◯モノクローム●

LAP篇

第126話 彼らは1人でない

ついに、葛幸卿は彼らの眼前に立ちはだかった。その姿は黒い影のように不気味で、メンバーたちは思わず足を止めた。「逃げるつもりか？無駄だ、私がいる限り、君たちはどこに行っても逃せまい…」冷徹な声が、静かな森を振るわせた。

絶望の底にいるメンバーたちだったが、誰もが自分の無力さを痛感していた。それでも、少しでも戦える者が前に出るしかなかった。「私が…やってみる！」一人のメンバーが前に出た。

「これ以上、仲間を失うわけにはいかない！」その叫びが、他のメンバーたちの心に火を灯した。彼は、自らの意志を貫いて戦おうとする決意を示す。サクラの鼓舞もあって、他のメンバーも少しずつ前に出て、勇気を振り絞った。

「俺たちは仲間を守るんだ！」もう一人のメンバーが加わり、力を合わせることを決意する。そのたびに、仲間たちの心が強固になり、葛幸卿に対抗する意志を固めていった。しかし、明と慈岳が倒れたまま、彼らを背負っている状況の重さは、その戦意をいつ崩すかわからなかった。

葛幸卿は、彼らを軽蔑するように見下ろしながら、冷酷な微笑を浮かべる。「抵抗など無駄だ。君たちの力では、私には敵わない。」その言葉は、仲間たちの胸に鋭い刃のように突き刺さった。だが、その瞬間、心の底から湧き上がった感情が彼らを突き動かした。

「仲間を、仲間を守りたい！」その思いが、ギリギリの状況でも彼らを一つにまとめ、明と慈岳のために命を懸ける覚悟を決めたのだった。希望の光が見えなくても、絶望の中で一歩を踏み出そうとする勇気が、少しでも未来を変えられると信じていた。彼らは、もはや一人ではなかった。