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本編

 42話 反撃の狼煙

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コンコンとノックの音がする。僕は持っていた携帯ゲーム機の電源を落とすと、
「どうぞ。」
と言うと、半袖の服を着た男性が2人入ってきた。
「どうもこんにちは、傷の具合はどうですか?」
と聞いてくる。
「お気遣いありがとうございます。大丈夫です。」
と返すと、
「一応これ見せておくけど、もうわかってるよね?警察の三日月です。隣は同期の砂田です。」
と自己紹介をされた。
「神宮マコトです。」
と僕も自己紹介し返す。
「うん。受け答えもはっきりしてるようだね。よかったよかった。…じゃあ早速話をきかせてもらってもいいかな?」
と早速話を切り出した。
「はい…と言ってもまだあの日の記憶がはっきりしてないところがあるんですよね…」
と正直に言うと、
「まぁしょうがないよ。結構血を流したみたいだし、まだ体にその時の負担が残ってるのかもしれないからね。わかる範囲で教えてくれるかい?」
と優しく言ってくれた。
「すみません…じゃあ話しますね。」
と僕は話しを始めた。
「まず、今回の事の犯人なんですけど多分母さんです。」
「なぜそうわかるんだい?」
と砂田さんがメモをとりながら聞いてくる。
「ここ1、2ヶ月母さんと喧嘩してるんですよ。」
「ふむ…その喧嘩というものがどういったものなのか教えてくれるかい?」
と、三日月さんが聞いてきたので、僕は家から追い出された話から、最近の話までを洗いざらい話した。
話終わると、
「なるほど、舞台背景的にも君のお母さんが犯人の可能性が高いね。他に証拠になるようなことはないかい?」
と聞かれたのだが、僕は頭を振った。
「あの、僕って何で刺されたんですか?」
と聞くと、砂田さんが書いたメモをパラパラとめくると、
「えっと、君の傷の状態からして、おそらく、刃渡りの広い包丁…出刃包丁の類だろうね。」
と教えてくれた。
「その口調からするとまだ凶器は見つかってなさそうですね。」
「そうなんだ。現場にも、現場周辺にもそれらしきものはみつからなかったからね。多分犯人が持ってるんだと思う。」
と三日月さんが教えてくれた。
「そう…ですか…」
と僕は言う。
「すみません、これ以上僕がお話しできそうなことはないです。」
と頭を下げると、
「いやいや。君は情報提供者だし、ましては被害者だから。ゆっくりしてください。快癒を祈っています。」
と言うと2人は席を立つと、足早に部屋から出ていった。僕は足音が遠ざかっていくのを聞きながら僕はベッドに倒れ込む。
「これで…よかったのかなぁ…」
と僕は腕で顔を覆うとそう呟くのだった。
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