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希望
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永遠に続く孤独にワルドは疲れ果て、いつしか死を望むようになる。しかし、このエネルギーに満ちた世界では、死すら許されなかった。
「僕は永遠に……死ぬことすらできず、一人でこの無の世界をさまようのか……」
絶望のあまり無気力になっていくワルドに、何者かがささやきかけてきた。
「そんなに死にたいか?」
「誰だ!」
ワルドが顔を上げたとき、目の前には死神の仮面をかぶった少年の姿が浮かんでいた。
彼も自分と同じ精神体のようで、半透明の姿でゆらゆらと目の前を漂っている。
「誰だって………ご挨拶だな、お前が喚びだすから、わざわざ来てやったのに」
死神の恰好をした少年は、邪悪に笑った。
「僕がお前を喚びだした?」
「そうだ。お前の消滅を望む心が、俺をここに招いた。お前がどれだけあがこうが、ムシケラの一匹すら創り出すこともできない。所詮はお前はただの人間なのさ」
少年はワルドを嘲笑うと、手を振りかざす。その手に、鎌のようなものが現れた。
「俺の死神の鎌でお前の今までの「記憶」を切り刻んで消去すれば、自我が保てなくなり、無限の闇と同化して無となるだろう。お前が永遠の孤独から逃れるには、そうするしかない」
周囲の空間に、今までに何億回も思い出した「記憶」が浮かびあがる。
両親やディミウス、フラン、ローズなどの親しい者たちの顔を見て、ワルドはそれらの記憶を消すことに恐怖した。
ディミウスの言った「どんなことがあっても、僕たちのことを忘れないでくれ。どんなに絶望したとしても、きっとそのあとに希望は来る」といった言葉が思い出される。
しかし、一億年にも及ぶ孤独は、ワルドの心を消滅を望むほど疲れさせていた。
「いいだろう。僕の記憶を消してくれ」
それを聞いた死神の少年は、ニヤリと笑って死神の鎌を振りかざす。
そのとき、ワルドの視界の隅で何かが動いた。
「な、何だ?」
動くものなど、この世界には幽霊状態の自分以外にあるはずがない。
驚いたワルドは、死神の鎌をはねのけ、その物体を追いかけた。
「!!!????」
上空から観察すると、その動く物体は、鋭い角と爪をもつ黒い肌の虫のような生き物だった。
ワルドに追いつかれて、おびえた様に動きを止める。
その原始的な思考が、彼に伝わってきた。
「……神よ……おゆるしを……」
人間の言葉に翻訳すると、このような意味の考えが伝わってくる。ワルドをひどく恐れ、同時に敬っているかのようだった。
「神?僕が?」
虫から神呼ばわりされて、ワルドは首をかしげる。
「ワレら……ながいナカい時……神のチニクによって生かされてきた者……」
その生物の持っているイメージが伝わってくる。ワルドは、彼らの正体を知った。
「お前たちは……僕の顔に生息していた、小さなダニのなれの果てなのか?」
彼らの意外な正体を知って、ワルドは心底驚く。
あまり知られていないが、人間の顔には数百万匹のダニが生息していて、彼らは顔から出る脂肪を食べて生きている。
人間の顔という一つ世界の中で生まれ、育ち、繁殖し、死んでいく生物なのだった。
彼らにとって、人間とは文字通り神にも等しい存在である。
「神が大きくなるにしたがって……我らも変化した。血肉を食べ、チカラを吸っている」
どうやらワルドが変化していくに従い、彼らも進化してしまったらしい。
元のサイズから数千倍にも巨大化し、モノを考えることもできるようになっていた。
「神よ……ワレワレは神と違ってミニクイ。イキテいてもよいのだろうか?」
ワルドと思考を交わすことにより、彼らは自らが醜い生物だと認識してしまった。
このまま存在しつづけてもよいものかと、彼に問うてくる。
しばらく考えた後、ワルドはゆっくりと苦笑した。
「……いいさ。好きにしろよ。一寸の虫にも五分の魂だ」
存在を許されて、ダニたちが歓声を上げる。
「ワレラガ神よ……」
「わかったから、こっちくんな!」
