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追放された…

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「アレン、本日をもってお前を追放する」


パーティーのリーダーから告げられた一言が俺には信じられなかった。

俺はアレン。探知スキルを持っている。


「な、なんでいきなり…」

「役立たずの無能だからに決まってるだろう!探知スキルを持ってるからどんなお宝をもたらしてくれるのかと思ったら、

光る板だの妙な形の金属の筒だの重すぎて動かせない鎧だの、ガラクタばかりじゃないか!」

「その通りよ。あんたは私たちの足を引っ張ってるお荷物なの」

「ふ、ふざけんな!俺だって色々考えて……それに、役に立たないわけじゃないだろ!?」

「そうだねー。でも、このパーティーに必要ないんだよねー」

「これからはもっといい探知スキルを持つ人間を雇う。金銀宝石、伝説のお宝なんかをザックザック掘り当ててくれるような奴をな!」

「そういうこと。じゃあさっさと消えて」

「ああ、もうお前の顔も見たくない。さっさと消えてくれ」

そう言ってリーダーは背中を向けた。

仲間たちも俺を見下したような目で見ている。

どうしてこんなことに……。

「……分かったよ」

「ようやく分かってくれたようだな」

「じゃあ、さっさと出て行ってくれるかな?」

「ああ……」

こうして俺は冒険者パーティーを追い出された。

それから数日、俺は宿にいた。だが金も尽きかけている。

「どうしよう…」

俺の心は絶望で満たされていた。その時だ。

「アレン君!いるかい!」

ドアが猛烈な勢いでノックされた。

「え、ええ、いますけど…今開けます」

そして俺がドアを開けた差効いたのは、一人の少女だった。

王立魔導学園の制服の上からよれよれの白衣をまとい、ぼさぼさの灰色の髪を腰まで無造作に伸ばした少女だ。

「あなたは…」

彼女の名はアンジェリカ。辺境の貴族の一人娘で、俺が探し当てたものをいつも高値で買い取ってくれた恩人だ。

もっとも、利益のほとんどはパーティーに搾取されていたが。


「アレン君!よかった!僕は君がパーティーから追放されたと聞いて四方八方探したんだぞ!」


「そ、そうなんですか?それはすみません……」

「いいや、謝るのは僕のほうだよ。君は僕のために頑張ってくれたのに、ごめんなさい」

「そんな、頭を上げてください。それより、俺なんかを探し回って疲れてるんじゃないですか?」「大丈夫だよ。これぐらいのこと、君のことを考えれば何てことないよ」

「ありがとうございます。それで、いったいパーティーを追放された俺なんかに何の用ですか?」

「折り入って君に頼みがある。君、僕に協力してくれないか?むろん、報酬は払う。これは前金だ」

そういって渡されたのはなんと金貨10枚!平均的な年収に匹敵する額だ!


「こ、こんな大金を!?」

「それだけの価値はあると思っている。引き受けてくれるかね?」

「もちろんです!」

俺は即答した。これで当分食いつなげるし、それにあの人たちへの復讐ができるかもしれない。

「よし、ではついてきてくれ。僕の屋敷に向かう」

「はい!」

こうして俺はアンジェリカさんの屋敷へと向かった。

「ここが我が家だ」

「すごい……立派なお屋敷ですね」

そこは貴族の邸宅に相応しい豪邸だった。

「ふふ、驚いただろう。さあ入ってくれ」「はい、失礼します」

中に入ると、そこには俺を出迎える大勢の使用人とメイドたちの姿があった。

「ようこそおいでくださいました。アンジェリカ様」

「ああ、今日は客人が来ている。応接間に通しておいてくれないか」

「かしこまりました」

俺たちは広い応接間に入った。

「早速本題に入ろうか。なぜ僕が君のスキルを重要視するか?わかるかね?」

「さあ…」

「単刀直入に言おう。今まで君が見つけてきた、君や君を理解しようともしなかったパーティーの人々がガラクタとみなしていたもの、

あれは財宝なんかをはるかに超える価値を持つものだ!」「そ、そうですか……?」

「そうだとも。君が見つけてきた物品、僕たちは『オーパーツ』と呼ぶがね。あれらは古代文明の遺産なのだよ」

「古代文明…?」

「君もきいたことくらいはあるだろう。僕たちの文明が生まれる前、はるか太古の昔に僕たちの文明をはるかに超える技術を持った文明が存在していたという話を」

「確かに聞いたことはありますけど…オカルトでしょう?」「まぁ、そういう考えもあるね。だが、僕はそれを裏付ける証拠を持っているんだよ」

そう言うと彼女は懐から一枚の紙を取り出した。

「これを見てくれ。これはある遺跡で発掘された石板だ。この石版には文字らしきものが刻まれているが、解読はほとんど不可能に近い」

「は、はあ……」

「ところがそこに、こんなことが書いてあったんだ。『我々の科学技術はやがて来るであろう災厄によって滅ぼされることになる。我々に残された手段は、 この世界に存在するあらゆるものを解析し、その構造を解き明かし、いずれ訪れる破滅に備えなければならない。

