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80. クーデター⑧
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「いくぞ!」
と言うリーダー格の悪魔からの号令と共に3人が一斉に駆けてきた。
「ちょっと直線的すぎない?」
とステラが言うと、彼女は業火球を三つほど創ると一息にぶつけた。轟音、遅れて強い風圧が体を叩き、強い熱波が空を焼いた。しかし、悪魔たちが大理石のような見た目の石の床を蹴る音は止まらなかった。
「やばっ…」
とステラが攻撃を受けることを覚悟したその時、ヒュンと空を裂く音がして攻撃を加えようとしていた少女の悪魔の肘を貫いた。
「あ…アグッ…」
とその悪魔はその場に沈んだ。一瞥すると、矢尻が真っ白に霜が降りていた。恐らく矢に氷魔法を込めたのだろう。ルイトみたいに氷魔法のスキルを持っていないため、全体に霜が下りる程度だったが、十分攻撃の抑制はできていた。
「ちっ…あの弓野郎が厄介ね…」
とステラの前の悪魔が呟くと三人がかりでルプスを狙い始めた。
「行かせるかよ。」
と僕は三人の前に立ち塞がったが、
「邪魔だ。」
とリーダー格とは別の悪魔が風魔法を打ち出す。
「ほいっと。」
と僕は魔法を反射する結界を張ったが、悪魔の撃った風魔法は僕自身ではなく、僕の足元を抉り、僕は壁まで吹っ飛んだ。
「うぉおぁ…っと、ル、ルプス!」
と僕は姿勢を崩しながらもルプスに三重の結界を“付与”したが、悪魔の腕力がそれを上回ったのか三重の結界は粉々に砕け、ルプスの体に二発の拳が重たい音と共に叩き込まれ、吹き飛ばされていた。
「がっ…」
と僕も背中を叩きつけてしまうが、なんとか受身を取ると素早く立ち上がり、時間魔法で時を止めるとルプスと悪魔ズの間にさっきとは比べ物にならない障壁を貼ると、時間魔法が解け、止まった時が元に戻った。
「ごめん、手借りるよ!」
と僕は近くにいたステラの手を取ると、空間魔法でステラごとルプスを守る障壁の中にワープした。
「矮小な人間風情が!こんなもの!」
と障壁に対して攻撃を加え始めた。
「この結界は見とくからルプスを!」
とステラに言われ、僕は急いでルプスの元へ走っていくと、
「ルプス、ルプス…おい、しっかりしろ!」
とその肩を揺すった。
「カハッ…」
と俺は口から血を吐いた。ゆっくりと目を開けると、
「大丈夫か、ルプス?」
と目の前でミナトが聞いてくるがその声はキツそうだった。
「お前こそ大丈夫なのか?」
と言いながら体を起こそうとするが痛みと体の疲れとが重なったせいか立ち上がることができなかった。
「おいおい…自分の心配をしとけよ、今だけでいいからさ。」
と言うと俺に回復魔法をかけてくれた。
「ちょっと!そろそろこの障壁もやばいわよ!」
とステラが向こうから叫んできた。
「了解!…これ、俺の分のポーションだ。飲めたら飲んでおけ。戦いは任せろ。…ここからは俺の時間だ!」
そう言うと、僕は立ち上がり、悪魔たちの元へと歩んでいった。
と言うリーダー格の悪魔からの号令と共に3人が一斉に駆けてきた。
「ちょっと直線的すぎない?」
とステラが言うと、彼女は業火球を三つほど創ると一息にぶつけた。轟音、遅れて強い風圧が体を叩き、強い熱波が空を焼いた。しかし、悪魔たちが大理石のような見た目の石の床を蹴る音は止まらなかった。
「やばっ…」
とステラが攻撃を受けることを覚悟したその時、ヒュンと空を裂く音がして攻撃を加えようとしていた少女の悪魔の肘を貫いた。
「あ…アグッ…」
とその悪魔はその場に沈んだ。一瞥すると、矢尻が真っ白に霜が降りていた。恐らく矢に氷魔法を込めたのだろう。ルイトみたいに氷魔法のスキルを持っていないため、全体に霜が下りる程度だったが、十分攻撃の抑制はできていた。
「ちっ…あの弓野郎が厄介ね…」
とステラの前の悪魔が呟くと三人がかりでルプスを狙い始めた。
「行かせるかよ。」
と僕は三人の前に立ち塞がったが、
「邪魔だ。」
とリーダー格とは別の悪魔が風魔法を打ち出す。
「ほいっと。」
と僕は魔法を反射する結界を張ったが、悪魔の撃った風魔法は僕自身ではなく、僕の足元を抉り、僕は壁まで吹っ飛んだ。
「うぉおぁ…っと、ル、ルプス!」
と僕は姿勢を崩しながらもルプスに三重の結界を“付与”したが、悪魔の腕力がそれを上回ったのか三重の結界は粉々に砕け、ルプスの体に二発の拳が重たい音と共に叩き込まれ、吹き飛ばされていた。
「がっ…」
と僕も背中を叩きつけてしまうが、なんとか受身を取ると素早く立ち上がり、時間魔法で時を止めるとルプスと悪魔ズの間にさっきとは比べ物にならない障壁を貼ると、時間魔法が解け、止まった時が元に戻った。
「ごめん、手借りるよ!」
と僕は近くにいたステラの手を取ると、空間魔法でステラごとルプスを守る障壁の中にワープした。
「矮小な人間風情が!こんなもの!」
と障壁に対して攻撃を加え始めた。
「この結界は見とくからルプスを!」
とステラに言われ、僕は急いでルプスの元へ走っていくと、
「ルプス、ルプス…おい、しっかりしろ!」
とその肩を揺すった。
「カハッ…」
と俺は口から血を吐いた。ゆっくりと目を開けると、
「大丈夫か、ルプス?」
と目の前でミナトが聞いてくるがその声はキツそうだった。
「お前こそ大丈夫なのか?」
と言いながら体を起こそうとするが痛みと体の疲れとが重なったせいか立ち上がることができなかった。
「おいおい…自分の心配をしとけよ、今だけでいいからさ。」
と言うと俺に回復魔法をかけてくれた。
「ちょっと!そろそろこの障壁もやばいわよ!」
とステラが向こうから叫んできた。
「了解!…これ、俺の分のポーションだ。飲めたら飲んでおけ。戦いは任せろ。…ここからは俺の時間だ!」
そう言うと、僕は立ち上がり、悪魔たちの元へと歩んでいった。
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