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ミリアル王国帰還編
4. ごほうびにショコラをもらったよ
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目が覚めたら、ご主人が腰につけたバッグの中だった。あれ、オレどうしたんだっけ?
「キリ、目が覚めた?体調は大丈夫?ワイバーンとの戦闘で魔力を使いすぎて、気を失ったんだと思うけど」
ああ、あれか。魔法が使えるようになった最初のころは加減が分からなくて魔力の使い過ぎで何日か寝てしまうことがあったけど、今回も多分同じだ。グロテスクなワイバーンを見たくなくて、バッグの中から適当にバンバン治癒魔法を飛ばしていたから、無駄に大量の魔力を消費したらしい。体調は悪くないし、寝ていたのも1日に満たないから、大したことじゃないでしょう。
ご主人、お腹が空いたので、ご飯ちょうだい。頑張ったご褒美にショコラでもいいよ。
「ショコラはダメ。干し肉ね」
「キリちゃん、目が覚めたのか。よかった。体調は大丈夫?」
オレが目が覚めたのにいち早く気づいたデレマッチョが近づいてきた。オレとジルにはデレデレだけど、グループには的確な指示を出していたし、あらためて冒険者としては優秀だよな。
他の冒険者たちからも、目覚めて良かったと声を掛けられるが、ちゃんと戦況を見ながら治癒魔法を使っていれば倒れたりしなかったので、なんだか心苦しい。みんな、心配かけてごめんね。
オレたちは2グループ合わせて、後方支援のキャンプ地までゆっくりと戻っている最中だ。先にワイバーンにあってしまったグループは武器や装備の損傷もあるし、オレが治したとはいえ大怪我をしたのだ。オレたちの到着がもう少し遅ければ犠牲者が出ていただろう。
そういう意味では、あのワイバーンに出会ってすぐオレたちを探しに3人を出したリーダーの判断が正しかったってことだな。
というかジル、何を咥えてるんだ。その骨ってもしかして。
「討伐の証拠にワイバーンの骨を1つ持って帰ることになったんだけど、ジルが気に入ったんだよ」
こらジル、そんなばっちいもの止めなさい。しかもその骨ちょっと瘴気がまとわりついてるよ。
硬くて噛み応えがあるって、そういう問題じゃないでしょ。ガジガジしないの。
瘴気をまとってなければワイバーンは骨も素材として高く売れるそうで、オレが浄化しちゃえばいいんだけど、そうするとオレの浄化能力がバレちゃうから諦めるそうだ。後方支援のところでギルドに見せるために、瘴気の薄そうなのを持ってきたらしいけど、ジルは後からこっそり浄化しておこう。ジルを溺愛しているリュードが止めないのは、オレが浄化できるのを知ってるからだろうな。
本来ワイバーンは皮が硬くて魔法耐性も強く、倒すのに苦労する相手らしいが、あのワイバーンはゾンビ化して一部骨も見えていたから、魔法がそれなりには効いたらしい。それでも普通の魔物よりは利かなかったけど、そこはオレが魔力を回復していくから、ご主人をはじめ2グループの魔法使いが魔法を撃ちまくったおかげで、そこまで苦労せずに倒せたそうだ。
「イタチ、ありがとう。治癒の料金は戻ったら払う」
「無理させて悪かったが、助かった。ありがとう」
いいってことよ。
カッコよくポーズをしてみたけど、可愛いな、と言われてしまった。やっぱりオレにカッコいいは似合わないのか。可愛さがあふれ出ちゃうんだな。
オレが眠ってしまう直前に治癒した冒険者にお礼を言われたけど、上級治癒魔法が必要だったこの2人は、別料金でオレに治癒の費用を払わなければならない。ワイバーン討伐の特別報酬がそのままオレのところに入ってくるっぽい。怪我した上に報酬ももらえなくて災難だな。
今回オレが眠ってしまったのは、バッグの中から適当に治癒魔法を乱発したことによる魔力の盛大な無駄遣いのせいだけど、それは内緒にして、これがオレの限界ということにしておくらしい。普通に治癒していれば今回の戦闘でも魔力が枯渇することはなかったはずだけど、そうなるとオレの魔力量ってどれだけあるんだと注目を集めてしまうからだ。
ご主人にそんな気が遣えるはずもなく、決めたのはキュリアンだ。頼れるリーダーだね。
それから時々出てくる魔物を倒しながら、後方のキャンプ地まで戻った。