ワルドの周りに群がってこようとするので、空に浮きあがって逃げ出す。
「ふふふふ……あはははは……僕が神か!!!面白い!!あはははははっ!」
ワルドの心が、一億年ぶりに「喜び」に満ちあふれる。心の高揚のままに、精神体で世界中を飛び回った。
よく気を付けてみると、世界中のあらゆる場所に、ワルドの本体内部から虫たちが這い出してきている。
彼らはワルドの体内で仮死状態であったのが、一つの惑星として生物が生きられる環境が整ったことにより息を吹き返し、活動を始めていたのである。
ワルドの体についていた花粉からは植物が、髪に寄生していたシラミからは白い動物が生まれ、繁殖を開始している。
「あははははは!僕は一人じゃない。一人じゃないんだ!」
喜びに震えるワルドを見て、死神の少年が舌打ちをしている。
「チッ。生きる希望を取り戻したか。しかし、俺は諦めないぜ。すべての存在は、安らかな死を迎えて消滅していくのが自然の摂理なんだ」
そうつぶやくと、死神の姿は消えていった。
ワルドの本体の体表は、さまざまな形をした生物であふれかえっていた。
丸い粒が連なっている物体が蛇のようにのたくっている。
様々な節や触手がついた生物が、互いに食い合ったり争っていたりする。
まさに生物のカオスといった様子だった。
「これは……きもい」
上空からその様子を眺めていたワルドは、ちょっと吐き気を覚えてしまう。
これらはすべて、彼の体内に存在していた微生物や細菌から進化したものだった。
「……でも。何もないよりはマシだな」
いずれも気持ち悪い形をした生物だったが、彼らは確かに精一杯生きていた。
「これほどの数の生物が、自分の体内に生息していたなんてな」
呼吸と共に体内に取り込んでいた、各種の微細生物。植物の胞子。
胃や腸に生息する、数百万種類の細菌たち。
彼らは人間の体内という安全地帯に生きていたので、闇という何もない世界に放り出されても、しぶとく生きていた。
そして、ワルドが自らの体をベースに世界を創造し、環境を整備したおかげで、いっせいに地表-彼の体表面に出ようとしていた。
「面白い……僕は、最初から一つの生態系を内包していたのか…」
ワルドは彼らを受け入れ、積極的に彼らに進化を促す環境を作り出していた。
「僕は永遠に……死ぬことすらできず、一人でこの無の世界をさまようのか……」
絶望のあまり無気力になっていくワルドに、何者かがささやきかけてきた。
「そんなに死にたいか?」
「誰だ!」
ワルドが顔を上げたとき、目の前には死神の仮面をかぶった少年の姿が浮かんでいた。
彼も自分と同じ精神体のようで、半透明の姿でゆらゆらと目の前を漂っている。
「誰だって………ご挨拶だな、お前が喚びだすから、わざわざ来てやったのに」
死神の恰好をした少年は、邪悪に笑った。
「僕がお前を喚びだした?」
「そうだ。お前の消滅を望む心が、俺をここに招いた。お前がどれだけあがこうが、ムシケラの一匹すら創り出すこともできない。所詮はお前はただの人間なのさ」
少年はワルドを嘲笑うと、手を振りかざす。その手に、鎌のようなものが現れた。
「俺の死神の鎌でお前の今までの「記憶」を切り刻んで消去すれば、自我が保てなくなり、無限の闇と同化して無となるだろう。お前が永遠の孤独から逃れるには、そうするしかない」
周囲の空間に、今までに何億回も思い出した「記憶」が浮かびあがる。
両親やディミウス、フラン、ローズなどの親しい者たちの顔を見て、ワルドはそれらの記憶を消すことに恐怖した。
ディミウスの言った「どんなことがあっても、僕たちのことを忘れないでくれ。どんなに絶望したとしても、きっとそのあとに希望は来る」といった言葉が思い出される。
しかし、一億年にも及ぶ孤独は、ワルドの心を消滅を望むほど疲れさせていた。
「いいだろう。僕の記憶を消してくれ」
それを聞いた死神の少年は、ニヤリと笑って死神の鎌を振りかざす。
そのとき、ワルドの視界の隅で何かが動いた。
「な、何だ?」
動くものなど、この世界には幽霊状態の自分以外にあるはずがない。
驚いたワルドは、死神の鎌をはねのけ、その物体を追いかけた。
