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本編
34話 凶刃⑥
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翌日、学校は休みだったため僕は自室で動画の編集をしていた。
「えっと、ここでこの映像を使って…この立ち絵をここで変更してっと…」
と呟きながらノートパソコンのキーボードを叩いていると、扉をノックする音と共に、
「マコトくん、いる?お昼できたよ。」
と優希が呼びに来たので
「わかった。すぐに行く。」
と言うと僕は進捗を保存して扉を開けると、
「みこちゃん!お昼だよ。」
「ちょ、ちょっち待って。後ここだけやったら行くから。」
「もう、それさっきも言ってたよ。ほら、お兄ちゃんも出てきてるから。4人でお昼食べるよ。」
と美琴の部屋から2人の話し声がする。
「はぁ、これじゃあどっちが年上かわからんな…」
と僕は2人に聞こえない程度の声量で呟くと、階段を降りてリビングに行くと、キッチンに真由がいた。
「お、今回は早かったね。…美琴はまた粘ってるの?」
「そうみたい…優希がお母さんみたいなこと言ってたよ。全く、どっちが年上なんだか…あ、この皿持ってくな。」
「ん?、ああ。お願い。」
と2人で話す。しばらくすると、少し疲弊した優希と、美琴がやってきた。
「ごめんごめん、お待たせ。」
と少し申し訳なさそうに言うが、
「もうちょっと早く来ようね。みこちゃん。」
と優希に諭されていた。
「うっ…わかったよ…」
とバツが悪そうにしながら美琴は椅子に座ると、
「今日のお昼はパスタ?」
と真由に聞いていた。
「あっ、話変えて逃げた。」
と言うが美琴はそれを無視した。
「ええ。見ての通りよ。ソースは三つあるから好きなのかけてね。」
と言った。余談だが、真由はソース系の調味料を作るのがめちゃくちゃうまい。ミートソースはひき肉がたっぷりだし、カルボナーラは、しっかりミルクの味がするし、和風ソースも出汁がしっかり聞いていて、醤油の主張が強すぎず、ちょうどいい。なんだかんだで真由もだいぶ料理が上手くなっていた。
「真由ねぇちゃん、料理だいぶ上手くなってない?」
と優希が僕に聞いてきた。僕は和風パスタを口に入れると、
「そうだな。だいぶ上手くなってると思う。」
と言うと、
「えへへ…なんか褒められると嬉しいな…一杯食べてね。」
と真由ははにかみながら言った。
「あ~美味かった。ご馳走様。」
と言い、自室に戻ると僕は動画の編集作業に戻った。カタカタとしばらくの間僕の部屋にはキーボードでタイピングする音が響く。何時間たったのだろうか…日が傾いた頃に
「お、終わった~!」
と言い僕は思いっきり伸びをした。
その時、ピンポーンとチャイムが鳴ったため、僕は
「はーい、今開けまーす。」
と言い扉を開けるとそこには、物凄い形相をした母さんがいた。
「母さんか。何しにk…」
何しに来たんだ?と聞こうとしたその時だった。母さんが一歩こちらに踏み込むと同時に、ドスッという音が僕の左の脇腹の辺りから聞こえた。
「あ…え…?」
と音のした方を恐る恐る見ると、刃渡りが15cmはありそうな出刃包丁が深々と刺さっていた。それを確認した瞬間に僕の体が焼けるように熱くなった。
「なん…で?」
と僕は今にも崩れ落ちそうな体を必死に支えながら聞いた。すると母さんは、
「何でって…決まってるでしょう?親が子供より不幸なんてことはあり得ないのよ。それにねマコト、良いことを教えてあげる。“死は救済”なのよ。」
と言うと、母さんは僕の顔を思いっきり殴る。その衝撃に耐える事ができず、後ろに倒れ玄関の上がり框の段差で後頭部を強く打った。
「ウグッ…」
と変な声が口から漏れる。薄れていく意識の中
「これはあなたが悪いのよ。恨むのなら私をここまで怒らせた自分の愚かさを恨みなさい。」