最初にワイバーンと当たったグループは、ワイバーンに当たるまでほとんど魔物がいなかったらしいけど、おそらくアイツから他の魔物が逃げていたせいだろう。デレマッチョと向こうのグループのリーダーがそんな話をしていた。
「キリくん、お帰りなさい。キリくんのおかげで、こちらにはあまり怪我人が来なくて助かったわ」
キャンプ地に戻ったら、姫に歓迎された。オレと一緒にいるグループから怪我人が運ばれてこないから、魔力の残りを心配して、治癒する人を選ぶ必要もなかったらしい。よかったよかった。
デレマッチョたちがギルドにワイバーンの報告をするために、ジルお気に入りの骨を取り上げると、ジルがしょげてしまった。
「ジルくん、ごめんね。今度瘴気に侵されてないワイバーンを狩ってくるから、この骨はちょうだいね」
「ワフゥ」
「リーダー、ワイバーンなんて、俺たちだけで倒せるわけないだろう」
「共闘するパーティーを探す。今回のことで倒し方はなんとなく分かった」
「そもそも、ワイバーンなんてどこにいるんだよ」
「探す。見てみろ、骨を取り上げられて、ジルくんが可哀想じゃないか」
いやいや待て待て。デレマッチョが本気でワイバーンを狩るつもりだ。デレマッチョのパーティーメンバーが、諦めた顔でデレマッチョを見てるよ。大丈夫か?いつかパーティーメンバーに愛想をつかされないか?
ちなみにジルはリュードに干し肉を貰って、すでに骨のことは忘れてるっぽいぞ。
その時、別のグループが帰って来た。怪我人がいるようで、姫に呼ばれたので、オレはお仕事モードに切り替えだ。
「キリくん、軽傷の人は私が治癒するから、重傷の人をお願いできるかしら?魔力は大丈夫?」
はいはーい。任されました!5人分働くよー。
さすが一斉討伐に何度も参加している姫、パパっと軽傷の人と重傷の人を分けて、歩けない人は姫の取り巻きの筋肉たちに運ばせている。
姫の筋肉たちはそれぞれ1人分の参加料をもらって、治癒を必要とする人の整理とかポーションの配布とかの裏方を引き受けている。筋肉の無駄遣いな気もするけど、自分を優先して治癒しろとかって暴れる人もいるから、後方の治安維持に意外と重宝されているらしい。
その筋肉たちが運んできた、中級の治癒魔法で治る人たちをまとめて一気に治癒だ。えいっ。
「おお、治った」
「イタチすげーな。ありがと」
どういたしまして。
どさくさに紛れてオレの頭をわしゃわしゃしていく奴もいるが、オレは繊細だからもうちょっと優しく扱ってよね、もう。ご主人とお揃いのリボンがずれちゃったじゃないか。
幸い上級魔法が必要な人はいなかったのでオレの担当は終わり、リボンのずれを直していたら、姫に呼ばれた。
「軽傷に見えるけど、治癒魔法が効かないの。瘴気のせいだと思うんだけど」
「きっと瘴気のせいです。姫の治癒能力は素晴らしいのですから!」
「そうです!姫のせいではありません!」
筋肉が暑苦しく称えているけど、まあ確かに瘴気のせいだね。
あまり魔力に余裕のない姫の魔力を回復させる。どうせだから姫が治癒するといいよ。
「キリが魔力を回復させるので、姫が中級魔法をかけてみてください」
「今のが魔力回復魔法なのね。自分が受けることがないから新鮮だわ」
そうだよね。姫はかける側だもんね。
オレが姫の魔力を回復させ、姫が中級の治癒魔法を何度かかけると、なんとなく傷が塞がった。それでも治りきらないから、後は教会にお任せだ。
「キリくんさすがね、ありがとう。私たちにできるのはここまでだから、後は教会で浄化してもらって」
「分かった。でもまあここまで塞がればそのうち自然に治るだろ。イタチもありがとな」
瘴気はうっすらとだから放っておいてもそのうちなくなるらしいけど、傷の回復は遅くなる。早く治したい場合は教会で浄化してもらうけど、冒険者は傷跡をあまり気にしないので、活動に支障がないくらいに傷が塞がったらそのまま放置することが多いんだそうだ。
そういえば、ジルが腐れワイバーンの骨をかじってたけど、浄化してないや。周りの冒険者に遊んでもらってるジルを呼び寄せた。
ジル、あーって口開けて。骨の瘴気の影響がないか診るから。
あー。
うん、特にないけど、一応浄化しておくよ。内緒だぞ。
ありがと、キリ。
あんなに怖かったジルの牙も、今じゃ可愛いもんだと思えるから慣れってすごいね。ワイバーンは無理だけど、あの牙と顎の力で骨も砕いちゃうのにな。
ところでご主人。オレ頑張ったよね。オレがいなかったらワイバーン倒せなかったかもしれないし、オレ超頑張ったよね。
ってことで、ショコラ下さい!
