56 / 67
第三章 ようこそ鹿児島!
第五十四話 いざ鹿児島へ
しおりを挟む
~2100年7月15日 7:00 NPOCIA国内線ターミナル~
NPOCに発動されていた全ての非常事態宣言は今日の深夜に解除され、日常が戻ってこようとしている。
ただ、事後処理には莫大な時間がかかることや、教育機関の復旧にはまだまだ時間がかかることなどから、夏休みの期間が2週間延長され、今日から晴れて夏休みとなった。
俺は優芽の実家のある鹿児島に一緒に、行くこととなり空港にいる。
「おーい、貴くん」
後ろの方から俺を呼ぶ声がする。ふふっ、なんだかデジャブだな…3か月前、入学式の日に空港に着いた時もこんなことがあったような…
ドォーン「痛ったぁー!おい、優芽何するんだよ!」
「貴君が無視するからいけないんでしょう!」
「いや今回はな、物思いにふけっていたんだよ」
この下りも二回目か…
「優芽!女の子がドタドタと走らないの!」
「ひゃぁ!お…お母さん…」
「何度言えばわかるんですかあなたは…貴文君おはよう。朝早くから騒がしくてごめんなさいね」
「いえいえ、慣れてますから」
「慣れてる…はぁ…まぁいいでしょう。私は搭乗の手続きをしてきますから二人でそこのベンチにでも座ってなっていてくださいな」
そう言い残すと優芽のお袋さんは足早に搭乗手続きをしに行ってしまった。
「もう、貴君、余計なこと言わないでよね!お母さんに睨まれたじゃんか…」
「あはは…まぁ本当のことだけどな」
「馬鹿正直に言っていい事と駄目なことがあるのー」
そう言いながら、ポカポカと殴られつつ、俺と優芽はベンチに落ち着いた
「ねぇ貴くん、本当に私の家に来るので良かったの?昨日貴くんが帰った後お父さんに聞いたんだけど…」
大体察した。多分優芽を助け出すまでの経緯を一から十まで聞いたんだろうな。
「気にするな、まぁ、あれだな…彼女と少しでも一緒にいたいしな…」
「へっ?」
「うわわ、いやこれはそのだな言葉の綾というか…」
「嘘だったんだ…嬉しかったのにな…」
「…」
気まずい…早くお袋さん戻ってきて!
プルルルル、プルルルル「貴君、電話なってるよ」
「あっ…あぁ…あっ、親父さんからだぞ」
俺はそう言いながら携帯の画面を見せた。
「ホントだ、どうしたんだろうお父さん」
「もしもし、貴文です。どうされました?」
『あぁ、私だ。朝早くからすまないね。実は貴文君にお願いがあってね』
「お願いですか?」
『事後処理がどうもお盆前まで続きそうなんだ。だから当分NPOCから出れそうにない。でも本島の各省庁に報告に行かなくてはならないんだよ。そこでだ、貴文君が折角本島に戻るから君に報告をお願いしようと思ってね』
「えっ?何をどうすればいいかなんてさっぱりですよ」
『問題ない。報告用の資料はデータで送るし、近藤も派遣するから』
「わ…分かりました」
『と言っても来週報告に行ってもらいたいんだけどね。19日が月曜日だったと思うから、その日に頼むよ「統括学園長、ちょっとよろしいですか」あっ、貴文君すまない、詳細はまた。じゃあ失礼』
「あっ、切れた…」
「お父さん何って?」
「忙しくて本島に報告に行けないから来週代わりに行ってくれだって」
「はぁ…お父さん何考えてるの…」
「二人ともお待たせ」
「ねぇお母さん聞いてよ」
優芽は俺と親父さんとのやり取りを事細かにお袋さんに説明し始めた。(何より怖かったのがお袋さんの表情がだんだん鬼の形相に近づいていったことだ…)
「貴文君、これは本当なの?」
「は、はい!」
「はぁ…あの人がごめんなさいね。どうする?報告に行く?」
「一度引き受けてしまいましたし、非常事態対策本部長としても行く必要があると思いますから、報告に行きます」
「うふふ、そう。流石は優芽の彼氏ね。とても誠実で責任感があって、うん文句なしね」
「えっ!なんでお母さん私と貴君が付き合ってるの知ってるの!」
「それは簡単なことよ。優芽の母親だから娘の些細な変化にもすぐに気づくものよ」
「あはは…」
「まぁその辺の話は追々家で聞くとして、さぁ保安検査を受けて飛行機に乗りましょうか」
