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狼くんは耳と尻尾に視線を感じる

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◆テシコユダハの森(2. Sランクパーティー)

「魔物が全然出てこなくなったな」
「もう依頼の分は揃ったし、諦めて帰ろうぜ。これ以上奥は俺達には無理だろ」
「帰りに、常時依頼の薬草でも摘んで帰るか」
「お、癒し草があったぞ。けっこうあるから30本なら摘んでもよさそうだな」
「俺が摘むから警戒よろしく」
「「りょーかい」」
(薬草摘み中)
「何か来る、気をつけろ」
「俺にはまだ分からんが。冒険者か?」
「たぶん人と、あと、・・・、なんかヤバいのだ!!」
「え?人が襲われてるのか!?助けに行くか?」
「終わった、いつでも動けるぞ」
「戦闘はしてない。それに俺たちじゃ勝てない。もうすぐ見えるぞ」
「見えた。人が2人と白い狼」
「それってもしかして、通達のテイマー?」
「あ、キリシュくん。こんにちは。依頼ですか?」
((お前が話しけられてるんだから、お前が話せ!))
「ああ、魔物狩りに来たんだが、あんまり魔物がいなくて、薬草摘んで帰るところだ」
「それは残念だね」(もしかしてブランのせいかも・・・)
「いや、まあ、そんな日もある」

「びびったな。俺たち追放されないよな?大丈夫だよな?」
「キリシュ、大丈夫か?」
「ウルフがめちゃめちゃ怖かった。訓練場でも怖かったけど、今日はマジで死ぬと思った」
「そんなにか?やっぱ獣人にはなんか分かるのか?」
「つうかお前、ほんとに耳と尻尾見られてたな」


◆テシコユダハの路上(2. Sランクパーティー)

「ユウ、久しぶりだな!」(相変わらず従魔の存在感すごいな)
「元気だったか?」(従魔も元気そう)
「カージでまた絡まれたんだってね」(従魔の毛並みが前よりキレイ?)
「ちゃんと戦闘奴隷買えたみたいだな」(従魔のチェック済みなら大丈夫だろ)
「お久しぶりです。今はモクリークで活動ですか?あ、アルです。Bランクの剣士です」
「アレックスと申します。主人よりオモリでお世話になったと聞いております。よろしくお願いいたします」
「ああ。しっかり守ってやってくれ」
「時間があったら鍛えてやるよ」
「しばらくはモクリークでダンジョン攻略だよー」
「ここのギルドには絡まれてないか?大丈夫か?」
「大丈夫です。ギルドの対応は全部アルに任せているので。いつまでこの街に滞在ですか?」
「ゾヤラのダンジョンに行く途中なんだ」
「どこの宿に泊まってるんだ?従魔も一緒ならそれなりの宿だろう?俺たちもそこにしよう」
「ギルドの紹介で、ちょっと高そうな宿です。ブランが遊べるように、お庭のある宿にしたんです」
「だ、大丈夫だ、俺たちもそれなりに稼いでいる」
((((いや、その従魔は遊ばないだろう?!))))

「あ、キリシュくん、こんにちは」
「よお」(めっちゃ強そうな冒険者と一緒だ)
「知り合いの冒険者か?」
「ギルドの初心者講習で一緒になったんです。こちら、Sランクパーティーの獣道の皆さんです。こちらはキリシュくんです」
「Fランクのキリシュです。人族2人とパーティーを組んでます」(獣人のSランクパーティーって、超有名どころだよ)
「狼族か」
「しばらくこの街にいるから、何かあったら力になるよ」(めっちゃビビってる。かわいいなあ)


◆テシコユダハのギルド(3. 初ダンジョン)

「坊主たち、今日の依頼は決まったか?」
「まだです」
「ダンジョンに興味があるなら連れて行ってやるぞ」
「まだFランクなのでダンジョンは……」
「Sランクパーティーは、Fランクも連れていけるぞ」
「俺らがちゃんと守るから安心しろ。日帰りだし、深くは潜らん」
「でも……」
「冒険者なら機会は逃すな」
「「「お願いします」」」
「Fランク3人をダンジョンに連れていくので手続してくれ」
「Fランク冒険者に何かあった場合、皆様のSランクが取り消されます。場合によっては犯罪奴隷となりますが、よろしいですか?」
「ああ、分かってる」
(((え?厳しくない?!)))
「大丈夫だ。必ず無事に連れて帰ってくる。」
「連れて行って放置すると、死んじゃうでしょ?それって犯罪だから厳しいんだ」
「今までも連れて行ってるから心配するな」
「浅い階層で狙ってるドロップ品があるんだが、出る確率が低いから暇なんだよ」


