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前向き不屈デコイ。

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 サイド : 愚かなデコイ・ミーナ




 明日から、夏休みぃー!と思って浮かれていたら、今日はアカデミー主催のデイ・パーティーがあるらしかった。


 だから、みんないつもより綺麗で、ピカピカしていたのかぁ…。

 ミーナ知らなかったから、いつもと一緒だよぉ…。

 うー。恥ずかしいよぉ…。


 ステラが居ないから、また恥かいちゃった…。
 もー!ステラのバカ!早く戻って来てよぉ!!
 

 ミーナは1人じゃ、何にもできないよぉ!!うぇーん!!

 
 …でも、パーティーなら、みんな居て楽しいかも…。


 それに、ミーナが楽しくなくて、みんなだけ楽しいとか、ずるーい!


 ミーナだって、絶対に楽しんでやるんだから!!


 場所もわかんないけど、みんなが移動し始めたら、ミーナも後ろからついて行こーっと!


 そう決めて、みんなの移動を待った。


 みんなはまるで大人みたいに、男女で仲良く腕を組んで歩いて行った。

 なんだか貴族みたいで変なのー!って、思ったけど、話しかける人も居ないから、ミーナは大人しく、黙ってついて行ったの。


 1人で喋ってるとおかしい子なのは、ミーナも知ってるもんねぇー!



▼△▼


 たどり着いた会場では、みんな、笑顔でキラキラしてて、とっても楽しそうだった。
 

 ミーナもテンションが上がる!


 キラキラで!いつもと違って!なんだか楽しぃー!



▼△▼


 夏休みに入ると、みんなとしばらく会えなくなっちゃうから、みんなとお話ししておきたいなぁー!と思って、ミーナはみんなの姿を探したの。


 けど、みんな、こないだのアルと一緒で、女の子と腕を組んだり、踊ったりして、楽しそうに過ごしていた…。


 みんな、みんな、ミーナのだったのに…。


 …そんな事を思ってたら、またミーナの怖い心が出て来ちゃった…。


 ダメだぞミーナ!今日は楽しく過ごさなきゃ!



 ………そうだ!イリス!



 ジークとアレクは居なくても、イリスは居るはず!ミーナったら、天才かもっ!!

 それに、優しくて綺麗なイリスなら、ミーナと一緒に楽しんでくれるはず!!!

 だから会場で、キョロキョロとイリスの姿を探したの。



▼△▼


 …見つけた!イリスだ!



「いたー!イリスー!ミーナ寂しかったよぉー!」

 イリスを見つけられた事が嬉しくて、一目散に駆け寄ったの。



 すると、何かに引っ掛かって、転んでしまった。

 クスクスと意地悪な笑い声が聞こえてくる。

 痛くて、恥ずかしくて、悲しくて、涙が出る。



「…大丈夫かい?ミーナ嬢?」

 そう言ってイリスが、見た目よりも力強く、ミーナを立ち上がらせてくれたの。



「ふぇえ!イリスぅー!痛かったよぉー!撫で撫でしてー!」

 と、ミーナはイリスにおねだりをした。


 すると、イリスは少しだけ困ったような顔をしてから、綺麗な笑顔を浮かべて、撫でてくれようとした。


 イリスってば、やっぱり最高ー!ミーナだーい好き!



「…イリス?」


 イリスがミーナを撫でてくれる直前で、イリスの事を呼ぶ声がした。

 声がした方を見ると、お人形さんみたいに、綺麗な女の子が立っていた。




「…お知り合い?」
 と、お人形さんの女の子はイリスに聞いてた。



「…あぁ。そうだよ。知り合いの…後輩だ」
 イリスは答えた。


 ミーナは勝った!ミーナはイリスの後輩さんだもんねぇー!イリスに紹介して貰っちゃったもんねー!

 けど、女の子は綺麗に笑って、ミーナを見ていた。



「可愛い子ね。…仲良しさんなのね?」
 
 そうだよ!イリスとミーナは仲良しなんだもんねぇー!早い者勝ちだから、イリスはミーナのなの!

 だから、この子にも渡さないもんねぇー!

 そう思って、ミーナは得意げな顔をして、お人形さんみたいな綺麗な女の子の方を見た。



「…まぁ。…イリス、約束は守ってよね?」

 お人形さんの女の子は、何だか驚いてるみたいだった。

 約束ってなんだろー?



「…ああ。わかっているさ。

 …ミーナ嬢、少し良いかな?聞きたい事があるんだ」



「うん!良いよぉー!」

 イリスはミーナを選んだ!

 ミーナは嬉しくて、再度あの女の子の方を見た。



 すると、女の子はミーナを見た後、すぐに下を向いて、悔しそうに肩を震わせていた。

 ミーナは女の子のそんな姿を見て、嬉しくて堪らなかった。


 ミーナは勝ったんだ!わーい!


 けど、そんな事を考えていたら、イリスと距離が離れてしまったから、慌てて駆け寄った。

 それでミーナは、イリスと2人で中庭に出たの。



▼△▼



「イリス!なーにぃ?ミーナに何のお話しかな?」


「…あぁ。ミーナ嬢に聞きたいことがあるんだ。…今日はマーテル男爵夫妻は、家に居る予定なのかな?」


 イリスがなんで、パパとママのこと聞いてくるんだろー?

 なんでだろー?わかんないやー!

 けど、知りたいんだったら、教えてあげよー!


「うん!いるよぉー!」


「…そうか、ありがとう。それが知りたかったんだ」


「お話し終わり?じゃあー!イリスー!ミーナとパーティー楽しもうっ!ミーナ寂しかったのぉー!」


 すると、イリスはまた困ったように、綺麗に笑った。


「すまないミーナ嬢。今日は先約があるんだ、だからそろそろ戻らないと…」



「…え?」



 イリスは約束があると言った。 

 さっきの女の子は約束は守れと言っていた。

 だから、イリスとあの女の子は約束していて、一緒に楽しむんだ!!!


 イリスもミーナじゃない人を選ぶんだ!!
 

 そんなのって!そんなのって!!


 ミーナやだぁああああ!!!!


「そんなっ!!!どうしてぇ!!!ミーナがこんなに頼んでるのにっ!!どうしてぇーー!!みんなも、みんなも、なんでなのおぉお!!!」


「もうやだよぉー!!!イリスのバカっ!!!」


▼△▼


 ミーナは涙が止まらなくて、鼻水とかいっぱい出たけれど、気にせずに全力で走って会場を後にした。



 だけど、優しいイリスは来てくれなかった…。


 
 …ミーナの足…早すぎたかな?



 涙が止まったら、もう1回会場に戻ろうかとも思ったけど、これ以上、悲しくて嫌な思いはしたくなくて、大人しくお家に帰る事にした。


 なんで色んな事が、上手くいかなくなっちゃったんだろう…。


 …ミーナ悲しいよぉ。ふぇえーん!
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