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世界を越えてもその手は 5章 新しい街の建設

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◆サネバの工事現場(1. 新しい街をつくる)

「坊主、この岩動かしてくれるか」
「はい、どうぞ」
「ありがとな。坊主がいると工事が楽だわ」

「おい、あの親方、アイテムボックス持ちあんなことに使ってるけどいいのか?」
「最初は向こうからやりますよって言ってくれたんだよ。今じゃ、手が空いてるときなら、普通にやってくれるぞ」
「いいやつだな」
「でもあのちっこいのが現場うろうろしてると、蹴りそうで怖いな」
「本人気にしてみてるみたいだから言ってやるな」


◆ゾヤラのギルド(2. 喧嘩)

「ユウくんとアルさんが喧嘩ってどういうこと?」
「アルさんが元カノとよりを戻すとか、ないだろう」
「でもユウくんがアルさんを置いて行ったって」
「ただの噂だろう」

「買取お願いします。あと僕たちに伝言来ていませんか?」
「金額はこちらになります。伝言ですが、アレックスさんから宿まで来てほしいと」
「アルさん、まだゾヤラにいるんだ」
「じゃあユウくんが置いて行ったって言うのはホントなのか」

「来てもらって悪いな」
「いえ。ユウくんは……」
「カザナラに行った。噂流れてるだろう?」
「え、あれホントなんですか?元カノとよりを戻したって」
「それはない。ドガイで付き合っていたというか、俺はもっと気軽な関係だと思っていたんだが、恋人だと言って来たんだ。それでユウと少し行き違いがあって、ひとりにしてほしいと言われた」
「俺たちもカザナラ行かないほうがいいですか?」
「いや、行って、話を聞いてやってくれないか?」
「でもユウくんが待ってるのはアルさんでは?」
「今は俺ではダメだろう」
「分かりました。行きます。俺たちも何かできるわけじゃないけど」


◆カザナラの別荘(2. 喧嘩)

「じゃあさ、キリシュと付き合ったら?」
「は?」
「え?」
「だって、最初っからキリシュに好感度MAXだっただろう。おススメだよ。狼の獣人は一途だし」
「いや、ユウくんが好きなのは俺の耳と尻尾だろう」
「違うよ!違わないけど、違うよ。耳と尻尾も好きだけど」
(((違わないな)))


◆カザナラの別荘(2. 喧嘩)

「これ、もらっていいのか?」
「もらわないとユウくんが泣きそうだったから仕方ないよ」
「時間停止や時間遅延はさすがにないだろ。しかも特大とか」
「おれたちギルドになんか言われないかな」
(コンコン)
「サジェルさん」
「マジックバッグについては、私のほうからギルドには伝えておきますが、周りに知られないようにお気を付けください」

「迷子っての、なんか納得した」
「なにがだ?」
「ユウくんって頭いいのに常識ないなと思ってたけど、たぶんスキルとかダンジョンとか知らずに育ったんじゃないかな」
「そんなことあるのか?」
「あのウルフが行けない場所って、近辺の国じゃないことだけは確かだろう」
「だから、スキルにも従魔にも自信が持てないんだな」
「テシコユダハではアルさんの後ろに隠れてたもんな」
「ユウくんって貴族のお菓子みたいだよな。見るからに高級そうで、繊細そうで、実際ちょっと力を入れると崩れる、でも美味い」
「確かに。貴族のお菓子食べたことないけど、分かるわ」


◆ゾヤラの宿(3. 帰らない決意)

「ポポタムに容量中を売ったってことは、俺たちがこの容量大を貰ったときも持ってたんだよな、なんでそっちじゃないんだよ……」
「ユウくんにとっては容量中は、贈り物に値しないんだろう」
「アルさんも、容量小までくれるとか、たしかに偽装にはいいけどさ、俺ら明日から狙われない?」
「それを心配したからこそ、ギルドでだったんだろう。これで俺たちのマジックバッグが盗まれたら、ギルドが動くしかないだろう」
「ユウくん、また明日って言ったけど、明日起きれると思うか?」
「無理だろ」
「あの体格差は、大変そうだよな」
「ノーコメント」


◆ゾヤラのギルド(5. 苦手なこと)

「ブロキオンの攻略報告だ」
「ユウさんは……」(もしかしてやっぱり仲違い?!)
「一度宿に寄ってから来る」
「ユウはなんであんなに首なし騎士が嫌いなんだ?」
「まず見た目が受け付けないが、首が腐っているのが特にダメなようだ。今頃風呂に入って全身洗い流しているだろう」
「ユウは近寄ってないのにか?」
「同じ空気の中にいるのも嫌だそうだ」
「それでドロップの剣もダメなのか」
「剣はあの騎士が使っていたかもしれないと思うとダメなんだとか。だから他の階層の剣は平気だ」
「ユウくんって時々お姫様だよな」
「コーチェロ、ほんとにユウくんに遠慮がなくなったよな」


