65 / 92
65. クロエとシズ
しおりを挟む
「なんかごめんなさいね。こう…無理を通してもらっちゃって。」
とクロエは申し訳なさそうに言うが、ミクリは、
「いいんですよ。元々は私が振った話ですから。それに私はメイドですよ?メイドの仕事は、仕える人の希望を叶えること。このぐらいお安い御用ってやつですよ。」
「ここですね。」
とアサギは扉をノックした。すると中から
「…誰だ?」
と声がする。その声に対し、アサギは
「ここにいる幼竜を見物しにきた。メイド2人とクロエさまだ。」
と言うと扉が開いた。そこには武装した騎士が3人いた。
「まだ幼竜だと言うのに大分物々しい装備ですね。」
とミクリが言うと、
「いや、本当にそうなんですよ。この竜は大分おとなしいし、こんな物騒な格好しなくてもいいと思うんですけどね。部隊長が小御屋敷に何かあったらどうするんだってほんと大変ですよ。」
と騎士も愚痴るそこから2人は楽しそうに会話を続けていた。なんというか…その…
「…な、なんつーコミュ力してるのよ…」
と呟くと、
「そうですよね…私にもあのぐらいコミュ力が欲しいですよ…」
「まあでもミクリはね…ちょっとアレなところがあるから…」
「そうですよね…アレなところが治ればだいぶ上役に蹴ると思うんですけどね…ささ、ドラゴンを見てみましょうか。」
とアサギに促され、早速ゲージのような檻のようなものに近づく。そして私はヴァンパイアの力のうちの一つ…あらゆる生き物と会話することができる力を発動させながら、
「…シズ?シズなの?いたらこっちきて…」
と小声で囁くと、
「…く、クロエ?クロエ姉?」
と言う声とともにのそのそと綺麗な水晶のような輝きを持つ爪と翼を持ち、胸には雫型の水晶のような見た目の石持つ竜…シズが姿を現した。
「わあ。綺麗ですね。クロエさま。これはクリスタルドラゴンですね。私初めてみましたよ。」
と興奮しているアサギ。それを無視して私はシズに袖元に隠していた水晶を取り出し、
「これ多分あなたのだよね?」
と聞くと、
「うん。その水晶にママからもらった腕輪と僕の力の大半を入れておいたの。」
とシズが言った。
「じゃあこれ大事なものなのね。返しておくね。」
と言い私はシズの鼻先に水晶を置いた。そしてもう一つ、クッキーを取り出すと、その台紙に魔法陣を二つ書き、それを下にして置いた。夜、私の元に逃げたかったらきなさい。この台紙に“透明化”と“追跡”の魔法陣を仕込んでおいたから。」
と言うと私はシズの頭を撫でる。
「頑張るのよ。シズ。きっとナギエが…ルイトが助けにきっときてくれる…そう信じてる。」
「わかってるよ。クロ姉。ママとルイトがきっと助けてくれるってそんなの確定事項…でしょ?」
「ふふ…さすがね…じゃあ私はそろそろ自室に戻るね。じゃあまた。」
と言うと私は檻から離れ、ミクリに声をかけると3人で自室に戻った。そして自室の揺り椅子に座り、ルイトとナギエに想いを馳せるのだった…
とクロエは申し訳なさそうに言うが、ミクリは、
「いいんですよ。元々は私が振った話ですから。それに私はメイドですよ?メイドの仕事は、仕える人の希望を叶えること。このぐらいお安い御用ってやつですよ。」
「ここですね。」
とアサギは扉をノックした。すると中から
「…誰だ?」
と声がする。その声に対し、アサギは
「ここにいる幼竜を見物しにきた。メイド2人とクロエさまだ。」
と言うと扉が開いた。そこには武装した騎士が3人いた。
「まだ幼竜だと言うのに大分物々しい装備ですね。」
とミクリが言うと、
「いや、本当にそうなんですよ。この竜は大分おとなしいし、こんな物騒な格好しなくてもいいと思うんですけどね。部隊長が小御屋敷に何かあったらどうするんだってほんと大変ですよ。」
と騎士も愚痴るそこから2人は楽しそうに会話を続けていた。なんというか…その…
「…な、なんつーコミュ力してるのよ…」
と呟くと、
「そうですよね…私にもあのぐらいコミュ力が欲しいですよ…」
「まあでもミクリはね…ちょっとアレなところがあるから…」
「そうですよね…アレなところが治ればだいぶ上役に蹴ると思うんですけどね…ささ、ドラゴンを見てみましょうか。」
とアサギに促され、早速ゲージのような檻のようなものに近づく。そして私はヴァンパイアの力のうちの一つ…あらゆる生き物と会話することができる力を発動させながら、
「…シズ?シズなの?いたらこっちきて…」
と小声で囁くと、
「…く、クロエ?クロエ姉?」
と言う声とともにのそのそと綺麗な水晶のような輝きを持つ爪と翼を持ち、胸には雫型の水晶のような見た目の石持つ竜…シズが姿を現した。
「わあ。綺麗ですね。クロエさま。これはクリスタルドラゴンですね。私初めてみましたよ。」
と興奮しているアサギ。それを無視して私はシズに袖元に隠していた水晶を取り出し、
「これ多分あなたのだよね?」
と聞くと、
「うん。その水晶にママからもらった腕輪と僕の力の大半を入れておいたの。」
とシズが言った。
「じゃあこれ大事なものなのね。返しておくね。」
と言い私はシズの鼻先に水晶を置いた。そしてもう一つ、クッキーを取り出すと、その台紙に魔法陣を二つ書き、それを下にして置いた。夜、私の元に逃げたかったらきなさい。この台紙に“透明化”と“追跡”の魔法陣を仕込んでおいたから。」
と言うと私はシズの頭を撫でる。
「頑張るのよ。シズ。きっとナギエが…ルイトが助けにきっときてくれる…そう信じてる。」
「わかってるよ。クロ姉。ママとルイトがきっと助けてくれるってそんなの確定事項…でしょ?」
「ふふ…さすがね…じゃあ私はそろそろ自室に戻るね。じゃあまた。」
と言うと私は檻から離れ、ミクリに声をかけると3人で自室に戻った。そして自室の揺り椅子に座り、ルイトとナギエに想いを馳せるのだった…
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
辺境で魔物から国を守っていたが、大丈夫になったので新婚旅行へ出掛けます!
naturalsoft
ファンタジー
王国の西の端にある魔物の森に隣接する領地で、日々魔物から国を守っているグリーンウッド辺境伯爵は、今日も魔物を狩っていた。王国が隣接する国から戦争になっても、王国が内乱になっても魔物を狩っていた。
うん?力を貸せ?無理だ!
ここの兵力を他に貸し出せば、あっという間に国中が魔物に蹂躙されるが良いのか?
いつもの常套句で、のらりくらりと相手の要求を避けるが、とある転機が訪れた。
えっ、ここを守らなくても大丈夫になった?よし、遅くなった新婚旅行でも行くか?はい♪あなた♪
ようやく、魔物退治以外にやる気になったグリーンウッド辺境伯の『家族』の下には、実は『英雄』と呼ばれる傑物達がゴロゴロと居たのだった。
この小説は、新婚旅行と称してあっちこっちを旅しながら、トラブルを解決して行き、大陸中で英雄と呼ばれる事になる一家のお話である!
(けっこうゆるゆる設定です)
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる