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本編

 21話 精神の崩れる音④

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「これは観念した方がいいんじゃない?」
と美琴はうつ手無しと言ったふうに言った。
「そうだな。確かにこれ以上隠し通すわけにもいかないか。」
と言い、僕はそのことを話した。
「僕と美琴は所謂“動画配信者”と呼ばれる人種だ。だから正直な話、そこらのタメよりかは“あれ”を持っているんだ。どれほど稼いでいるかは母さんには話したことはない。でも、とりあえず、高校生が1人2食毎日余裕で食えるぐらいのものだと言うことは母さんも知っていると思う。」
と言った。
「なるほどね。だからお母さんはあなたにもたかりみたいな真似をしようとしているわけか…」
と真由は言った。
「ちなみに聞くけど具体的にどれぐらい稼いでるの?」
と優希が聞いてきた。率直でドストレートな質問に苦笑いしながら左手で1本指を、右手で五本指を立てた。
「えと、1万五千円ぐらい?」
「いや違う…」
「…まさかとは思うけどそれって“半年で~”とかよね?」
と恐る恐るといった風に真由が聞いてくる。その質問に対して僕は
「いや一月。」
と短く答えた。
「「………。」」
と2人は黙ってしまった。
「まあ高校生で1人でここまで稼いでるって聞くとやっぱり驚くよな。」
と言いつつ僕は1人席を立った。携帯端末には配達員の人が近くにきていると通知が来ていた。とりあえず、電子決済アプリを立ち上げて、残高を確認し、2万円ほど追加でチャージしておく。そして玄関に向かう。玄関にいてしばらくすると、チャイムが鳴り
「ちわ~っす。寿司屋楼です。ご注文の品をお届けに参りました。」
と聞こえたので僕はドアを開け、電子決済をして注文していた寿司を受け取りドアを閉め、しっかりと施錠するとリビングに戻った。
「すまんな。もう8時過ぎたけど晩御飯。ひとりひとつ取ってくれ。」
と言い僕は手に持っていたビニール袋をみんなが座っている食卓の前に置いた。
「いいの?」
と真由は聞いてきた。
「まあ今日の晩御飯の当番僕だし。みんなはもうお風呂入ってるし、まあたまの贅沢と思ってささ、どうぞ どうぞ。」
と言い僕はリビングから一旦離れた。
「マコトくん、どこいくの?食べないの?」
と美琴に言われる。それに対し僕は
「いや、ちょっとシャワーだけ浴びてくる。」
と言い。僕は風呂場へと向かった。

シャワーを浴びながら僕は色々と考えていた。もし僕ではなく、美琴とか真由とか優希に…周りの人間に母さんが万が一やらかした場合とか
「…最悪の事態を想定した準備は必要だな…」
と言うとシャワーを止めて僕は脱衣所へと戻り、タオルで体の水分を拭うと寝巻きに着替えて、リビングに戻った。
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