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第八話 お兄さんはショタコンではない、はず

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side ダリアン

 控えめなノックの後に現れた淫魔くんは、想像以上に俺のタイプだった。くりんくりんの触り心地の良さそうな黒髪に、少し吊り上がった猫目からは淫魔特有の赤い瞳が覗く。ぷっくりと色づいた唇は加虐嗜好など無くとも、かを無理やりねじ込みたくなってしまう。淫魔といえばヘソ出しスタイルだと思っていたが、淫魔くんは白いロンTに黒いスキニーパンツという出で立ちのためその中までは伺えない。しかし、服の上からでも淫魔くんが随分と痩せていることがわかった。

 何故だかはわからないが俺に怯えている様に見えたので、できる限り優しく声をかける。かなり低い位置にある視線に合わせて微笑めば、淫魔くんは慌てた様に弁明を始めた。

「...その、まだ傷が癒えていなくて...、できれば血の出るの以外だと...」

 なるほど、淫魔くんの立ち位置がわかった。彼はこの娼館では特殊性癖を持った客の相手をしているのだろう。娼夫としている割に性に関する知識が乏しく、身体が未発達なことも納得だ。こんな何も知らない純粋な子をいい様に利用し、血が出るまで痛めつける人間がいることにギリと歯を噛み締める。いつの間にか俺の顔からは笑みが消えていた。

「…それと、あの、僕、もしかしたらお聞きかもしれませんが淫魔として不能で…魅了チャーム発情ヒートも使えないんです…それに、大変申し訳ないのですが、まだお客様を受け入れる準備ができていなくて、少しお時間いただければ、すぐに慣らしますので…ほんとうにごめんなさい…」

 しょんぼりとそう謝った淫魔くんは俯いて肩を震わせる。何ひとつ悪くない彼を謝らせてしまった。ベッドの上で快感に涙を溢すのならまだしも、こんなことで泣かせてしまった自分に怒りが沸く。濡れないのなんて当たり前だ。どこに血が出ているのに勃つ人間だいるだろう。そんな変態、探すほうが難しい。この時点で俺は淫魔くんが不感症なんかじゃないことを確信した。

 普段からこういう傷を負うことがあるのかと問えば、自分は出来損ないだから仕方がないのだと言う。俺は堪らなくなって淫魔くんを抱きしめた。思った以上に薄い身体は少し力を込めれば今にも折れそうだ。初めは腕の中で身を固くしていた淫魔くんは、少しは俺になれてくれた様でちょこんとシャツの端を掴んできた。可愛い。

 よし、決めた。この子は俺が助けよう。

 何を迷うことがある。俺は自由を愛するフリーの魔術師だ。今回の仕事は調査だけだが、片付き次第この娼館を潰そう。1週間もあればできないこともない。どうやら横領にデリエラも一枚噛んでいそうだし、叩けばいくらでも埃が出るはずだ。すべて片付いたら淫魔くんを迎えにこよう。

 俺は勝手にそう決心すると、腕の中にいる淫魔くんに意識を戻す。まずは心を開いてもらうところから始めなくては。きっと淫魔くんは性行為=苦痛だと思っている。ベッドに移動して自らの膝の上に座らせ、セックストはどう言うものかを教えていく。何も知らない無垢な少年にイケナイことをしている気分になる。手癖が悪くてつい目の前にある髪や耳を弄んでしまう。黒い癖毛はふわふわで触り心地が良く、いつまでもそうしていられた。

 いざ尋常にと服を脱がせば、夥しい数の傷がそこにあった。新しいものからかなり古いものまで。脇腹には黒くなた痣、背面には恐らく鞭によるミミズ腫れ、手首足首に拘束痕。何があったのかは一目瞭然だ。発情ヒートができないばかりに治癒力も人間と変わらないのだろう。こんなに傷だらけならどんな気持ち良くても俺とのセックスだけに集中するのは難しい。それに、他の男の影がちらつくなんて俺が許せない。俺は快感にトロトロになった淫魔くんが見たいのだ。流れる様に服を剥ぎ、淫魔くんの身体に回復魔法をかける。

 傷が治った淫魔くんは大きな紅い瞳からポロポロと涙を流して喜んでくれた。俺が服を剥いだことに気付いていないのか、全裸のまま淫魔くんはベッドの端でちょこんと土下座して見せた。そして顔を上げて最高に可愛い笑顔を見せてくれた。完全にロックオンだ。やっぱり泣いているよりもずっと良い。俺はより小さくなった淫魔くんを腕の中に抱き込んで、見えない様に舌を舐めた。よし、これで専念できる。

 花弁をめくる様に丁寧に丁寧に愛撫すれば、淫魔くんはすぐに快感の糸を手繰り寄せた。かれこれ一時間近くこうしているが、一度も触れていないのに淫魔くんの小ぶりなペニスはふるりと震え、蜜をこぼしていた。愛しくてたまなくて、全身くまなくキスをする。セックス初心者の淫魔くんが怖がらない様に優しく、丁寧に。夜はまだ長いのだからとイキそうになる度に手を止めれば、もどかしそうに身体をくねらせる。息が上がり全身ほんのりと赤く色づいた淫魔くんに、そろそろかなと太腿の付け根に手を這わせる。ああ、やっぱり。くちゅりと水音がして、指先は愛液に濡れていた。

「ほらね、君は不干渉なんかじゃないだろ。」

 ほらどうだと不適に笑って見せれば、ぽかんと俺の指先を見つめたあと、吹き出す様に笑い出す。少し子どもっぽいことを言った自覚はあるが、今のところ楽しんでくれている様子に安心する。そして、余裕がありそうなのでそろそろ俺のことも気持ち良くしてもらおう。

 まずはキスから。小さな口を埋め尽くす様にたっぷりじっくり堪能させてもらう。逃げ回る舌を追い回し、わざと音を立てる様に深く口付けた。少しずつ身体から何かが抜けていく様な感覚がして、それが精気なのだと気付く。顔を離すと唾液がつうとつたい、その先には顔を蕩けさせた淫魔くんがいた。物足りなそうに口元を見つめて、俺の精気が美味しかったと宣うのだからもう堪らない。この子は自分が何を言っているのか分かっているだろうか。本当に末恐ろしい子だ。今まで余程栄養不足だったのか、キスから精気を吸収しただけで、先ほどよりも血色良く、髪も艶が増した様に見える。今でもこんなに可愛い淫魔くんがこの先どう化けるのかと思うとゾクゾクした。

 自分で慣らすと言う淫魔くんを制し、トロトロと蜜をこぼし続けるアナにつぷりと指を入れる。発情ヒートしているにしては未だ固いナカを丁寧に解していく。初めは異物を追い出そうと侵入を拒んでいた後孔も、少しずつ愛でる様に撫でていけば、三本目の指を入れる頃にはきゅうきゅうと甘える様に吸い付いてきた。自慢のゴットハンドで前立腺を探り当て、猫の喉を撫でる様に擦れば、淫魔くんの身体ははビクビクと面白いくらい跳ねた。恐らくココで感じるのも初めてな淫魔くんは、感じすぎて泣いてしまう。大丈夫、君が感じている証拠だ、と抱きしめて顔中にキスを散らせば、次第に淫魔くんはくたりと身体の力を抜いていく。

 自分も服を脱ぎ、かなり序盤から張り詰めて痛みを訴えていた自身を取り出す。いつもより一回りは大きい様なソレに、童貞かと溜息が出る。

 経験値はどこ行ったんだ我が息子よ。どうにか頑張ってくれよ、淫魔くんは初めてなんだ。

「...はじめて?でも僕、処女では...」

「今までのはセックスなんかじゃなくてただの暴力だ。いいかいルフェル、君はまだ本当の快感を知らない。だから、...君はまだ処女だ。」

 もはや洗脳する勢いで言い切れば、考えることをやめたのか淫魔くんはこくりと頷いた。ちょろい、ちょろ過ぎる。かなり心配にはなるがそこがかわいい。誤発射しそうな息子を気合いと根性で鎮め、はくはくと息をするアナルに当てがう。ゆっくりと押し込んでいけば、多少ナカは窮屈でも特に抵抗なく飲み込んでくれた。