◆テシコユダハのダンジョンの2階層(3. 初ダンジョン)

「早く終わったし、ちょっとモンスターと戦ってみる?」
「この階層なら大丈夫か。この階層に出るのは、マーダーラビットで、角での一撃さえ避ければ、危険はない」
「まずは3人で戦ってみろ、危なくなったら割って入るから心配するな」
「よし、いいぞ、焦らず行け」
「突撃されるぞ、避けろ」
「くっ!」
「こっちで倒すぞ!」
「今の、何が悪かったか分かるか?お前たちの実力なら倒せるぞ」
「え?全然対応できなかったのに」
「……、3人ともラビットの前にいたから?」
「そうだ。突撃が得意なモンスターの前に3人揃っていれば、突撃されて3人ともやられる。ばらけて狙いを定めさせるな」
「最初に狙うべきところはどこだ?」
「突撃を防ぐために、足?」
「そうだ、1撃で倒せないなら、足を止めろ。ということでもう1匹来たぞ。今のことに気を付けてやってみろ」
「片足つぶした」
「魔法行くよ、よけて」
「「「やった!」」」
「今のはよかったな。ほら、初ドロップを拾え」
「ダンジョンに入れるようになったら、ラビット相手に連携を確認して、それから進めよ。最初のようになっても、助けてくれる人はいないからな」
「「「ありがとうございます!」」」
「よし、帰ろう」


◆テシコユダハのギルド(3. 初ダンジョン)

「「「今日はありがとうございました」」」
「これも何かの縁だ。頑張れよ」
「よかったらユウと仲良くしてあげてね」
「あいつのスキルに集るようなことをしなければ大丈夫だ。お前たちはしないだろう?」
「ウルフもユウを傷つけない限り攻撃しないから」
「「「はい……」」」(これ、逃げられないやつだ)


◆テシコユダハのギルド(3. 初ダンジョン)

「お前たち、テイマーにもSランクにも気に入られて、何やったんだよ、教えろ」
「テイマーとは初心者講習がいっしょになっただけで、Sランクパーティーはテイマーの知り合いの獣人だからってちょっと面倒見てくれただけです」
「そんなわけないだろ、何隠してるんだ、教えろよ」
「「「「そうだそうだ」」」」
「本当に何もないですっ」
「「「「おまえらだけズルいぞ」」」」
「大勢でルーキーを囲んで何やってる?!」
(やべえ、Aランクパーティーだ)(俺は抜けるぞ)(俺も)
「こいつらだけ、テイマーにもSランクにも気に入られて、何やったか教えろって言ってんのに、答えないんだよ!」
「俺たちだってなんでか知りたいよ」
「あいつアイテムボックス持ってんだろ、お前たちだけその恩恵を受けるなんてズリいだろ!」
(((バカ、それ言っちゃっダメだろ)))
「ギルド内で騒ぐとは何事ですか?それからそこの君、ちょっと来なさい」
(((あーあ、追放だな)))


◆テシコユダハのギルド(3. 初ダンジョン)

「アリゲーター狩ってきたって聞いたがまだ持ってないか?もしあったら喰わせてくれ!!」
「え?」
「すみません、この街のAランクパーティー「カナカラ」です。うちのバカ豹がご迷惑をおかけしました。お許しください。帰るぞ!」
「イヤだ!アリゲーターが喰いたいんだ!人族にはあの旨さが分からんのだから引っ込んでろ!」
「分かったから、今度自分たちで狩りに行こう。だから今日は帰るぞ」(このままだと追放されるから!)
「キリシュ、お前からも言ってくれ!獣人なら分かるよな!!あの肉の(モゴモゴモゴ)」
「キリシュくん、知り合い?無理やり引きずられていったけど……」
「ダンジョン入れるようになってから、ときどき荷物持ちをさせてもらってるAランクのパーティだ。俺がアリゲーターのこと話したから、すまない」
「そうなんだ。アル、どう思う?」
「ユウ様、ここはギルドに相談いたしましょう。彼だけに渡すと問題になりかねませんので、ギルドから売ってもらえないか聞いてみましょう」
「そうだね。今の人、ちょっと変わってたね。豹の獣人はああいう感じなのかなあ」
「ネコ科の獣人は気まぐれだとは言われていますね」
(そこでなんで俺の耳見るの。おれ狼でネコ科じゃないよ)
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