13 / 13
第1章・グランカルト
CUTE→BAD
しおりを挟む────洞穴に連れ込まれて数十分。
「どうです、旦那?」
「・・・うまい」
ご馳走になっていた。
「そうでしょうそうでしょう、うちの女房の飯は絶品ですからなぁ!」
たしかに、ご飯はうまいが・・・なぜご馳走になっているのだろう。
「なぁ、なんで俺はご飯を食べさせてもらってるんだ?」
「・・・旦那、折り入って頼みがあります」
どうした急に、しかも初対面の俺に頼みなんて。
「実は、この森には様々な種族がいて、多種族で集まって縄張りを張ってるんでさぁ」
ふむふむ
「縄張りを張ってるってことはその領地間で争いが起きるってことでさぁ」
なるほど、それで?
「旦那ほどの強さがあれば、この森を統一出来るんじゃ・・・と思いまして」
ふむふ・・・今、なんて?
「悪い、この森の全種族をまとめる・・・?」
「はい、そうすれば争いは起きなくなるって考えでさぁ」
そうだな・・・そう・・・だな。
「俺じゃなくても、他の強いやつに頼めばいいだろう、ほら、ドラゴンとかに」
「何を恐ろしいことを、ドラゴンなんかの目の前に現れたなら、一瞬で肉塊にされて終わりでさぁ!」
・・・ドラゴンはどうやら、えらく凶暴らしい。
使えない。
「はぁ~・・・どうすればいい?」
「ありがとうごぜぇます旦那、ひとまず、隣の種族に交渉に行きましょう!」
────2時間後。
「これで5つの集落がまとまりやしたね!」
これだけの集落をどうやって2時間ほどでまとめたかって?
簡単だ。
ライオンもどき───名前はバランらしい。
バランが俺が種族がまとまった時に王になる、と言うだけで超笑顔で快諾してくれる。
それだけだ、時間の殆どは移動とバランと集落の長との話だ。
「なぁ、バラン」
「へい、何でしょう旦那」
「あといくつ残ってる?」
「ざっと20でさぁ_」
「・・・多いな」
「これでも、この4年で3割は減りましたぜ?」
「こんな森の中に、よくそれだけ暮らしてこれたな・・・」
「いや、暮らしてこれなかったからこそ今の数になってるんでさぁ」
「どういうことだ?」
「縄張りが多すぎて、その度に争いが起きて集落が潰れていったんでさぁ」
「・・・あぁ、なるほどな」
「あぁほら、そこでいま縄張りを広げるための争いが始まってますぜ」
見るとそこでは、斬り合い殴り合いが繰り広げられていた。
なんかちっちゃい動物ばっかりで、言っては悪いが少しかわいい。
「なぁ、ちなみにあれは、死者は出るのか?」
ポフッポフッ、フヨッフヨッ。
そんな擬音が聞こえそうなほどの光景で、とても死人が出るとは思えない、思いたくない。
「いえ、最近の種族は攻撃性がほとんど無く、痛みに耐えきれなくなった方が逃げて終わる、というのが最近の争いですぜ」
何だ、思ったより平和な争いな――
――グシャァァッ!!
・・・そう思っていた時期もあったな。
「・・・いや違うだろ、なにあの黒いの、さっきの小動物達がなんか・・・なんか・・・」
あまり詳しくは言わないが、黒いのがちっちゃいのをすり潰して地獄絵図に変わった。半分くらいごっそりいかれた。
「・・・なぁ、バラン」
「へい、なっ、なんでしょう?」
「最近の種族は攻撃性が無いんじゃなかったか?」
「旦那、ほとんどないんです、たまにあんなえげつないのもいるわけでさぁ」
・・・なるほど、そう言えばバランもあれに似たような体格だしな、居ても当然だよな。
・・・だが、自分より遥かに格下を、あまつさえ攻撃性の無い小動物を蹂躙した。
────少し、痛みを教えよう。
「バラン、残ってるかわい・・・小動物達を少し離れたとこに連れて行け」
「へ、へい!・・・旦那はどーするんで?」
「死なない程度に教え込む、弱者側の気持ちってやつを」
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる