◯モノクローム●

ドール篇

第217話 分魂体

勝利の余韻に浸りながらも、全身から力が抜け、床に倒れ込んでしまった宗一郎は、迫り来る魔の手に気づくことができなかった。
首をきったはずのマンディはなぜか起きており、これまで一度も表情を変えてこなかったのにもかかわらず、鬼の形相で宗一郎を睨みつけていた。
「よくもやってくれたわね。よくも私の首を、、、」
マンディは、怒りのあまり掠れた声で、宗一郎に再び髪を巻きつけた。
「なぜだ、、、なぜ首を切ったのにしなない、、、」
宗一郎は死にそうになりながら、わけもわからずそう聞くほかなかった。
「愚かな人間め、私ほどのレベルのナキビトともなれば、色々と策は打ってあるのよ、、、」
宗一郎は絶望と驚きの表情で、必死の意地でマンディを睨みつけた。
「仕方ない、どうせ死ぬんだからあんたには教えてあげるわよ。」
マンディは宗一郎の頭を掴むと、爪をおでこにめり込ませ、出血させながら語り出した。
「簡単な話よ。私は分魂体を作ったのよ。それも大量に。。。」
宗一郎は絶望しながら、
「まさか、、分魂の技術がまだあるなんて、、、」
と呟く。
「えぇ、白怜姫様は嫌ってらっしゃるけど、ドール様はこの技術に大きな信頼を置いておられるのよ。当然私も教わった。」
マンディは得意げに笑った。

分魂体(ぶんこんたい)とは、高度な技術により、自らの魂をいくつかに分ける技術である。多く分けることは比較的簡単だが、逆に2等分にするなどの技術はものすごく難しい。どのレベルの力を分けるなどと言うことも、技術が上がれば上がるほど細かく設定できる。
分魂体を作れば、主の肉体が滅びようとも、一つでも分魂体があれば、生きながらえることができる。

マンディを前に、宗一郎は絶望するほかなかった。