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65. クロエとシズ

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「なんかごめんなさいね。こう…無理を通してもらっちゃって。」
とクロエは申し訳なさそうに言うが、ミクリは、
「いいんですよ。元々は私が振った話ですから。それに私はメイドですよ?メイドの仕事は、仕える人の希望を叶えること。このぐらいお安い御用ってやつですよ。」
「ここですね。」
とアサギは扉をノックした。すると中から
「…誰だ?」
と声がする。その声に対し、アサギは
「ここにいる幼竜を見物しにきた。メイド2人とクロエさまだ。」
と言うと扉が開いた。そこには武装した騎士が3人いた。
「まだ幼竜だと言うのに大分物々しい装備ですね。」
とミクリが言うと、
「いや、本当にそうなんですよ。この竜は大分おとなしいし、こんな物騒な格好しなくてもいいと思うんですけどね。部隊長が小御屋敷に何かあったらどうするんだってほんと大変ですよ。」
と騎士も愚痴るそこから2人は楽しそうに会話を続けていた。なんというか…その…
「…な、なんつーコミュ力してるのよ…」
と呟くと、
「そうですよね…私にもあのぐらいコミュ力が欲しいですよ…」
「まあでもミクリはね…ちょっとアレなところがあるから…」
「そうですよね…アレなところが治ればだいぶ上役に蹴ると思うんですけどね…ささ、ドラゴンを見てみましょうか。」
とアサギに促され、早速ゲージのような檻のようなものに近づく。そして私はヴァンパイアの力のうちの一つ…あらゆる生き物と会話することができる力を発動させながら、
「…シズ?シズなの?いたらこっちきて…」
と小声で囁くと、
「…く、クロエ?クロエ姉?」
と言う声とともにのそのそと綺麗な水晶のような輝きを持つ爪と翼を持ち、胸には雫型の水晶のような見た目の石持つ竜…シズが姿を現した。
「わあ。綺麗ですね。クロエさま。これはクリスタルドラゴンですね。私初めてみましたよ。」
と興奮しているアサギ。それを無視して私はシズに袖元に隠していた水晶を取り出し、
「これ多分あなたのだよね?」
と聞くと、
「うん。その水晶にママからもらった腕輪と僕の力の大半を入れておいたの。」
とシズが言った。
「じゃあこれ大事なものなのね。返しておくね。」
と言い私はシズの鼻先に水晶を置いた。そしてもう一つ、クッキーを取り出すと、その台紙に魔法陣を二つ書き、それを下にして置いた。夜、私の元に逃げたかったらきなさい。この台紙に“透明化”と“追跡”の魔法陣を仕込んでおいたから。」
と言うと私はシズの頭を撫でる。
「頑張るのよ。シズ。きっとナギエが…ルイトが助けにきっときてくれる…そう信じてる。」
「わかってるよ。クロ姉。ママとルイトがきっと助けてくれるってそんなの確定事項…でしょ?」
「ふふ…さすがね…じゃあ私はそろそろ自室に戻るね。じゃあまた。」
と言うと私は檻から離れ、ミクリに声をかけると3人で自室に戻った。そして自室の揺り椅子に座り、ルイトとナギエに想いを馳せるのだった…
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