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World1 突き飛ばされて異世界転生したら勇者になってくれと言われたんだが
15話
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「なぁ、結局この人たちはなんでここに並んでるんだ?」
「確かにそうですね。タカ、商人の皆さんに気球が動かない事言ってないのか?」
「いやいや言ってるさ。言うとみんな、諦めて散っていくんだけど、しばらくすると、また来るんだよ。それの繰り返しでさ…」
「商人に聞いてみればいいんじゃないか。どうして戻ってくるんだって」
「そう…ですね、ちょっと聞いてみましょうか」
そういうと、サトルは、列の先頭にいた商人に話しかけ、話を聞き始めた。
あまり趣味は良くないが、俺も少しだけ、ちょっとだけ、盗み聞きをして二人の会話を聞いておくことにした。
「今日、気球動かないんですよ」
「えっ!そうなんですか、あっれぇーおっかしいな」
「…?どういう事ですか」
「仲間の商人から、今日は気球が動かないらしいぞという話は聞いていたんですが、動いているかもっていう、まぁ淡い期待ですけど、その期待を信じて、気球乗り場に向かっていたんです。そしたら、空を飛ぶ人が気球がもうすぐ再開するらしいから列を作って待っておくといい、そう教えてくださったんですよ」
「空を飛ぶ人?」
「スカイ族の方だと思いますよ。この世界で飛行魔法を習得できるのはスカイ族だけですから。まぁ、あちらにいる勇者様は例外ですがね」
あはは!とたいそう立派なおなかをさすりながら笑う商人。悪かったですね、例外で!
二人の会話は続く。
「スカイ族の者が…?」
「えぇ、でも動かないんですよね?なんであの人、デマ情報なんて流すのかな」
俺は商人の話の中に何か引っかかるものがあった。なんだろう、このモヤモヤとしたものは…。
「タカヒコさん、商人によると、空飛ぶ何者かがデマの情報を流しているみたいです。目的までは分かりませんが、たぶんスカイ族の者ではないかと」
「…?どうしてそう思うんだ」
「昨日の今日で、クラウド村は大変な状況です。そんな中、こんなバカげたいたずらをする者が仲間にいるとは思えません」
「そうか…」
俺は、自分の中のモヤモヤを解決できずに、このモヤモヤが何か自分でもわからなくなっていった。
「どうしますか、そろそろ上の方に向かいましょうか?」
「そうだな、あまり下で長居しても何もなさそうだし、そろそろ行くか」
「分かりました、では。大地よ、大空よ、風よ、我が心と一体となりて、我に力を与えよ。飛行魔法!」
じゃあ俺も、飛ぼうかなっと。イメージは空をを自由に飛び回る鳥たち、そう俺は鳥だ、鳥だ、鳥だ…。よしっ、成功だ。
「それでは行きましょうか」
「それではサトル、タカヒコさんお気をつけて」
「あぁ、行ってくる」
俺は思いっきり空高くへと飛んだ。どんどん、下の景色が小さくなっていく。
風に身を任せて飛んでいると、まるで風になったかのように、鳥と並んで飛ぶと、まるで自分が群れの一員かのように錯覚する。
手を一杯に広げ、俺は今、空を飛んでいる。俺は異世界で、鳥になるのだ。
「タカヒコさん、あそこがクラウド村の正門になります」
「…?他のところからは入れないのか?とくに塀とか柵とかは見当たらないけど」
「結界が張ってあります。と言ってもごくごく弱いものですが…。結界が張ってあるところから人は入れないんですよ。このように、えいっ。ねっ、結界に弾き返されてしまいます」
「なるほど、勉強になる」
