絶海学園

浜 タカシ

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第二章 文月の奪還作戦

第四十七話 明衣日記(後編)

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~革命国時間2100年7月14日7:00 RGH内~
作戦開始まであと約1時間私は久しぶりに自分のディスクについた。私が席を空けていた間に書類が山のようにたまっている

「旺1等航空司令官、お疲れのところ申し訳ありませんがこれらの書類の決済をお願いします」

なぜ私がこんな仕事をしなければならないのか少し説明しよう。革命国軍は大きく陸海空軍に分けられる。このすべてを統括するのが総司令長だ。

私が所属する空軍に目を向けるとトップから航空司令長、航空大佐がいて各部署に1等航空司令官、2等航空司令官、1等航空兵、2等航空兵、3等航空兵そして配属先が決まっていない航空訓練兵がいる。1等航空司令官以上がいわゆる管理職で1等航空司令官は日本でいう部長だ。私が留守の間は2等航空司令官が部署を回してくれていたがどうしても決済できない書類が私のディスクに山積みになっている…こんなところか。

私は面白くもない決済を機械のように済ましていった。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥーン。急にけたたましい音でサイレンが鳴り響き始めた

「エマージェンシー、エマージェンシー。緊急事態です。連合国からの軍事的攻撃を確認、繰り返す連合国からの軍事的攻撃を確認」

えっ…私は言葉を失った。作戦開始まではあと1時間もある。なのにどうして攻撃を始めたのか。たぶん攻撃と言ってもおとり用ミサイルを発射しただけだろうがそれにしてもどうして…

「旺1等航空司令官、報告します。攻撃はRGHから南西5kmの防衛空域ぎりぎりの空域からRGHに向かって行われた模様です。発射されたミサイルは自動防衛システムで撃ち落とされたようですのでご安心を」
「そう…分かったわ報告ご苦労」

私は必死で頭を回転させた。どうして…どうして…まさか時差…。私は時計に目をやった。時刻は7:15だ。だが日本時間では8:15だろう。しまった…もしかすると私が裏切たことによる宣戦布告とみなされるかもしれない。だが貴文たちと連絡を取るすべなどあるはずもなく私は一つ決心した。

ーーーーーー

一か八か8:10にサイバー攻撃を仕掛ける。

ーーーーーー

きっと無駄足に終わるだろう。だがやってみないと…。私はあの男のすごさを真近で見た。きっと貴文なら私が失敗した理由を時差のせいだって分かってくれるだろう。

「お願い貴文…あなたに託すわ」

~革命国時間8:05 RGH内~
あれから連合国軍による軍事攻撃はなかった。革命国軍も緊張自体が続いているがとりあえず様子見という事になった。

「あと5分…」

私は一人腕時計に目をやった。サイバー攻撃の準備は完了している。あとはボタンを押すだけだ。私は許されないことをした。普通ならもう死んでいるだろう。でも私は生きている。

それは一人のバカな男のおかげだ。ただのバカじゃない。強い意志を持ったバカだ。自分が信じることを決して曲げず、誰に何と言われようと私の言葉を信じてくれて、そして大切な人を必死になって守ろうとする…。

「本当バカだよ…」

あれ…?どうして涙が出てくれんだろう…私は笑いながら涙が止まらなかった。でもこの涙はこの間の涙とは違う。ありがとうの涙だ。西郷統括学園長、優芽を誘拐した犯人である私が憎くてしかたないだろうに私を許してくれてありがとう。山本管理官、私になにも聞かず、でも私を信じてくれてありがとう。お母さん、私を最後まで探してくれて、愛してくれてありがとう。

そして貴文、私を最後まで信じてくれてありがとう。
私はたくさんのありがとうに背中を押されボタンを押した。


ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー


「エマージェンシー、エマージェンシー。サイバー攻撃が確認されました。繰り返しますサイバー攻撃が確認されました。全システムダウンします」
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