「キリ、ショコラはダメ。またお腹痛くなっちゃったら困るでしょ」
今なら姫もいるから、1個くらいならいいじゃん。頑張ったからちょーだい。ご主人お願い!うるうる。
「フレッド、まあ1個くらいならいいんじゃないか?」
「でもキース、またキリが倒れたら……」
「毎日じゃないんだ。今日だけ一斉討伐の褒美に1個なら大丈夫だろう」
キース、たまにはいいこと言うじゃん!今度怪我したら念入りに治癒してあげるよ。
ご主人がバッグからショコラを取り出して、1個オレに渡してくれた。ご主人のバッグの中にはオレのために買ったショコラが大量に眠っているんだ。
いただきます!かりっ。
はあ、ショコラはやっぱり至高の食べ物だねえ。
「キリちゃん、ショコラを食べて大丈夫?」
「ご褒美に1つだけ食べたいって聞かなくて」
「フレッドはキリくんの泣き落としに弱そうだもんなあ。これからはやる前に必ずキースかオレに聞けよ。ウィラー、ねだられても絶対ダメだからな」
「分かっている」
キュリアン、余計なこと言うなよ!キースもアシストしてくれたし、今後もうるうる攻撃でご主人を落とせると思ったのにー。
でも今日はショコラを貰ってご機嫌だから許して進ぜよう。うまうま。
「キリ、目が覚めた?体調は大丈夫?ワイバーンとの戦闘で魔力を使いすぎて、気を失ったんだと思うけど」
ああ、あれか。魔法が使えるようになった最初のころは加減が分からなくて魔力の使い過ぎで何日か寝てしまうことがあったけど、今回も多分同じだ。グロテスクなワイバーンを見たくなくて、バッグの中から適当にバンバン治癒魔法を飛ばしていたから、無駄に大量の魔力を消費したらしい。体調は悪くないし、寝ていたのも1日に満たないから、大したことじゃないでしょう。
ご主人、お腹が空いたので、ご飯ちょうだい。頑張ったご褒美にショコラでもいいよ。
「ショコラはダメ。干し肉ね」
「キリちゃん、目が覚めたのか。よかった。体調は大丈夫?」
オレが目が覚めたのにいち早く気づいたデレマッチョが近づいてきた。オレとジルにはデレデレだけど、グループには的確な指示を出していたし、あらためて冒険者としては優秀だよな。
他の冒険者たちからも、目覚めて良かったと声を掛けられるが、ちゃんと戦況を見ながら治癒魔法を使っていれば倒れたりしなかったので、なんだか心苦しい。みんな、心配かけてごめんね。
オレたちは2グループ合わせて、後方支援のキャンプ地までゆっくりと戻っている最中だ。先にワイバーンにあってしまったグループは武器や装備の損傷もあるし、オレが治したとはいえ大怪我をしたのだ。オレたちの到着がもう少し遅ければ犠牲者が出ていただろう。
そういう意味では、あのワイバーンに出会ってすぐオレたちを探しに3人を出したリーダーの判断が正しかったってことだな。
というかジル、何を咥えてるんだ。その骨ってもしかして。
「討伐の証拠にワイバーンの骨を1つ持って帰ることになったんだけど、ジルが気に入ったんだよ」
こらジル、そんなばっちいもの止めなさい。しかもその骨ちょっと瘴気がまとわりついてるよ。
