上 下
66 / 92

66.お知らせが届いた①

しおりを挟む
ステラ姫と出会い、話をしてから数週間が経った。未だに彼女から連絡は無い。恐らくだが、作戦を秘密裏に物事を進めるのはやはり時間がかかるのだろうか。なんて思いながら僕はユリウスからもらった赤い石を眺める。形としては某天空のお城が舞台のアニメーション映画のキーとなる石が近く、目を凝らすと石の中にはラメのようなものが入っていた。
「なかなか綺麗な石だな。ルビーとはにているが異なる…不思議な石だな…」
とつぶやいていると、石が手の中で淡く光だした。
「おっ、これが連絡の合図か?えっと…多分これは魔法力を流せばいいのか?スマホとは勝手が違うからよくわからん…」
と言いながらも僕はその石に軽く魔法力を流す。すると、
「もしもし?ミナト?それともナギエかルイト?」
とステラの声がした。
「ああ、僕だよ。ミナト。こうやって連絡を取ってくるってことは…そう言うことだよね?」
と聞くと、
「ええ。詳しい詳細を伝えたいから、明日王都の郊外に近い所にある、“リフレイン”っていうお茶屋さんに夕方5時に集合ね。」
と帰ってきた。
「わかった。じゃあ明日の5時に“リフレイン”に集合ですね?」
「ええ。結構大事な話をするから。なるべく遅れないようにね?」
と言い通信は切れた。

・翌日、僕はいつものメンツにこのことを話し、先輩に部活を休む旨を伝えて“リフレイン”というお茶屋に来ていた。ここの店主さんのルーツが異世界人(転生した日本人)のため、外観が江戸時代頃のお茶屋さんと言った風だ。中にはいると、和旅館の女将さんといった服装の女性がやってきた。
「いらっしゃいませ。3名さまでよろしいでしょうか?」
と聞いてくる。僕はそれに
「いや、待ち合わせです。」
と言うと、
「あ、そうでしたか。ではこちらにどうぞ。」
とステラのいる座敷に通された。
「あ、やっときた。ちょっと遅かったわね。」
とステラは抹茶を啜っていた。傍にはユリウスもいる。
「遅くなって悪かったな。」
と言いながら僕は畳にあぐらをかいて座った。そして品書きを見てから注文を取りに来た店員さんに
「抹茶と梅ヶ枝餅を3つ。ナギエとルイトはどうする?」
と聞くと、
「私はミナトと同じものをください。」
とナギエが言い、
「あ、じゃあ俺も。」
と、ルイトも続いた。
「へぇ、わかってるじゃない。」
とステラは言う。
「まあ俺の故郷にも似たような名前のものはあったからな。」
と言いながら僕は姿勢を治すと
「それで?呼び出したってことはそう言うことなんだろ?」
と話を切り出す。すると、
「ええ、じゃあ貴方達の注文が来たら始めましょうか。」
とステラは言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」 無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。 色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。 注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします! 2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。 2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました! ☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。 ☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!) ☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。 ★小説家になろう様でも公開しています。

断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。

みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。 主人公は断罪から逃れることは出来るのか?

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...