「そうですか、それは良かったです。さぁさぁ、村へ降りましょう」
そうサトルに促され、俺は村の正門に降り立った。
辺りは静まり返っていて、なんだか不気味な雰囲気を醸し出している。
「人、いないな」
「いませんね…。ちょっと村の奥に入ってみますか?」
「そうだな」
歩き出すとまず目についたのは、焼けた畑だ。きっと怏々と茂っていたであろうソラマメの姿はそこにはなく、ただ枯れた、茶色い土が顔を覗かしているだけであった。
次に目に飛び込んできたのは焼け落ちた家々である。住宅街は次々に飛び火したのだろうか、ほとんどの家が形をとどめることなく、ただ基礎が残っているだけだった。
「これは…、ひどいな」
「はい…、昨日まではあんなに楽しい村だったのに、同じところだとは思えません」
サトルは目を落としながらそう呟いた。自分の生まれ育った故郷の変わり果てた姿に思うところがあるのだろうか。俺は、どう声を掛ければよいか分からず、ただそこに立ち尽くしていることしかできなかった。
「あれ…?」
「どうした、サトル」
「いや、よく考えればおかしいんです」
「何がだ?」
「仲間の姿がどこにも見当たらないんです!」
「…っ!」
確かにそうだ、この妙な静けさは、人、生きている人もそうだが、亡くなった人の亡骸も含め、この村には誰もいない。
「亡くなった仲間もきっとたくさんいると思いますが…、その仲間の亡骸までも無いなんて一体何がどうなってるんでしょうか」
「確かに、生きている仲間だったら、隙をついて逃げ出したって事も考えられるけど、死んだ仲間の亡骸までもが消えるなんて、おかしいな…」
その時だった、俺の横を火の玉が横切り、後ろの方で大きな破裂音がしたかと思うと、すさまじい熱風が俺たちを襲った。
「うわぁ!」
「サトル、落ち着けよ。くっ、こんな時にいったい何なんだよ…」
俺は、火の玉が飛んできた方に目線をやった。そこで俺は衝撃の光景を目にすることになる。
「う、浮いてる…」
人が、宙に浮いている。それも、背中に翼が生えていないから、スカイ族の者でもないだろう。そう、普通の人間が何のためらいもなく、そこには浮いていたのだ。
すると、突然サトルが目を大きく見開き、膝から力なく崩れ落ちた。
「大丈夫か、サトル」
「奴だ…」
「奴って、まさか…」
「昨日村を襲った、あいつです」
「確かにそうですね。タカ、商人の皆さんに気球が動かない事言ってないのか?」
「いやいや言ってるさ。言うとみんな、諦めて散っていくんだけど、しばらくすると、また来るんだよ。それの繰り返しでさ…」
「商人に聞いてみればいいんじゃないか。どうして戻ってくるんだって」
「そう…ですね、ちょっと聞いてみましょうか」
そういうと、サトルは、列の先頭にいた商人に話しかけ、話を聞き始めた。
あまり趣味は良くないが、俺も少しだけ、ちょっとだけ、盗み聞きをして二人の会話を聞いておくことにした。
「今日、気球動かないんですよ」
「えっ!そうなんですか、あっれぇーおっかしいな」
「…?どういう事ですか」
「仲間の商人から、今日は気球が動かないらしいぞという話は聞いていたんですが、動いているかもっていう、まぁ淡い期待ですけど、その期待を信じて、気球乗り場に向かっていたんです。そしたら、空を飛ぶ人が気球がもうすぐ再開するらしいから列を作って待っておくといい、そう教えてくださったんですよ」
「空を飛ぶ人?」
「スカイ族の方だと思いますよ。この世界で飛行魔法を習得できるのはスカイ族だけですから。まぁ、あちらにいる勇者様は例外ですがね」
あはは!とたいそう立派なおなかをさすりながら笑う商人。悪かったですね、例外で!
二人の会話は続く。
「スカイ族の者が…?」
「えぇ、でも動かないんですよね?なんであの人、デマ情報なんて流すのかな」
俺は商人の話の中に何か引っかかるものがあった。なんだろう、このモヤモヤとしたものは…。
「タカヒコさん、商人によると、空飛ぶ何者かがデマの情報を流しているみたいです。目的までは分かりませんが、たぶんスカイ族の者ではないかと」
「…?どうしてそう思うんだ」
「昨日の今日で、クラウド村は大変な状況です。そんな中、こんなバカげたいたずらをする者が仲間にいるとは思えません」
「そうか…」
俺は、自分の中のモヤモヤを解決できずに、このモヤモヤが何か自分でもわからなくなっていった。
「どうしますか、そろそろ上の方に向かいましょうか?」
「そうだな、あまり下で長居しても何もなさそうだし、そろそろ行くか」
「分かりました、では。大地よ、大空よ、風よ、我が心と一体となりて、我に力を与えよ。飛行魔法!」
じゃあ俺も、飛ぼうかなっと。イメージは空をを自由に飛び回る鳥たち、そう俺は鳥だ、鳥だ、鳥だ…。よしっ、成功だ。
「それでは行きましょうか」
「それではサトル、タカヒコさんお気をつけて」
「あぁ、行ってくる」
俺は思いっきり空高くへと飛んだ。どんどん、下の景色が小さくなっていく。
風に身を任せて飛んでいると、まるで風になったかのように、鳥と並んで飛ぶと、まるで自分が群れの一員かのように錯覚する。
手を一杯に広げ、俺は今、空を飛んでいる。俺は異世界で、鳥になるのだ。
「タカヒコさん、あそこがクラウド村の正門になります」
「…?他のところからは入れないのか?とくに塀とか柵とかは見当たらないけど」
「結界が張ってあります。と言ってもごくごく弱いものですが…。結界が張ってあるところから人は入れないんですよ。このように、えいっ。ねっ、結界に弾き返されてしまいます」
「なるほど、勉強になる」
「そうですか、それは良かったです。さぁさぁ、村へ降りましょう」
そうサトルに促され、俺は村の正門に降り立った。
辺りは静まり返っていて、なんだか不気味な雰囲気を醸し出している。
「人、いないな」
「いませんね…。ちょっと村の奥に入ってみますか?」
「そうだな」
歩き出すとまず目についたのは、焼けた畑だ。きっと怏々と茂っていたであろうソラマメの姿はそこにはなく、ただ枯れた、茶色い土が顔を覗かしているだけであった。
次に目に飛び込んできたのは焼け落ちた家々である。住宅街は次々に飛び火したのだろうか、ほとんどの家が形をとどめることなく、ただ基礎が残っているだけだった。
「これは…、ひどいな」
「はい…、昨日まではあんなに楽しい村だったのに、同じところだとは思えません」
サトルは目を落としながらそう呟いた。自分の生まれ育った故郷の変わり果てた姿に思うところがあるのだろうか。俺は、どう声を掛ければよいか分からず、ただそこに立ち尽くしていることしかできなかった。
「あれ…?」
「どうした、サトル」
「いや、よく考えればおかしいんです」
「何がだ?」
「仲間の姿がどこにも見当たらないんです!」
「…っ!」
確かにそうだ、この妙な静けさは、人、生きている人もそうだが、亡くなった人の亡骸も含め、この村には誰もいない。
「亡くなった仲間もきっとたくさんいると思いますが…、その仲間の亡骸までも無いなんて一体何がどうなってるんでしょうか」
「確かに、生きている仲間だったら、隙をついて逃げ出したって事も考えられるけど、死んだ仲間の亡骸までもが消えるなんて、おかしいな…」
その時だった、俺の横を火の玉が横切り、後ろの方で大きな破裂音がしたかと思うと、すさまじい熱風が俺たちを襲った。
「うわぁ!」
「サトル、落ち着けよ。くっ、こんな時にいったい何なんだよ…」
俺は、火の玉が飛んできた方に目線をやった。そこで俺は衝撃の光景を目にすることになる。
「う、浮いてる…」
人が、宙に浮いている。それも、背中に翼が生えていないから、スカイ族の者でもないだろう。そう、普通の人間が何のためらいもなく、そこには浮いていたのだ。
すると、突然サトルが目を大きく見開き、膝から力なく崩れ落ちた。
「大丈夫か、サトル」
「奴だ…」
「奴って、まさか…」
「昨日村を襲った、あいつです」
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