硬くて噛み応えがあるって、そういう問題じゃないでしょ。ガジガジしないの。
瘴気をまとってなければワイバーンは骨も素材として高く売れるそうで、オレが浄化しちゃえばいいんだけど、そうするとオレの浄化能力がバレちゃうから諦めるそうだ。後方支援のところでギルドに見せるために、瘴気の薄そうなのを持ってきたらしいけど、ジルは後からこっそり浄化しておこう。ジルを溺愛しているリュードが止めないのは、オレが浄化できるのを知ってるからだろうな。
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「イタチ、ありがとう。治癒の料金は戻ったら払う」
「無理させて悪かったが、助かった。ありがとう」
いいってことよ。
カッコよくポーズをしてみたけど、可愛いな、と言われてしまった。やっぱりオレにカッコいいは似合わないのか。可愛さがあふれ出ちゃうんだな。
オレが眠ってしまう直前に治癒した冒険者にお礼を言われたけど、上級治癒魔法が必要だったこの2人は、別料金でオレに治癒の費用を払わなければならない。ワイバーン討伐の特別報酬がそのままオレのところに入ってくるっぽい。怪我した上に報酬ももらえなくて災難だな。
今回オレが眠ってしまったのは、バッグの中から適当に治癒魔法を乱発したことによる魔力の盛大な無駄遣いのせいだけど、それは内緒にして、これがオレの限界ということにしておくらしい。普通に治癒していれば今回の戦闘でも魔力が枯渇することはなかったはずだけど、そうなるとオレの魔力量ってどれだけあるんだと注目を集めてしまうからだ。
ご主人にそんな気が遣えるはずもなく、決めたのはキュリアンだ。頼れるリーダーだね。
それから時々出てくる魔物を倒しながら、後方のキャンプ地まで戻った。
最初にワイバーンと当たったグループは、ワイバーンに当たるまでほとんど魔物がいなかったらしいけど、おそらくアイツから他の魔物が逃げていたせいだろう。デレマッチョと向こうのグループのリーダーがそんな話をしていた。
「キリくん、お帰りなさい。キリくんのおかげで、こちらにはあまり怪我人が来なくて助かったわ」
キャンプ地に戻ったら、姫に歓迎された。オレと一緒にいるグループから怪我人が運ばれてこないから、魔力の残りを心配して、治癒する人を選ぶ必要もなかったらしい。よかったよかった。
デレマッチョたちがギルドにワイバーンの報告をするために、ジルお気に入りの骨を取り上げると、ジルがしょげてしまった。
「ジルくん、ごめんね。今度瘴気に侵されてないワイバーンを狩ってくるから、この骨はちょうだいね」
「ワフゥ」
「リーダー、ワイバーンなんて、俺たちだけで倒せるわけないだろう」
「共闘するパーティーを探す。今回のことで倒し方はなんとなく分かった」
「そもそも、ワイバーンなんてどこにいるんだよ」
「探す。見てみろ、骨を取り上げられて、ジルくんが可哀想じゃないか」
いやいや待て待て。デレマッチョが本気でワイバーンを狩るつもりだ。デレマッチョのパーティーメンバーが、諦めた顔でデレマッチョを見てるよ。大丈夫か?いつかパーティーメンバーに愛想をつかされないか?
