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79. クーデター⑦

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光が止むと、そこには黒装束フードケープに身を包んだ人影が三体見えた。
「よしっ!成功か?」
と王が叫ぶ。すると、黒装束の中で1番背の高いやつが王の元まで行くと、その場で跪き、
「お呼びですか、マイマスター。」
「うむ、苦しゅうない。表を上げろ。」
「いえ、このままで結構。…して、御命令を。」
「ああ、そこに…何人か人間がおろう。あれらを全て片付けてはくれぬか。」
「そんなこと、我等にとって造作もないことです。承知しました、直ちに…」
と言うとその黒装束はこちらを一瞥すると、
「失せろ。」
と言うと、右手からいきなり巨大な火球を作り出す。僕は反射的に防御魔法を展開すると展開した直後にその火球が防御魔法にぶつかる。衝撃がフィードバックし、僕は数センチ後ろに下がったが、なんとか完全に防ぐことができた。
「ほう…これを防ぐか…いい魔術師がいるな…」
と黒装束が話していると、その体が矢で貫かれた。その衝撃で被っていたフードが落ちた。
「えっ…」
とステラはその姿を見て明らかに動揺していた。
「…いい腕だ。お前、“ハンター”か?」
と心臓部に矢が刺さったままその男は起き上がる。
「嘘だろ…普通ならもう死んでるはずだぞ…」
とルプスも驚いている。近くでは2人の黒装束を騎士団が取り囲み、一斉に攻撃しようとして…全員がもれなく吹っ飛び、壁に叩きつけられていた。しかし、何人かの刃は届いていたようで吹っ飛ぶときに一緒に黒装束は持って行かれたようで、残りの2名の素顔も顕となった。
「こんなの…勇者であるはずがない…あれは転生者ですらないわ…」
とステラは戦慄きながらそう言った。恐らくだが、これは彼らの見た目からくるものだろう。2人の男と1人の女性。しかも女性に至っては明らかに若い…と言うよりも幼い…身長も性別もバラバラだ。しかし、3人にはある共通点がある。角だ。3人とも頭にはねじれた禍々しいツノを持っている。
「ステラ、あれって…」
と僕はステラに確認をとった。悪魔だよな?という僕の疑問を先取りしたように彼女は頷くと、
「間違いなくあれは悪魔よ。しかもこんだけ存在をはっきり認識できて、物理が効くことから受肉していることは確定してる…恐らくだけど力的には伯爵級ね…」
と言った。伯爵級その言葉に思わず唾を飲み込む。この世界にも悪魔は存在しており、保有する力によって階級が付けられる。
階級はソロモン72柱に準えて呼ばれており、今回の伯爵級は上から4番目。ちょうど真ん中だが、1人で国を半壊させることも可能なものもるらしい。
「ようやく我等のことがわかったか?矮小な人間よ。さっきはよい挨拶だった。挨拶は返すのが礼儀。返させてもらうぞ。」
と薄気味の悪い笑みを浮かべながら彼ら3人はこちらに近づいてきた。
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