「!!!????」
上空から観察すると、その動く物体は、鋭い角と爪をもつ黒い肌の虫のような生き物だった。
ワルドに追いつかれて、おびえた様に動きを止める。
その原始的な思考が、彼に伝わってきた。
「……神よ……おゆるしを……」
人間の言葉に翻訳すると、このような意味の考えが伝わってくる。ワルドをひどく恐れ、同時に敬っているかのようだった。
「神?僕が?」
虫から神呼ばわりされて、ワルドは首をかしげる。
「ワレら……ながいナカい時……神のチニクによって生かされてきた者……」
その生物の持っているイメージが伝わってくる。ワルドは、彼らの正体を知った。
「お前たちは……僕の顔に生息していた、小さなダニのなれの果てなのか?」
彼らの意外な正体を知って、ワルドは心底驚く。
あまり知られていないが、人間の顔には数百万匹のダニが生息していて、彼らは顔から出る脂肪を食べて生きている。
人間の顔という一つ世界の中で生まれ、育ち、繁殖し、死んでいく生物なのだった。
彼らにとって、人間とは文字通り神にも等しい存在である。
「神が大きくなるにしたがって……我らも変化した。血肉を食べ、チカラを吸っている」
どうやらワルドが変化していくに従い、彼らも進化してしまったらしい。
元のサイズから数千倍にも巨大化し、モノを考えることもできるようになっていた。
「神よ……ワレワレは神と違ってミニクイ。イキテいてもよいのだろうか?」
ワルドと思考を交わすことにより、彼らは自らが醜い生物だと認識してしまった。
このまま存在しつづけてもよいものかと、彼に問うてくる。
しばらく考えた後、ワルドはゆっくりと苦笑した。
「……いいさ。好きにしろよ。一寸の虫にも五分の魂だ」
存在を許されて、ダニたちが歓声を上げる。
「ワレラガ神よ……」
「わかったから、こっちくんな!」
ワルドの周りに群がってこようとするので、空に浮きあがって逃げ出す。
「ふふふふ……あはははは……僕が神か!!!面白い!!あはははははっ!」
ワルドの心が、一億年ぶりに「喜び」に満ちあふれる。心の高揚のままに、精神体で世界中を飛び回った。
よく気を付けてみると、世界中のあらゆる場所に、ワルドの本体内部から虫たちが這い出してきている。
彼らはワルドの体内で仮死状態であったのが、一つの惑星として生物が生きられる環境が整ったことにより息を吹き返し、活動を始めていたのである。
ワルドの体についていた花粉からは植物が、髪に寄生していたシラミからは白い動物が生まれ、繁殖を開始している。
「あははははは!僕は一人じゃない。一人じゃないんだ!」
喜びに震えるワルドを見て、死神の少年が舌打ちをしている。
「チッ。生きる希望を取り戻したか。しかし、俺は諦めないぜ。すべての存在は、安らかな死を迎えて消滅していくのが自然の摂理なんだ」
そうつぶやくと、死神の姿は消えていった。
ワルドの本体の体表は、さまざまな形をした生物であふれかえっていた。
丸い粒が連なっている物体が蛇のようにのたくっている。
様々な節や触手がついた生物が、互いに食い合ったり争っていたりする。
まさに生物のカオスといった様子だった。
「これは……きもい」
上空からその様子を眺めていたワルドは、ちょっと吐き気を覚えてしまう。
これらはすべて、彼の体内に存在していた微生物や細菌から進化したものだった。
「……でも。何もないよりはマシだな」
いずれも気持ち悪い形をした生物だったが、彼らは確かに精一杯生きていた。
「これほどの数の生物が、自分の体内に生息していたなんてな」
呼吸と共に体内に取り込んでいた、各種の微細生物。植物の胞子。
胃や腸に生息する、数百万種類の細菌たち。
彼らは人間の体内という安全地帯に生きていたので、闇という何もない世界に放り出されても、しぶとく生きていた。
そして、ワルドが自らの体をベースに世界を創造し、環境を整備したおかげで、いっせいに地表-彼の体表面に出ようとしていた。
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