ちなみにジルはリュードに干し肉を貰って、すでに骨のことは忘れてるっぽいぞ。
その時、別のグループが帰って来た。怪我人がいるようで、姫に呼ばれたので、オレはお仕事モードに切り替えだ。
「キリくん、軽傷の人は私が治癒するから、重傷の人をお願いできるかしら?魔力は大丈夫?」
はいはーい。任されました!5人分働くよー。
さすが一斉討伐に何度も参加している姫、パパっと軽傷の人と重傷の人を分けて、歩けない人は姫の取り巻きの筋肉たちに運ばせている。
姫の筋肉たちはそれぞれ1人分の参加料をもらって、治癒を必要とする人の整理とかポーションの配布とかの裏方を引き受けている。筋肉の無駄遣いな気もするけど、自分を優先して治癒しろとかって暴れる人もいるから、後方の治安維持に意外と重宝されているらしい。
その筋肉たちが運んできた、中級の治癒魔法で治る人たちをまとめて一気に治癒だ。えいっ。
「おお、治った」
「イタチすげーな。ありがと」
どういたしまして。
どさくさに紛れてオレの頭をわしゃわしゃしていく奴もいるが、オレは繊細だからもうちょっと優しく扱ってよね、もう。ご主人とお揃いのリボンがずれちゃったじゃないか。
幸い上級魔法が必要な人はいなかったのでオレの担当は終わり、リボンのずれを直していたら、姫に呼ばれた。
「軽傷に見えるけど、治癒魔法が効かないの。瘴気のせいだと思うんだけど」
「きっと瘴気のせいです。姫の治癒能力は素晴らしいのですから!」
「そうです!姫のせいではありません!」
筋肉が暑苦しく称えているけど、まあ確かに瘴気のせいだね。
あまり魔力に余裕のない姫の魔力を回復させる。どうせだから姫が治癒するといいよ。
「キリが魔力を回復させるので、姫が中級魔法をかけてみてください」
「今のが魔力回復魔法なのね。自分が受けることがないから新鮮だわ」
そうだよね。姫はかける側だもんね。
オレが姫の魔力を回復させ、姫が中級の治癒魔法を何度かかけると、なんとなく傷が塞がった。それでも治りきらないから、後は教会にお任せだ。
「キリくんさすがね、ありがとう。私たちにできるのはここまでだから、後は教会で浄化してもらって」
「分かった。でもまあここまで塞がればそのうち自然に治るだろ。イタチもありがとな」
瘴気はうっすらとだから放っておいてもそのうちなくなるらしいけど、傷の回復は遅くなる。早く治したい場合は教会で浄化してもらうけど、冒険者は傷跡をあまり気にしないので、活動に支障がないくらいに傷が塞がったらそのまま放置することが多いんだそうだ。
そういえば、ジルが腐れワイバーンの骨をかじってたけど、浄化してないや。周りの冒険者に遊んでもらってるジルを呼び寄せた。
ジル、あーって口開けて。骨の瘴気の影響がないか診るから。
あー。
うん、特にないけど、一応浄化しておくよ。内緒だぞ。
ありがと、キリ。
あんなに怖かったジルの牙も、今じゃ可愛いもんだと思えるから慣れってすごいね。ワイバーンは無理だけど、あの牙と顎の力で骨も砕いちゃうのにな。
ところでご主人。オレ頑張ったよね。オレがいなかったらワイバーン倒せなかったかもしれないし、オレ超頑張ったよね。
ってことで、ショコラ下さい!
「キリ、ショコラはダメ。またお腹痛くなっちゃったら困るでしょ」
今なら姫もいるから、1個くらいならいいじゃん。頑張ったからちょーだい。ご主人お願い!うるうる。
「フレッド、まあ1個くらいならいいんじゃないか?」
「でもキース、またキリが倒れたら……」
「毎日じゃないんだ。今日だけ一斉討伐の褒美に1個なら大丈夫だろう」
キース、たまにはいいこと言うじゃん!今度怪我したら念入りに治癒してあげるよ。
ご主人がバッグからショコラを取り出して、1個オレに渡してくれた。ご主人のバッグの中にはオレのために買ったショコラが大量に眠っているんだ。
いただきます!かりっ。
はあ、ショコラはやっぱり至高の食べ物だねえ。
「キリちゃん、ショコラを食べて大丈夫?」
「ご褒美に1つだけ食べたいって聞かなくて」
「フレッドはキリくんの泣き落としに弱そうだもんなあ。これからはやる前に必ずキースかオレに聞けよ。ウィラー、ねだられても絶対ダメだからな」
「分かっている」
キュリアン、余計なこと言うなよ!キースもアシストしてくれたし、今後もうるうる攻撃でご主人を落とせると思ったのにー。
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