「んあ、ん、あっ、んん、ん、んぅ、」

 腰を押し進める度に、淫魔くんはそれはそれは甘いこえで啼いてくれた。全て収め終え、馴染ませる為に身体をぴたりと密着させたままじっとする。むにむにと精気を絞り取ろうと収縮する胎内の動きに俺はもう瀕死寸前だ。しっかりしろ。絶倫、性欲魔神と謳われたこのダリアンが挿入れただけでイってどうする。

 頼む淫魔くん、少しでいいからじっとしていてくれ。君のためなんだ。

 そんな俺の葛藤など露知らず、一つになれて嬉しいと幸せそうに涙を溢す。ああ、もう泣き虫だなあ。涙をぺろりと舐めとれば、くすぐったそうに身を捩る。やっぱり、こうひとつひとつ愛を確かめる様に身体を重ねるのはいいなあと気が緩んでいると、淫魔くんはとんでもない爆弾を投下してくれた。

「...だ、大好きです!」

 そう言って照れ隠しなのか抱きついてくる淫魔くん。この子、何してるのか分かってるのかな。...ちょっと出たかもしれない。まずい、思い出せ。ジルベルトのキス顔、女装、ジャングルに覆われたイチモツ。よし、少し萎えた。俺も好きだと返せばくふふと嬉しそうに笑って猫みたいに頭を擦り付けてくる。可愛い。もう少しこのままじゃれていたい気持ちもあるが、ジルベルト効果もそろそろ限界だ。動いてもいいかと問えば、「僕で気持ちよくなってください」ときた。この哀れな淫魔くんはこんな時ですら自分は二の次なのか。大丈夫、君のこともたっぷり気持ち良くさせてあげるよ。

 それから俺がイクまでの間に淫魔くんは数え切れないほど達し続けた。前立腺を擦り、奥の入り口をノックし、ずろりと抜く度にビクビクと震え、少しずつ薄くなっていく精を吐き出す。本人は気付いていない様だがその度に「すき、だいすき、」と溢すのだ。淫魔とは本来、甘えたで気まぐれな生き物だ。ここにきて理性の糸が切れ、その本質が出てきたのだろう。少し身体を離すだけで嫌々と首を振り、俺も好きだと言えば分かりやすくナカを締め付けて求愛してくれた。俺がようやく吐精すると、一緒にイッた淫魔くんは満足気に腹を撫でる。もう食べれないと言わんばかりにベッドに沈む淫魔くんには悪いが、

 一回イって余裕のできた俺は、より淫魔くんのイイところを狙って腰を動かす。気付けば淫魔くんの健気なペニスは弱々しく潮を噴いていた。粗相をしてしまったと慌てる淫魔くんに、ちゃんと感じている証拠だ、偉いねと褒めれば、ぽやあんと焦点の合わない目で見上げてくる。

「わ、ほめてもらえた。うれしいな。ぼく、えらいんだって。ふふ。なんだか、きょうは、いいひだなあ...」

 もはや俺の声も届いていない淫魔くんはだんだんと声から抑揚がなくなっていく。ああ、いいな。この身体が一つになる感覚。俺は淫魔くんが失神するまでその極上の身体に酔いしれ、腰を振り続けた。

「あっ、も、むい、もう、いけないっ」

「...や、やらっ!...あぅっ、ゃ、ま、またっ!...イっちゃう...ッ!」

「あっん、あ、...んぅ、......あ、...あ、......ぁ、......]
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