無口で感情表現とかもぜんぜんしないから、こいつ実はロボットなんじゃないかって思ったりしたよ。でも、だから逆に興味を引かれちゃってさ。気づいたら仲良くなってたんだよね」
この一ヶ月で見てきた飯塚のキャラから考えると、ありそうな話ではある。
「それでさ、色々と話してるうちにハルナがアッくんと知り合いで、しかもずっと片思いしてたって話を聞いてさ。それなら、わたしがアッくんに変な虫がつかないように見張っててあげるよって言っちゃったんだよね」
言いながら、苦笑いでもするように溜息をつく。
「安請け合いしちゃったって、今は後悔してる。こんなことになるなんて、あのときは思ってもみなかった」
サキは膝の上で頬杖をつき、物憂げに遠くを見つめた。
「中一の秋から中二の夏くらいにかけて一気に身長が伸びてさ。胸とかも大きくなって、女の体になってきたっていうか……わたし、綺麗になってるなって思ったんだよね」
サキが読者モデルとしてポップティーンの紙面に現れたのは中二の秋ごろからだ。
夏にはすでに完成形に近づいていたのだろう。
それからサキは、遠くを見つめたままはにかむように笑った。
「馬鹿だなぁと思うんだけど、自分に自信がついてきたら、ひょっとしてアッくんもわたしのこと女として見てくれるんじゃないかって思っちゃったんだよね。ハルナとの約束があるのにさ。ほんと、馬鹿だよねぇ。わたし、そういうのって一度でも思い出したらとめられなくて、もうあとはハマっていく一方だったよ」
まあ、仕方ない。あたしも馬鹿だとは思うが、あいつには確かに『ひょっとして』と思わせてしまうような謎の引力を感じる。
気がついたらずぶずぶと沼の中に沈み込んでいくような、そういう魔性だ。
「せめて、ハルナとの約束は守らなきゃと思って、自分からは絶対に手を出さないって心に誓ってさ。でも、アッくんからわたしに襲いかかってくる分には不可抗力じゃない? だから、今日も明日も不可抗力を期待してるわけ」
……そういうことだったのか。
でも、ハルナは最終的に『あてにならなくなった』と言っていた。
それはつまり、けっきょくサキはハルナとの約束を反故にしたということだろうか。
「まあ、結果的にはそうなるかな。ほんと、馬鹿な話だけど、アッくんとハルナが近づいていくたびに自分の中のイヤな気持ちが大きくなって、抑えられなくなってきちゃったんだよね。だから、わたしからは手を出さないけど、もう協力もできないって言ったの」
まあ、致しかたのないことだろう。
あたしから見ても、日に日に二人の距離は縮んでいるように思えた。
自らの手で恋敵に塩を送り続ける苦悩は筆舌にしがたい。
それに、あたしもその辛さの片鱗くらいは味わうことができた。
「ま、ほんとの勝負は明日からだね!」
そう言って、サキがその場に立ち上がる。
「なんかごめんね! 聞いてもらえて、ちょっとすっきりしたよ!」
サキがあたしに向かってニッコリと笑いかけてくれる。
その笑顔が見れただけで、あたしには十分すぎた。
あたしなんかでサキの心のつかえが少しでも取れたなら、こんなに嬉しいことはない。
……でも。
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