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(40)惚れ薬売ってます〜クーポン券から始まる不幸って⑨〜

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 プレゼント用でラッピングして貰い、プレゼント用の袋を入れて貰ってきたものの。

 ……きたものの、ケイトがうなる。
 勢いで買ってみたけれど。

 ただ"渡そう"と。
 謝罪と感謝と、あと、それから。

 袋の中を覗いて見れば何だか可愛らしいラッピング材にくるまれていているし。何でも良いですとは確かに言ったけれど、絶対に人をネタにウケ狙いに走ったのではないかと疑ってしまう。
 違うわーーーーーーってば、全くっ。恋人にあげるんじゃない、そんなのジョルジオ君に失礼だろ。
 
「………………………………はー」
 ケイトは溜め息が出た。ふるふる首を横に振る。

 ………………………………この件はまた後で考えよう。
 
 棚上げしている内にジョルジオが大学復帰しているような気がする。
 それならそれで、いいか。

 問題を棚上げした上に考えたくないと投げやりにした所では!と現実に立ち返る。
「――――――あ!薬局に連絡しなきゃ」
 なんないのだった。
 有効期限はないそうたが忘れない内にやってしまわないと絶対忘れる自信が有る。
「えーと、どれだっけ…」
 リビングのテーブルに置いてあるノートパソコンを開いた。
 クレジット使用履歴から利用先の明細書が表示出来るので、それを開き、店員が言った様にシリアルコードとパスワードIDを確認する。次に魔族書店員からの通称不幸メールを開いて本名のグリム薬局にアクセスして所定の箇所へ入力した。送信する際には大陸一のクレジット会社による独自の本人確認の為の、幅が拳大の機械に手の平をかざす。これが手の平から血管を読み込み本人認証となっているのだとクレジット会社は公に説明しているが、実は密かに魔術が働いている。血脈から微かな魔力を辿って確定としているのだ。ちなみにクレジットカードの番号を入力すると、買い物や問い合わせ、履歴検索などでクレジット会社に登録された個人特定の情報が入力されると自動的にセキリュティが働く。
 ケイトがかざすと機械は光って送信した後に返信が来て無事に半額クーポン券が発券されていた。エナジードリンクはクーポン券を使って買い物をした時に差額が戻って来る事になっている。
 そして肝心の"不幸"であるが、噂が本当であれば会計時にブロック完了である。手元に残っているが発動される事はない。……はずである。

 そもそも不幸とはどのくらい不幸なのか予想がつかないし。ブロックされたにしろ大きさによってはあってもなくても同じ様な、ささやかなものかも知れない。
 と、思わせて実はとんでもない出来事が待ち受けてるのかも知れない。
 うん、結局分からない。


 ケイトが慎重に数字と文字を打ち込んでいく。

 "よろしいですか?"
 はい。
 "はい"
 クリックして完了。

 画面を閉じれば終了だ。

 と、思ったら"アンケートのお願い"と画面に言葉が現れた。
 "答えてくれた方全員にクーポン券プレゼント!"
 少し迷って応じる事にした。庶民はお買い得に弱い。

 "あなたは週に何回当薬局をご利用なさいますか?"
 "お買い物一回につきご購入額はどれくらいですか?"
 "今回は何をお求めに当店にご来店されましたか"
 "弊社がお勧めする商品をご存知ですか"
 "どちらでそれを知りましたか"

 ………………よくある質問である。無難な回答を入力していく。

 最後に
 "弊社のお得な情報が届く特別会員になりませんか"
 "特別会員になると更に専属薬剤師から貴方にピッタリのお薬を無料で処方致します"

 いや、いいです。
 "いいえ"を選んで送信して終了。

 言っては何だがケイトは健康には自信があった。大病はおろか大怪我もなく入院などした経験がない。それに自身を過信もしない。健康診断を受ければ絶対に問題無く『この調子で健康に努めましょう』と言われ続け、社会人となった今も会社の健康診断にて絶賛継続中。なっても軽い風邪くらい。なので当事者方には遺憾であろうが密かに入院なるものに憧れている。

 実はここにケイトの本来の出自が絡んでいるのだが本人は知る由もない。出来るだけ普通を装いつつも神様直々の面接者だったのだ、なんやかんやで運が強い。

 いいえ、でアンケートを終えて短く溜め息を吐いてパソコンを閉じた。ふと見ると個人端末がピカピカ点滅して着信を伝えている。
 何となくジョルジオだと思った。
 友人がいない訳ではないが皆それぞれに忙しくて気軽に会える頻度は少ない。今の自分から思うと彼しか考えられなかった。


 いつの間にか、普通になっている。

 今代勇者が去って、かなり荒むと思っていた心はささくれはしたが大荒れにはならなかった。今だって決して何も思わない訳でない、それでも。悲しくて寂しいと思ったけれど、気持ちの中で年下の友人と疎遠になるかも知れないと感じた事の方が大きくなっている気がするのは何故だろう。

「……………………」

 そーっとメールアプリを覗いてみた。

『ごめんなさい』

「…………………」

 ただ一言だけ送られて来たそれに、ケイトが首を捻る。
 謝罪されるような事があったっけ?
 何の事ですか、と返して、それが少し過敏になっていた謝罪主には冷たく感じ、心を折ってしまっていたとはケイトは予想もしていなかった。





※※※※※※※
 いつも有難うございます!最後までお読み頂き有難うございました!
 本文中をこの様に見苦しくさせてしまい申し訳なく思っております。
 つきましては誠に勝手ながら、本人的には誠に遺憾ながら、ちょっとの間、連続更新をお休みさせて頂きたく、ここにお断りさせて貰おうと思った次第です。正直言うと現在余裕が無いのですね。申し訳ないです。
 ではいつ、いつ……はっきりとは申せ無いのが心苦しく……。
 でも近い内に再開させたく思っております。
 ではまた近い内に。有難うございました!
※※※※※※※※※
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