◆ゾヤラの宿(5. 苦手なこと)

「なあ、ブラン様って、」
「言うな」
「だよな」
「シリウスもなんか感じてるな」
「ブラン様、ユウの友人だからかシリウスの3人も庇護対象と思ってるっぽいし、悪いことにはならんだろ」
「しかし、ユウはなんで犬扱いしてるんだよ」


◆モクリークの冒険者ギルド長会議(5. 苦手なこと)

「氷花がすごいマジックバッグを買い取りに出したんだって?」
「ええ、おかげでゾヤラのギルドがパニックになりました」
「なんでゾヤラなんだ?」
「テイマーの友人であるゾヤラで活動中のシリウスのBランク昇格祝いにマジックバッグを贈ったようです。攻略後に、友人に渡した後で残りをギルドに売ると言っていました。そのためにカークトゥルスを4周したようですね」
「4周ってそんなにサネバにいたか?」
「2周目以降は、従魔で下層まで駆け抜けたようです。他のパーティーから、すごいスピードで駆けて行ったと報告がありました。結局ほとんどのドロップは買い取りに出されていますが」
「特大の時間遅延か。もしかしてこれを昇格祝いにするつもりだったのか」
「剣士は常識があると思っていたが、アイテムボックスに慣れるとおかしくなるのか」
「特大は国が買い取って、カークトゥルスの攻略部隊に使わせるそうです」
「これでマジックバッグの供給が増えるな」
「特大は獣道がカークトゥルスまで持っていきます。カークトゥルスに行く途中にゾヤラで寄ったので託しました」
「獣道か、彼らなら最下層を攻略して、途中のものは売りにだしてくれるだろう」


◆ゾヤラからカザナラへ移動中(5. 苦手なこと)

「アルさん、ユウくんは欲しいものがあって、どうしても自分で手に入れたいらしくって」
「分かってる。付き合わせて悪いな」
「いえ、マジックバッグのお礼にもならないですから」
「俺はその間上級ダンジョンに行ってるから、頼むな」

「アルさん、ユウくんが何したいか分かってるな」
「むしろユウくんはなんで内緒にできると思ったんだろう」
「逆ならコロッと騙されてただろ」
「だな」


◆カザナラの別荘(5. 苦手なこと)

「前回は悪かったな。助かった。ユウの付与は問題ないか?」
「はい。決して名前を出さないように言ってあります。フェリア商会ですので、その辺りは弁えています」
「また大商会を呼んだな」
「今後のことを考えますと、小さなところでは対応しきれないと思いました」
「そうか。任せる」
「はい。ユウ様おひとりでダンジョンは大丈夫でしょうか」
「シリウスが上手くやってくれるだろう。ブランがいるから危険はない。俺は20日ほどダンジョンに潜ってくる」
「かしこまりました」


◆カザナラの上級ダンジョン(5. 苦手なこと)

「氷花の、テイマーがネトナシュにいたが別行動か?」
「ああ」
「へっぴり腰でサボテンを倒していたが」
「俺に知られずにやりたいことがあるらしい。今のは聞かなかったことにする」
「浮気か?」
「あのサボテンのドロップ品って宝石だよな」
「あっ」
(((そういうことかよ!)))
「やってられるか!酒もってこーい!」
「リーダー、ここダンジョンだよ」
「でもなんで中層にいるんだ?あんたならひとりでもここの攻略できるんじゃ?」
「危ないことはするなと言われてな」
(((リア充爆発しろ!)))
「けっ。酒だ酒、樽でもってこい!!」
「酒はないが、水なら樽であるぞ」
「野郎ども!振る舞い酒だ。飲み干してしまえ!!」
「「「「おおーーーーっ!」」」」


◆カザナラの別荘(6. サボテンから宝石)

「この屋敷って、サジェルさん以外にほとんど会わないけど、あんまり人いないのか?」
「たくさんいるけど、僕が委縮しちゃうから、僕の視界に入らないようになってる」
「アルさん、甘やかしすぎだろ」


◆カザナラの別荘(7. 付与スキルの活用)

「サジェル、宝石屋さんに明日来てもらえるか、聞いてみてもらえる?」
「かしこまりました」

「主人が戻りましたので、明後日来ていただけますか?よろしくお願いいたします」
(明後日でも起きられるか心配ですが)

「ユウ様、明後日来ていただけることになりました」
「明日はダメなんだ……。忙しいなら仕方ないね。ありがとう。アルには内緒にしてね」
(最初からご存じですよ)
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