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第六章 激震、マーリレンス大陸

#26 女性陣30.5人

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「風呂っいいなっ!今日は疲れちまったし細けぇ話とかは明日でもいーだろっ!よしっみんなで入ろうぜっ!」

「うんっ!ナーくんもつかれたでしょー?おせなかいっぱいごしごししてあげるよーっ!」
「わたくしたちがきれいにしてさしあげますねっ」

 ニアの一言で完全にノリ気になったアーネ、そして俺にとって大変魅力的なお誘いをしてくる我が心のオアシスの二人。
 うん、まぁ風呂に入るのは構わないんだけどさっ、流石にセヴァル達の他、お客さんの男性陣がいるんだし全員一緒には無理だってっ!

「えーっと…じゃあ、アーネもこう言ってるし細かい事は明日またゆっくり話すとして…ひぃ達のお誘いも大変嬉しいんだけど今日はほら、お客さんもいるから俺達はあとでゆくっり入ることにするよ…。だから女性陣だけで入ってきな?」

「あー、さっきも言ったけどよ?俺らのコトは気にしねぇで入ってきてもいいぜ?マスターさんよっ」
「これぞまさにハーレムの醍醐味なのだろう?その邪魔などしたくはないさ」
「「そうそう」「………そうだな」」

「いやいや流石にそれは無しだって……失礼だし」

「ナオト様、こちらの件についてですが…誠に勝手ながら私とカッツの部屋を改造致しまして、個別に浴室を設置させていただいております。ですので私共には気兼ね無く奥様方とごゆっくり入浴を。カイン様やブリッズ様方にはお手数ですがそちらにてご入浴いただければと」

「おっ、悪いね。んじゃそーさせてもらうわっ」
「全然構わねーよ。むしろそっちの方が気が楽だわ」

 い、いつの間にそんなことを…。
 この前ちょっと戻って来た時は全員一緒に風呂入ってたから気付かなかった…普段俺が居ない時は自分の部屋の風呂に入ってるのか…。
 せっかくあんな豪華な風呂があるのに個室の風呂を使わせてるなんて、ちょっと申し訳無くなるな…。

「そんなに気ぃ遣わなくても大丈夫だって言ってるんだけどねー、セヴァルやカッツにはっ。ワタシたちのことでいっぱい面倒かけてるんだしさー」

「何をおっしゃいますか、リズ様。私は…奥様方が楽しそうに笑っておられるお顔を見るのが好きなのです。その笑顔が私に向けられているのは、私が誠心誠意ナオト様の為に尽くしているからこそのものだということは重々承知しております。その奥様方が私共に気を煩わす事無く快適に過ごせるよう努めることは、奥様方の主人であり、そして我が主でもあるナオト様の為として、当然の事をしているまで。ですのでナオト様…今後とも変わらず、この私を側に置いてくださるようお許し願いたく」

「僕だってそうですよ。ミオン達がいつでも楽しく出来るようにする為なら何一つ苦になることなんかありませんから。そうしてこの間みたいな最高の演奏が見られるんならどうってことはありませんしねっ」

 あ…厚い、熱い、暑いよっセヴァル!その忠誠心がっ!俺何かしたっ?そこまで忠誠心を得られるような事した覚えが全く無いんですけどっ!
 やっぱりこの人がうちで一番謎の人物な気がする…いやホントただの雇い主なんだよね?俺。
 今もこうやってイケメンに頭を下げさせてる俺は一体何様なのかと…悪い事してるってわけじゃないはずなのに、もの凄い罪悪感が……。
 カッツもカッツで魅音達の為なら本当に何でもするって感じだしな…魅音達と仲良くしてる他の娘達にも何かあったら、魅音達に影響が出るとか思ってるんだろう、気持ち良く演奏してもらう為にもそっちにまで気を遣ってるってことか…。

「いや、うん、分かった、分かったからセヴァル…そんな頭下げないでくれって。むしろ俺の方が頭下げるべきなんだから、いない間のこと任せっぱなしにしてごめんって……」

「…そう思っていただけているだけで十分で御座います。私に頭を下げるなど、全く以て不要です。では、今まで通りこの家をお任せいただけるということで宜しいでしょうか」

「もちろん…というかもうセヴァルがいないとか多分無理だから。だからその、これからもよろしくってことで…」

「はい、お任せください。さぁ、では奥様方とご一緒に身も心もお寛ぎになってください。こちらの事はどうかお気になさらずに」

「あー…うん、分かり…ました……」

 なんか強引に持ってかれた気がしなくもないけど…ここまで言ってくれてるんだし、素直に甘えることにしておこう…お客さんにはホント悪いと思うんだけど。

「あのぉ…話がまとまったみたいなんだけどさ、ボクたちのこと忘れてないー…?」
「にゃーたちはどうすればいいにゃ…?」

「…?一緒に入らへんの?」

「えっと、チュチュとペルは別にそれでもいいっちゅけど…」
「わ…私と攻瑠美、も……?」

「みんな一緒なんだから大丈夫だよーっ!だからくるみんもまもりんも一緒に入ろっ?」

「いやぁ、だって…尚にぃも一緒…なんだよね?」
「そ、それはちょっと……」

「じゃあ二人は後にする?私は一緒に入るけど」

「え、シルファさんは大丈夫なんですかっ?」

「ええ、大丈夫だけど…って、二人ともコウキやケンゴから聞いてない?私もリーオルも一緒にコウキ達と入ったことあるわよ?お風呂」

「「えぇっ!?」」

「………(コクっ……。……温泉、だった…よ…………」

「ちょっ、おにぃ何やってんのっ!?」
「兄さん…そんなこと一言も言ってなかった……」


 そうでした、この娘達もお客さんですよね…。
 ペルとチュチュはアーネ達と同じ獣人だからかそんなに抵抗は無さそうなんだけど、まぁ同じ漂流者の攻瑠美と護璃は当然抵抗あるよな…魅音に抵抗ないのがちょっと、と思ってたけど、ずっと入院生活してたからか向こうの世界の一般的な女の娘とは少しズレた価値観持ってるっぽいんだよな…もうこっちの娘達に近い感覚で羞恥心も殆ど無いというか。
 
「あー、じゃあ攻瑠美達は先に入るか…?俺は後でもいいし……」

「それだと皆さんを待たせることになりますよね。…………攻瑠美」

「………(コクっ。分かってるよ、護璃」

「…私たちも一緒に入りますっ」
「うんっ、ボクたちも一緒に入るよっ!」

「………いや、そんな無理することじゃないからな、これ……」

「いいえっ、兄さん達がそうだったんなら私達だってそうしますっ」
「そうだよっ、まったくおにぃたちはどうしてそういことは言わなかったのかなぁーっ!」

 うん、多分妹だからだと思うよそれ。
 でも確か攻輝は護璃にラビィとのこと言ってたよな…?そっちは恋人だったからか。
 そこで他の娘とまでなんて言ったらそれこそハーレムだろうし何しに行ったんだって話になるからだろうな…多分。
 でもな?攻瑠美、護璃。
 それは相手が異世界の住人だからであって、漂流者同士ではないんだよ…そこ分かってる?ただ単に対抗心ってだけでいろいろおかしなコト言ってるって自覚無いだろ……。

「じゃあそういうことでー。みんな行こうー」

「……………どうなっても知らないぞ、俺……」


 ……どうしてこうなるのか、結局ここにいる女性陣全員と俺が風呂に入るっていう流れになった…ホントにどうなっても責任取れないからなっ俺はっ!


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「ふぃー……。やっぱデケー風呂はいいなぁー…シルファんとこもそこそこだったけどなっ」

「私たちエルフは獣人たちほど入浴自体は重要視していないし…。獣部分があると大変よね、ラビィもアーメルもお風呂大好きだったわ、懐かしい……」
「………うん……懐か、しい…………」

「大婆ちゃまたちもそうだったんでちゅね」
「そうだったのにゃー」

「どうしても毛の部分って埃とか溜まりやすいのよね…」
「まぁ、そら当然やろな。ウチとラナ…それにニナの尻尾は特になぁ…」
「うん…そうなんだよねぇ……」
「だからぁ~こうしてぇお風呂にぃ入るのぉがぁ~、みんなぁ好きなんだよぉねぇ~」

「ランとイアもそうなのー?」
「「…………」「………………」」
「ランは好きなのですね」
「イアちゃんはそうでもないのです…?」
「…………」
「翼が水を弾くからなのかー、それは仕方ないのさー……」

「しかしアレだな。こうして全員揃うと……」
「スゴいことになってるねぇー……」
「何人いるんでしょうか…?」
「……30人はいるかしらね?」

「[正解です]」

「じゃあアコちゃん入れて30.5人ってことねー」

「[ありがとうございます]」

「やはりこうして皆様とご一緒するのはいいですね…」
「…私は未だに恐縮してしまうところはありますが……」
「メイド長は真面目過ぎるのですよ」
「もっと力を抜いてください、私達みたいに」
「いや、キャムとチェルは抜き過ぎだからなっ?」
「えー、そうかなー」
「ニアは…うん、そのままでいいよ……」

