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55. 後宮にて(クロエ視点)②
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「いやあにしてもびっくりしましたよ。よくもまぁこんな国王の元に嫁ぎにきましたねぇ。」
とミクリがご機嫌そうに紅茶の準備をしながら話す。
「え?嫁ぐ?何を言っているの?私は婚約した覚えが無いわよ?」
と返すと、
「ではなぜ後宮に?ここはギャプリエル国王かマンティグス宰相の妾か側室クラスの人がクラスようなところですよ?」
とアサギが教えてくれた。どうやら予測通りここは後宮で間違いがなさそうだ。普通の後宮と同じならここは男子禁制なのでしばらくはあのギャプリエルの手からは逃れることができそうだ。それにしても…
「どうしてここに…ね…」
と顎に手を当てて考えてみる…しかし記憶は模擬戦が終わってナギエが倒れたあたりで途切れており、ここに来るまでの経緯が分からない。
う~んと頭を悩ませていると、2人が世間話を始めた。
「そういえばさ、聞いた?今度の王様の献上品に綺麗な幼体のドラゴンが献上されるそうよ。」
「ドラゴン…ってあの?冒険者がレイド組んでようやくってレベルでしょ?暴れ出したら幼体でも苦労しそうね…」
「でもでも、なんかそのドラゴン、やたら人に慣れているのか噛みつきすらしないんだって。」
「へぇ、それはちょっと興味あるわね。私たちみたいな奉公人にも会わせてくれるかしら?」
「今なら人に慣れさせると言う名目で後宮で公開しているそうよ。」
「あら。じゃあこの後見に行ってみましょうか。もちろんあなたも一緒に行くのよね?」
「もちろん。撫でられるかな?」
と楽しそうに会話いている時に
「あれ?これって…」
と自分の袖口に綺麗な小粒のクリスタルが引っかかっているのに気がついた。
「これって確か…シズの背中にいつもついてるクリスタル…あ、シズ!」
ガタンと音を立てて私は立ち上がった。その様子に驚いたのか、
「ど、どうされたのですか!?」
とアサギが言うが私は気に留めずにツカツカとミクリに歩み寄る。そしてその両肩を掴み、
「私も連れて行ってくれる?というか連れてって!いや、連れて行きなさい!」
と言いながらぐわんぐわんとミクリの肩を前後に揺らしていた。
「わ、わかっ…わかりましたから、今までの非礼もお詫びしますから!そんなに揺らさないでください~!」
と悲鳴をあげるミクリ。
「…お嬢様、そろそろミクリが形容し難いグロッキーなものを口から吐き出す可能性があるので折檻はその辺にしておいてもらえると片付ける側としても楽なのでできればその辺に…」
とアサギが止めに入り、そこで私は、ハッとなりミクリを解放した。ゼェゼェと荒い呼吸をしながらミクリは、
「ず、随分とおてんばに育ちましたね…姉さん、ナイスフォローです…」
と弱々しく親指を立ててグーサインをした。が、お姉さんのアサギはとはというと、
「はい?何を言ってるんですか?私はあなたの心配ではなく、あなたが吐いた後の…床の心配をしてたのですよ?」
とハブもびっくりの毒を吐いた。
とミクリがご機嫌そうに紅茶の準備をしながら話す。
「え?嫁ぐ?何を言っているの?私は婚約した覚えが無いわよ?」
と返すと、
「ではなぜ後宮に?ここはギャプリエル国王かマンティグス宰相の妾か側室クラスの人がクラスようなところですよ?」
とアサギが教えてくれた。どうやら予測通りここは後宮で間違いがなさそうだ。普通の後宮と同じならここは男子禁制なのでしばらくはあのギャプリエルの手からは逃れることができそうだ。それにしても…
「どうしてここに…ね…」
と顎に手を当てて考えてみる…しかし記憶は模擬戦が終わってナギエが倒れたあたりで途切れており、ここに来るまでの経緯が分からない。
う~んと頭を悩ませていると、2人が世間話を始めた。
「そういえばさ、聞いた?今度の王様の献上品に綺麗な幼体のドラゴンが献上されるそうよ。」
「ドラゴン…ってあの?冒険者がレイド組んでようやくってレベルでしょ?暴れ出したら幼体でも苦労しそうね…」
「でもでも、なんかそのドラゴン、やたら人に慣れているのか噛みつきすらしないんだって。」
「へぇ、それはちょっと興味あるわね。私たちみたいな奉公人にも会わせてくれるかしら?」
「今なら人に慣れさせると言う名目で後宮で公開しているそうよ。」
「あら。じゃあこの後見に行ってみましょうか。もちろんあなたも一緒に行くのよね?」
「もちろん。撫でられるかな?」
と楽しそうに会話いている時に
「あれ?これって…」
と自分の袖口に綺麗な小粒のクリスタルが引っかかっているのに気がついた。
「これって確か…シズの背中にいつもついてるクリスタル…あ、シズ!」
ガタンと音を立てて私は立ち上がった。その様子に驚いたのか、
「ど、どうされたのですか!?」
とアサギが言うが私は気に留めずにツカツカとミクリに歩み寄る。そしてその両肩を掴み、
「私も連れて行ってくれる?というか連れてって!いや、連れて行きなさい!」
と言いながらぐわんぐわんとミクリの肩を前後に揺らしていた。
「わ、わかっ…わかりましたから、今までの非礼もお詫びしますから!そんなに揺らさないでください~!」
と悲鳴をあげるミクリ。
「…お嬢様、そろそろミクリが形容し難いグロッキーなものを口から吐き出す可能性があるので折檻はその辺にしておいてもらえると片付ける側としても楽なのでできればその辺に…」
とアサギが止めに入り、そこで私は、ハッとなりミクリを解放した。ゼェゼェと荒い呼吸をしながらミクリは、
「ず、随分とおてんばに育ちましたね…姉さん、ナイスフォローです…」
と弱々しく親指を立ててグーサインをした。が、お姉さんのアサギはとはというと、
「はい?何を言ってるんですか?私はあなたの心配ではなく、あなたが吐いた後の…床の心配をしてたのですよ?」
とハブもびっくりの毒を吐いた。
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