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本編

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 見つめ合いながらも、頭の中はだんだんとパニックになってきた。なにから考えたらいいだろう。え?嘘、本当?ちょっと待って、そんなことばかりがグルグルして結局なにも考えられない。

「な、なんで?」
「煽ってきてんのお前だし」
「そんなことしてない」
 していない、はずだ。そう自分に問いかけてみるが。
 
「自覚ないとか腹立つわ。ならノコノコ部屋来てそばにいんじゃねぇ」
 あっさり言い負かされた。なんだか一気に羞恥心が襲ってきた。
 
「なに安心してんだ、あほか。彼氏いたって関係ねぇよ。欲しいもん目の前にあってそれがチャンスならモノにするよ。我慢……してんのアホらしくなったわ」
 羽鳥くんの手が私のシャツの裾を引っ張り出して服の中に入り込んでくる。
 
「ここ!こんなことしていいの?!」
「ダメに決まってんじゃん」
「じゃあやめて!」
「でも乳首立ってる、感じてる?」
「ちょお!」
「声出すなよ。バレたら追い出されるじゃん、俺どこ住めばいいの?」
 そんなのは知らない!

「追い出されたら困るようなことしないで!」
「ちょっとうるせぇな、本気で注意される。黙れ」
 そしてまた口を塞ぐ。ヌルッとした舌が唇を割って入ってきて歯列をなぞって中の舌を舐めてくる。
 
 あれ?キスってこんな感じ?
 押し付けられるようなキスばかりしてきた。こんな吸われて食むみたいに優しいキス、初めて。舌が自然と絡んでくるのを迎え入れて絡ませようとしてしまう、これ無意識、怖い。勝手に……応えてる。


「ん、あっ」
「可愛い声出すんだな、気持ちいいの?」
「っん……」
「声、我慢しろよ?」
 下着の中に両手が入り込んできて乳房が下から持ち上げる。親指が膨れ立つ乳首を撫で始めた。クリクリ、グリグリ、形を確認するみたいに触るから腰が勝手に揺れてしまい羽鳥くんの体に自然と密着してしまう。そして気づく。
 
「……お、おっきい」
「そりゃ興奮するわな」
「え……なん、なんで?」
「望月とキスしておっぱい揉んでんだもんな。興奮材料しかねぇけどな」
「キスもおっぱいも……慣れてるだろうしいくらでも他に相手いるでしょ?」
「……ヤれる女とヤリたい女、全然違うじゃん」
 ヤリたい女?私って羽鳥くんにとってヤリたい女なの?


「待って、私彼氏、いる」
「結婚すんのかな~てなんとなく青写真浮かべてるけど、実際現実味なくて悩まされるだけの彼氏な。だから?」
「……」
「営業で出張ばっかでどこで何してるかわかんねぇ奴待つだけ。戻ったら戻ったでお前に都合よく甘えて、自分満たされたらまたどっか行って……結局お前ほったらかしにする勝手な彼氏な。だから?」
「……」
「寂しい、も言えない男やめちまえ」
「……」
「待たない、って言え」
「……」
「俺のもんになれ……つーか」


「俺のもんにする」


 そう言って羽鳥くんの手に力が入った……抱きしめられた。

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