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78. クーデター⑥

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クロエたちが戦いに参加すると戦況は一気に傾き、兵士隊はあっという間に全滅していた。
「ふぅ。こんなもんかな。」
とクロエは呟くと、こっちに向き直り、
「久しぶり…ただいま。ナギちゃん。元気だった?」
と言い私に抱きついてきた。私はクロエを抱きしめると、
「おかえり。怖かった?」
と聞いたが、
「ううん、全然。アサギとミクリがいてくれたからね。」
と言い後ろのメイドさん2人の方を見たが、2人はルイトの看病をしてくれていて、こちらの視線には気づいていなかった。私はクロエから手を離すとその場に仰向けに倒れ込むと、
「やったぁ!目標一つ目クリア!」
と叫び、大きく伸びをした。

一方その頃、ミナトたちはというと…
「これで…最後!」
と言い僕は目の前にいた兵士を殴り飛ばす。殴り飛ばされた兵士は壁にその体を叩きつけると、力無くその場に倒れ込んだ。
「これで全滅か?」
「ええ。お疲れ様ね、ルプス。みんなもお疲れ様。あともう一踏ん張りよ!」
後ろを振り返ると、ステラが早くも次の動きのための準備をするべく動き出していた。僕もその輪に加わると、ステラは、
「この先が玉座のある王の間よ。さあ最後の戦いといきましょう。A班、並びに救護班はここで待機。事態を見てバックアップをお願いね。B、C、D班は私達と一緒に王の間に雪崩れ込むわ。」
と改めて作戦を話していたが、僕はある気配を感じて後ろを振り向くと、
「…どうやら作戦会議は不要みたいだぞ。」
と言った。するとステラも僕の向いている方向を向いて、
「そうみたいね。」
と言った。今僕とステラの向いている方向にはある人物がいた。赤いマントを見にまとい、頭には豪奢なクラウンを被った恰幅のいい男性がいた。一目で分かった。あれがおそらくだがこの国の王…ステラの父だろう。
「お父様…」
とステラが何か言おうと口を開いた時、
「ステラ…愚かな娘だ…お前がこんなことをしなければ大勢の人は死なずに済んだのにな…」
と国王は口を開いた。
「確かに、死んだ人も多かった!でも!私はもうあんな声聞きたくないし、あんな惨劇を繰り返したくない。そのために、お父さん、あなたを倒さないといけないのっ!」
とステラは自分の思いを吐露した。しかし、国王は、
「お前の言うあんなものとはどうせ辺境の愚民どもの声だろう?そんなものにいちいち対応していていては心が持たんぞ。国の頂点は冷酷な者で無くてはならないのだ。優しくしてはその優しさに漬け込まれる…お前にはまだそれが分かっておらんのだ…」
と言うと近くにいた兵士を持ち上げると、
「見るがいいこれがこの国の王たるワシの力じゃ。」
と言った瞬間バシャッという音と共に兵士の体が消え、足元にその兵士が来ていた鎧のみが残った。それを皮切りに、バシャッという音が至る所から聞こえる。慌てて周りを見渡すと、周りで倒れていた兵士の姿が見えない。しかし、鎧などは残っていることから見ると、身体だけが忽然と消えてしまっていることが分かる。王に視線を戻すと、不気味な笑みを浮かべながら王は勝ち誇った顔で
「この力を媒体に、転生者を召喚する!“供物をもとにこの世界…この地に顕現せよ!勇者たちよ!”」
と言うと王の足元に魔法陣が現れ…激しい光を発した。
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