そうしなければ、我々は滅び去るのみだ。どうか、未来の人類に希望を託したい』とね」

「…………」

俺は黙り込んだ。正直信じられなかったからだ。

「信じる信じないは勝手だが、これが事実であると証明する方法はない。だが、もし本当にこの文章の通りだとしたら……」

「それが、俺のスキルと関係していると?」

「そういうことだ。君が発見したものは、全て古代文明が我々に残した遺産だ!」

「なぜそこまでこだわるんですか?」

「僕の家の領地は昔からひどい場所でね。今は古代遺物の力でずいぶんましになったがそれでも多くの場所で作物は育たず、モンスターが跋扈し、立ち入るだけで病にかかり命を落とすような場所まである。

おそらく古代文明を滅ぼした超兵器の影響でそうなってしまったのだろう。そしてほかの貴族は呪われた土地と呼び、そこを治める僕たちや住まう民を嘲笑った。

だが僕たちの領地には多数のダンジョンが存在する。そのダンジョンは古代文明の時代には避難所や超兵器の発射基地だったのだろう。

僕は古代文明の力で領地を復興したい!そして僕を、僕の家族や領民を馬鹿にした奴らを見返してやりたいのだ!」

「アンジェリカさん……」

彼女の目には確かな怒りと、そして決意の光が宿っていた。

「そこでだ!君にお願いしたいのは、オーパーツの発見と回収だ!それを我が家に届けてほしい!」

「わかりました。俺でよければ協力させてください」

「ありがとう。では早速出発しよう。君に見せたいものもあるしな」

こうして、俺はアンジェリカさんの依頼を受けることになったのであった。

「さて、君に見てもらいたいものがある。ついてきてくれたまえ」

「はい」

俺は彼女に案内され、屋敷の地下へと向かっていた。地下へ続く階段を降りていく。

「あの……ここってまさか……」

「ああ、そうだ。ここはかつて僕の祖先が使っていた研究室だよ」「すごいですね」

「そうかい?ただの埃臭い部屋だと思うが」

「いやいや、こんな地下室にこれだけのものを隠してるなんてすごいですよ」

「そうか?まあいい、ついたぞ」

そう言って彼女が開けた扉の向こうにあったのは、巨大な機械装置の数々だ。

「これは……!」

「ふっ、驚いたようだね」

俺は言葉を失った。なぜなら、それらは現代科学でも再現不可能なレベルのものだったからだ。

「どうだい?すごいだろう?」

「はい、驚きました」「ふふ、もっと驚いてもいいんだぜ」

「ところで、見せたいものというのはこれのことですか?」

「いいや、まだだ。もう少し待ってくれ」

しばらくすると、部屋の奥から大きな箱のようなものが運ばれてきた。

「さあ、開けてくれ」

言われるままに、俺が蓋を開けると中には……。

「こ、これは!?」

中に入っていたのは、鎧兜一式と剣だった。

「すごいだろ。これらは我が家の家宝なんだ」

「す、すごいですね……」

「しかもただの鎧じゃない!着てみたまえ!」言われて、俺は恐る恐る甲冑を着てみる。

「おお……」

「どうだ?感想を聞かせてくれないか?」

「すごく軽いです。それに……」

「それに?」

「なんか……体が軽くなったような…」

「パワーアシスト機能のおかげだな」

「ぱわーあしすと?」

「ああ、それはパワードスーツといって、着用者の力を補助する機能をもつんだ。

これも古代の遺物だ。ダンジョンから見つけてきたのだよ」「そ、そうですか……」


「それともう一つ面白いものを見せてあげよう」

そう言うと彼女は、机の上に小さな筒状の物体を置いた。

「なんですかそれ?」

「ふふ、よく見てみろ」

言われた通りに見てみると、そこには驚くべき光景があった。

「こ、これは……!」

筒の中に映し出されたのは、先ほどのオーパーツの映像だった。

「どういう仕組みですか?」

「これはカメラというものだ。画像を『保存』することができるんだ。

君が発見したオーパーツの画像もこの中に保存してある。もちろん君にも見せているだろう。実はこのカメラは、君が発見したオーパーツと同じ技術で作られたものだ」

「えっ……」

「まあ正確には同じではないがね。このカメラは映像だけでなく音声も記録できるんだ。だから君の声もばっちり録音されているよ」

「そう、ですか……」

「ちなみに君のスキルは、このカメラのように録画することもできる。その気にさえなれば、君自身が撮影した映像をこのカメラで見ることができるはずだ」

「なるほど……」

「さて、これで僕が君に頼もうとしていることがわかったかな?」

「はい、わかりました。古代文明の遺産を見つけ出し、それをアンジェリカさんに届ければいいんですね?」

「そういうことだ。君には期待している。よろしく頼むぞ」

「はい、任せてください」

こうして、俺はアンジェリカさんの依頼を受けることになったのであった。
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