◯モノクローム●

黒鼠シラ

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LAP篇

第116話 葛幸蝶

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ナキビトの侵入は、夜の静けさを破って現れた。暗い影の中に潜むのは、「葛幸蝶」と呼ばれる吸血蝶々の総称であったが、その背後には恐るべき存在、葛幸卿がいた。彼は黒いマントに全身を包み、顔すらも見えない神秘的な姿をしていた。彼の周囲には、無数の葛幸蝶が飛び交い、その数はまるで暗闇そのもののようだった。蝶々たちは彼の命令に従い、まるで一つの生き物のように巧妙に動き回り、近づくことすらままならない状態を作り出していた。

ラプの仲間たちは恐怖に包まれていた。この中級の中でも最強クラスとされる敵に対し、戦える者は果たしているのか。現時点で戦力として頼れるのは、慈岳吾郎、佐久間次郎、そして明の3人だけだった。しかし、次郎はその場にいても、まるで戦う気がないように見えていた。彼は無関心そうに壁にもたれかかり、戦を避けようとしていた。緊迫した状況の中で、その状態は思わず周囲を尋常ならざる沈黙に包み込んだ。

「何をしている?私たちを助けるんだ!」慈岳が次郎に向かって叫んだ。彼の目には明らかに焦りが浮かんでいた。次郎はその言葉に一瞬反応を示すものの、視線は揺れやすく、何かを考えているようだった。その間にも、葛幸卿が無数の吸血蝶を使して攻撃を仕掛けようとしていた。

明は、次郎の様子を心配しつつも、急を要する状況を把握していた。彼は慈岳に小声で囁いた。「次郎が戦う気にならない限り、俺たちだけでこの敵に立ち向かうのは無謀だ。葛幸卿の悪意は明らかだから、まずはあいつを何とかしないと。」
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