1 / 32
本編
私の人生・1
しおりを挟む
――バンッ!と扉の閉まる音がして事務所にいた人間はそれで察知する。
(あぁ、今日はGMの機嫌が悪い)
GMは、グループマネージャーのことで、うちの部署をまとめる人。何チームかに分かれている直属の上司はチームマメージャー(TM)が対応してくれるもののGMが結局は部署を統括しているので顔色を伺うのは日常だ。
そしてそのGMこと大八木さんはとても感情の起伏が激しい。社会人として上に立つ者としてどうなの?と思うくらい日によって態度が変わる。基本は自分の機嫌と都合なんだろうけど。それでも仕事が出来る人らしく業績重視のブラックな会社は都合よく目を瞑っている。部署の人間が耐えればいい、そんな感じだ。
「望月さん」
TMの澤田さんに呼ばれて顔を上げた。
「はい」
「僕これからA社と打合せになるからそのまま直帰になるし、何かあったらメールか……緊急なら個人携帯でもいいしかけてね」
「わかりました」
「来週会議で使う資料の準備進めておいて。よろしく」
「はい」
澤田さんは落ち着いた優しい人で仕事するうえではとてもありがたい。いつだってGMとの間には澤田さんが入ってくれるからとても頼りになるのだが――。
「これどうなってるんだ」
その間に入ってくれる澤田さんがいない午後、GMに呼び出されて結構派手に怒られた。しかもとても理不尽な理由で。
「この進捗状況が全く変わらないのはどうしてだ。ここの製品を作ることができるよう準備を進めていかないと話にならないのはわかるよな?加工業者と組立作業者の意見もどれだけ取り入れた?納期がまだあると思って舐めてんのか」
「そんなことはありません!今回は1ユニットで少なくても数十点……多いと百点近い部品を設計するので、外注設計業者に振っている分も多くてそれが……」
「言い訳なんか聞いてないんだよ!」
バンッと書類でデスクを叩かれて肩が震えた。
「とにかく進捗状況をもっと事細かく記載して第三者が状況を把握しやすいようにスケジュールを書き直せ!」
そう言われても外注に頼んでる分の事細かな詳細スケジュールなんかわかるわけない。とりあえず先方に電話して状況を聞いてみるしかないかな。あとは他部署に相談して進捗状況を確認して……頭の中でいろいろ算段しつつ今日の業務を後回しにしてGMに言われた仕事に手を付けた。
(あぁ、今日はGMの機嫌が悪い)
GMは、グループマネージャーのことで、うちの部署をまとめる人。何チームかに分かれている直属の上司はチームマメージャー(TM)が対応してくれるもののGMが結局は部署を統括しているので顔色を伺うのは日常だ。
そしてそのGMこと大八木さんはとても感情の起伏が激しい。社会人として上に立つ者としてどうなの?と思うくらい日によって態度が変わる。基本は自分の機嫌と都合なんだろうけど。それでも仕事が出来る人らしく業績重視のブラックな会社は都合よく目を瞑っている。部署の人間が耐えればいい、そんな感じだ。
「望月さん」
TMの澤田さんに呼ばれて顔を上げた。
「はい」
「僕これからA社と打合せになるからそのまま直帰になるし、何かあったらメールか……緊急なら個人携帯でもいいしかけてね」
「わかりました」
「来週会議で使う資料の準備進めておいて。よろしく」
「はい」
澤田さんは落ち着いた優しい人で仕事するうえではとてもありがたい。いつだってGMとの間には澤田さんが入ってくれるからとても頼りになるのだが――。
「これどうなってるんだ」
その間に入ってくれる澤田さんがいない午後、GMに呼び出されて結構派手に怒られた。しかもとても理不尽な理由で。
「この進捗状況が全く変わらないのはどうしてだ。ここの製品を作ることができるよう準備を進めていかないと話にならないのはわかるよな?加工業者と組立作業者の意見もどれだけ取り入れた?納期がまだあると思って舐めてんのか」
「そんなことはありません!今回は1ユニットで少なくても数十点……多いと百点近い部品を設計するので、外注設計業者に振っている分も多くてそれが……」
「言い訳なんか聞いてないんだよ!」
バンッと書類でデスクを叩かれて肩が震えた。
「とにかく進捗状況をもっと事細かく記載して第三者が状況を把握しやすいようにスケジュールを書き直せ!」
そう言われても外注に頼んでる分の事細かな詳細スケジュールなんかわかるわけない。とりあえず先方に電話して状況を聞いてみるしかないかな。あとは他部署に相談して進捗状況を確認して……頭の中でいろいろ算段しつつ今日の業務を後回しにしてGMに言われた仕事に手を付けた。
46
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
【R18】はにかみ赤ずきんは意地悪狼にトロトロにとかされる
梗子
恋愛
森の入り口の村に住むクレアは、子どもたちに読み書きを教えて暮らしているごく普通の村娘
そんなクレアは誰にも言えない秘密を抱えていた
それは狼男の恋人のロイドがいるということー
ある日、村の若者との縁談を勧められるが、そのことがロイドに知られてしまう。
嫉妬に狂ったロイドはクレアを押し倒して…
※★にR18シーンがあります
※若干無理矢理描写があります
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
【R18】副騎士団長のセフレは訳ありメイド~恋愛を諦めたら憧れの人に懇願されて絆されました~
とらやよい
恋愛
王宮メイドとして働くアルマは恋に仕事にと青春を謳歌し恋人の絶えない日々を送っていた…訳あって恋愛を諦めるまでは。
恋愛を諦めた彼女の唯一の喜びは、以前から憧れていた彼を見つめることだけだった。
名門侯爵家の次男で第一騎士団の副団長、エルガー・トルイユ。
見た目が理想そのものだった彼を眼福とばかりに密かに見つめるだけで十分幸せだったアルマだったが、ひょんなことから彼のピンチを救いアルマはチャンスを手にすることに。チャンスを掴むと彼女の生活は一変し、憧れの人と思わぬセフレ生活が始まった。
R18話には※をつけてあります。苦手な方はご注意ください。
【R18】スパダリ幼馴染みは溺愛ストーカー
湊未来
恋愛
大学生の安城美咲には忘れたい人がいる………
年の離れた幼馴染みと三年ぶりに再会して回り出す恋心。
果たして美咲は過保護なスパダリ幼馴染みの魔の手から逃げる事が出来るのか?
それとも囚われてしまうのか?
二人の切なくて甘いジレジレの恋…始まり始まり………
R18の話にはタグを付けます。
2020.7.9
話の内容から読者様の受け取り方によりハッピーエンドにならない可能性が出て参りましたのでタグを変更致します。
極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
春瀬湖子
恋愛
恋人を親に紹介した帰り、勝手に玉の輿を期待していた彼から「騙したな」と罵倒された木浦朱里。
というかそもそも社長令嬢だなんて私は一言も言ってないんだけど……!?
更に朱里との夜の生活もつまらなかったなんて言われ、そこまで言われるなら経験とやらを積んでやるわ、と開き直ったところで彼女に声をかけてきたのは――
別れ話の時に偶然近くの席に座っていた顔のいい男×仕事好きな少し頑固系ヒロインの偶然が運命に変わるまで。
※他サイト様にも投稿しております。
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる