上 下
56 / 61
本編

 57話 生徒会室

しおりを挟む
その日の放課後……
「じゃあ僕ちょっと行ってくるから。先に帰ってて。」
と言うと僕は教室を出ると、生徒会室へと歩いていった。
「あ、一樹くん。こっちだよ。」
と椿先輩が手招きをする。
「あ、ありがとうございます。」
と言うと僕は生徒会室に入る。
「お、来たか。すまないね、急に呼び出したりして。まぁ、座ってくれ。」
と何処かで見た顔の人を含め椿先輩や一先輩を合わせると合計で7人の先輩が勢揃いしていた。
『(いやどういう状況~!)』
と心の中で盛大なツッコミを入れる。だってだ、一生徒である僕がこの学校の生徒会に囲まれているこんな状況普通はあり得ない。
「は、はい。」
と僕は言われた通りに接客用と思しきソファに座る。すると反対側に先輩方が座った。
「ふむ……最終確認しておくが、この生徒で間違いないな?椿。」
と椿先輩に確認を取っている先輩の顔を見た。
『(ん~、この顔何処かで……)』
と思っていると、
「お久しぶりと言おうか神宮マコト君。いや、今は一樹君だったっけ?」
と件の先輩が話かけてきた。
「え?あ、はい。……よくご存知ですね。」
と僕は驚きながらも返事を返した。この学校内で唯一名前が変わった生徒として“一樹”の名前を知っている2年、3年生の人は少なからずいる。けれど、前の名前である“マコト”の名前を知っている先輩なんてそれこそ椿先輩とチューターの数人ぐらいだ。それにその数人の先輩も顔見知りだ。けれどもこんな先輩は知らない。
「あの……すみませんがどちら様でしょうか?」
と聞いてみると、その先輩は、
「ふむ……まあ最後にあったのは二ヶ月以上前だしここ最近は大変だったらしいし忘れるのも無理はないですね。私、日々樹と言います。」
「日々樹……ああ、あの時の。確か椿先輩を……ムグゥ!?」
「いいい一樹君、これからだいっっっっじな話があるから!ね?静かにしてよ?ね?ね?」
と僕の口を塞ぎ、椿先輩が一気に捲し立てた。
「……他の先輩方は知らないんですか?」
とそれとなく聞いてみると、
「あのあとすぐに降ろしたからね……この場で知っているのは君と私と椿君の3人だけだからね。」
と日々樹先輩が教えてくれた。
「分かりました。じゃあこの話は伏せておきましょうか。」
「そうしてくれ。これが知られたらそれこそ文字通りのバーサーカーが誕生する。そうなっては私でも止められないよ。」
と日々樹先輩はいった。
「そ、その話は後で!塔矢君、早く一樹君呼んだ理由行ってあげないと!」
と椿先輩がアセアセと話を飛ばそうとしている。
『(ヤベェ……今んところ空気だ……)』
と周りの他の生徒会メンバーは思わずには居られなかった。
しおりを挟む

処理中です...