と言う声と、母さんが走り去る姿を最後に僕の意識は真っ黒な闇に塗りつぶされた。
「えっと、ここでこの映像を使って…この立ち絵をここで変更してっと…」
と呟きながらノートパソコンのキーボードを叩いていると、扉をノックする音と共に、
「マコトくん、いる?お昼できたよ。」
と優希が呼びに来たので
「わかった。すぐに行く。」
と言うと僕は進捗を保存して扉を開けると、
「みこちゃん!お昼だよ。」
「ちょ、ちょっち待って。後ここだけやったら行くから。」
「もう、それさっきも言ってたよ。ほら、お兄ちゃんも出てきてるから。4人でお昼食べるよ。」
と美琴の部屋から2人の話し声がする。
「はぁ、これじゃあどっちが年上かわからんな…」
と僕は2人に聞こえない程度の声量で呟くと、階段を降りてリビングに行くと、キッチンに真由がいた。
「お、今回は早かったね。…美琴はまた粘ってるの?」
「そうみたい…優希がお母さんみたいなこと言ってたよ。全く、どっちが年上なんだか…あ、この皿持ってくな。」
「ん?、ああ。お願い。」
と2人で話す。しばらくすると、少し疲弊した優希と、美琴がやってきた。
「ごめんごめん、お待たせ。」
と少し申し訳なさそうに言うが、
「もうちょっと早く来ようね。みこちゃん。」
と優希に諭されていた。
「うっ…わかったよ…」
とバツが悪そうにしながら美琴は椅子に座ると、
「今日のお昼はパスタ?」
と真由に聞いていた。
「あっ、話変えて逃げた。」
と言うが美琴はそれを無視した。
「ええ。見ての通りよ。ソースは三つあるから好きなのかけてね。」
と言った。余談だが、真由はソース系の調味料を作るのがめちゃくちゃうまい。ミートソースはひき肉がたっぷりだし、カルボナーラは、しっかりミルクの味がするし、和風ソースも出汁がしっかり聞いていて、醤油の主張が強すぎず、ちょうどいい。なんだかんだで真由もだいぶ料理が上手くなっていた。
「真由ねぇちゃん、料理だいぶ上手くなってない?」
と優希が僕に聞いてきた。僕は和風パスタを口に入れると、
「そうだな。だいぶ上手くなってると思う。」
と言うと、
「えへへ…なんか褒められると嬉しいな…一杯食べてね。」
と真由ははにかみながら言った。
「あ~美味かった。ご馳走様。」
と言い、自室に戻ると僕は動画の編集作業に戻った。カタカタとしばらくの間僕の部屋にはキーボードでタイピングする音が響く。何時間たったのだろうか…日が傾いた頃に
「お、終わった~!」
と言い僕は思いっきり伸びをした。
その時、ピンポーンとチャイムが鳴ったため、僕は
「はーい、今開けまーす。」
と言い扉を開けるとそこには、物凄い形相をした母さんがいた。
「母さんか。何しにk…」
何しに来たんだ?と聞こうとしたその時だった。母さんが一歩こちらに踏み込むと同時に、ドスッという音が僕の左の脇腹の辺りから聞こえた。
「あ…え…?」
と音のした方を恐る恐る見ると、刃渡りが15cmはありそうな出刃包丁が深々と刺さっていた。それを確認した瞬間に僕の体が焼けるように熱くなった。
「なん…で?」
と僕は今にも崩れ落ちそうな体を必死に支えながら聞いた。すると母さんは、
「何でって…決まってるでしょう?親が子供より不幸なんてことはあり得ないのよ。それにねマコト、良いことを教えてあげる。“死は救済”なのよ。」
と言うと、母さんは僕の顔を思いっきり殴る。その衝撃に耐える事ができず、後ろに倒れ玄関の上がり框の段差で後頭部を強く打った。
「ウグッ…」
と変な声が口から漏れる。薄れていく意識の中
「これはあなたが悪いのよ。恨むのなら私をここまで怒らせた自分の愚かさを恨みなさい。」
と言う声と、母さんが走り去る姿を最後に僕の意識は真っ黒な闇に塗りつぶされた。
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