「ねっ!みんなで入ると気持ちいいでしょーっ?」
「……そ、そうだねー……あははー…………」
「これは……何かもういろいろと負けた気がする………」


 ……もうね、凄いとしか言いようがないんですよホント。
 絶景とかそんなレベルじゃないですよ?これ…。
 天国?いや、エクリィがいる所でもこんなのあり得ないから…もう俺の語彙では喩えようが無いです。

 さっきひぃとティシャ、それにミルとメイの四人に身体を洗ってもらって、今は全員湯槽の中。
 胡座をかいた裸の俺の膝上にはランとイアが、そして隣にはティシャとひぃという、さっきとほぼ変わらないチビっ娘フォーメーションで、他の皆も割と近くに固まって各々喋ってる。
 こんな至極の光景が目の前に繰り広げられているのに、割と平気なのは慣れてきたせいなのか、はたまた精神を麻痺させているからなのか。
 異世界ガールズトークを聞きながら入る風呂…うん、やっぱり異常だと思う、これが自分で望んでこうなったわけではないから余計に。
 そしてこの娘達はまたこうなったら恥も外聞も何処かへやってしまうのが困りものなんだよ…ひぃとティシャが居ようがお構い無しで。


「……相変わらずリオのそれ、凄いわね………」
「やっぱりこの中では一番やなぁ」
「…普通に浮いてるな、それ」
「リオー、重くないー?」
「………平気…だ、よ……?…………」
「あー、リオが一番なのは分かりきってるけどよ…そん次は誰だ?」
「んー…やっぱりリズっちゃん?」
「マール様もかなりのものかと思いますが…」
「メイちゃんもぉ~意外とぉあるよぉねぇ~」
「あー、シルファもそこそこじゃね?」
「シルファさんはエルフだけあって均整が取れてますよね…綺麗ですっ」
「そうかしら?でもありがとう、ミル」
「メイちゃん、ドワーフの娘ってみんなそんな感じなのぉ?」
「ううん、そんなことはないのさー」
「ならメイだけってことね。何か昔のリズを思い出すわね…」
「……ナオト兄様が…触ってくれないのです………」
「コロネちゃん、それはちゃんとナオトにお願いしないとねぇー」
「夢の中ではいくら触っても効果は出ませんからね……」
「私達が一緒にお願いしてあげますよ、コロネ」
「それは素敵なアイデアです…ぷぷっ」
「二人とも悪い顔になってるよ…またナオトさん揶揄うつもりでしょ?」
「尚斗君はおっきいのもちっちゃいのも好きなんだよねっ?」

「…?そうなのー?ナーくん」
「ナオトお兄さまは、その、おむねが好き…なのですか…?」

「……………………………………」


 ……今回はひぃとティシャの耳を塞げませんでした…ランとイアが俺の上に居たので。
 どうしてこうなるのかと…俺に何を言えと?何を期待しているんですかね?

「[胸囲順:1位 リーオルエレ「お前は何を言い出すんだっ!要らないっ!そんな情報は求めてないっ!!」………2位:「だからヤメロってっ!!」…………チッ」

 何なんだお前はっ!また余計な事勝手に喋りだして舌打ちとか!そもそも何でそんな情報まで把握してるんだよっ!スリーサイズなんかステータス表示に無かっただろうがっ!!

[ハーレムメンバーの情報は全てアコに集約されていますが何か?]

 何か?じゃねぇわ!もうホント黙っててお願い!

「…今の声はなんにゃ?」
「どこから聞こえたっちゅ?」
「……胸囲順って…胸囲順………」
「護璃はボクよりあるからまだいいよねっ!ボクなんか…ボクなんか………」

「今のはナオのスキルや。アコって言うてな、メンバーになると話し掛けたら返ってくるで」

「ふーん…そんなスキル持ってるのね、ナオト。メンバー以外だと返ってこないのかしら?」

「多分な。そう考えるとアレか…あの頃にはもう称号付いてたのか、アコと初めて話した時な」

「いや、これメンバーじゃなくても、ある程度アレがあれば返すはず…」

「アレって何よ?」

「……俺に対する親密度とか好感度とか………」

「そうなのね。それじゃ私にも返してくれるかしら、ねぇアコちゃん」


「[おめでとうございます。ようこそシルファミリアネス・ウィンディア、歓迎いたします]」


 ……………………はい?




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