こうして、俺の夏休みは幕を開けた。
NPOCに発動されていた全ての非常事態宣言は今日の深夜に解除され、日常が戻ってこようとしている。
ただ、事後処理には莫大な時間がかかることや、教育機関の復旧にはまだまだ時間がかかることなどから、夏休みの期間が2週間延長され、今日から晴れて夏休みとなった。
俺は優芽の実家のある鹿児島に一緒に、行くこととなり空港にいる。
「おーい、貴くん」
後ろの方から俺を呼ぶ声がする。ふふっ、なんだかデジャブだな…3か月前、入学式の日に空港に着いた時もこんなことがあったような…
ドォーン「痛ったぁー!おい、優芽何するんだよ!」
「貴君が無視するからいけないんでしょう!」
「いや今回はな、物思いにふけっていたんだよ」
この下りも二回目か…
「優芽!女の子がドタドタと走らないの!」
「ひゃぁ!お…お母さん…」
「何度言えばわかるんですかあなたは…貴文君おはよう。朝早くから騒がしくてごめんなさいね」
「いえいえ、慣れてますから」
「慣れてる…はぁ…まぁいいでしょう。私は搭乗の手続きをしてきますから二人でそこのベンチにでも座ってなっていてくださいな」
そう言い残すと優芽のお袋さんは足早に搭乗手続きをしに行ってしまった。
「もう、貴君、余計なこと言わないでよね!お母さんに睨まれたじゃんか…」
「あはは…まぁ本当のことだけどな」
「馬鹿正直に言っていい事と駄目なことがあるのー」
そう言いながら、ポカポカと殴られつつ、俺と優芽はベンチに落ち着いた
「ねぇ貴くん、本当に私の家に来るので良かったの?昨日貴くんが帰った後お父さんに聞いたんだけど…」
大体察した。多分優芽を助け出すまでの経緯を一から十まで聞いたんだろうな。
「気にするな、まぁ、あれだな…彼女と少しでも一緒にいたいしな…」
「へっ?」
「うわわ、いやこれはそのだな言葉の綾というか…」
「嘘だったんだ…嬉しかったのにな…」
「…」
気まずい…早くお袋さん戻ってきて!
プルルルル、プルルルル「貴君、電話なってるよ」
「あっ…あぁ…あっ、親父さんからだぞ」
俺はそう言いながら携帯の画面を見せた。
「ホントだ、どうしたんだろうお父さん」
「もしもし、貴文です。どうされました?」
『あぁ、私だ。朝早くからすまないね。実は貴文君にお願いがあってね』
「お願いですか?」
『事後処理がどうもお盆前まで続きそうなんだ。だから当分NPOCから出れそうにない。でも本島の各省庁に報告に行かなくてはならないんだよ。そこでだ、貴文君が折角本島に戻るから君に報告をお願いしようと思ってね』
「えっ?何をどうすればいいかなんてさっぱりですよ」
『問題ない。報告用の資料はデータで送るし、近藤も派遣するから』
「わ…分かりました」
『と言っても来週報告に行ってもらいたいんだけどね。19日が月曜日だったと思うから、その日に頼むよ「統括学園長、ちょっとよろしいですか」あっ、貴文君すまない、詳細はまた。じゃあ失礼』
「あっ、切れた…」
「お父さん何って?」
「忙しくて本島に報告に行けないから来週代わりに行ってくれだって」
「はぁ…お父さん何考えてるの…」
「二人ともお待たせ」
「ねぇお母さん聞いてよ」
優芽は俺と親父さんとのやり取りを事細かにお袋さんに説明し始めた。(何より怖かったのがお袋さんの表情がだんだん鬼の形相に近づいていったことだ…)
「貴文君、これは本当なの?」
「は、はい!」
「はぁ…あの人がごめんなさいね。どうする?報告に行く?」
「一度引き受けてしまいましたし、非常事態対策本部長としても行く必要があると思いますから、報告に行きます」
「うふふ、そう。流石は優芽の彼氏ね。とても誠実で責任感があって、うん文句なしね」
「えっ!なんでお母さん私と貴君が付き合ってるの知ってるの!」
「それは簡単なことよ。優芽の母親だから娘の些細な変化にもすぐに気づくものよ」
「あはは…」
「まぁその辺の話は追々家で聞くとして、さぁ保安検査を受けて飛行機に乗りましょうか」
こうして、俺の夏休みは幕を開けた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる