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03 ぽめ太は新米3
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「家族は娘だけなんだが、関係は良好で娘にはアリバイもあった。被害者と使用人の間にもトラブルはないし、使用人にもアリバイがあったんだ」
この世界には魔石を使った便利な生活魔道具はあるけど、人は魔法が使えない。
だから、魔法で簡単に殺すなんて出来ないんだろうし、簡単に犯人を探し当てるのも難しいんだろう。
「どうやって殺されたの?」
「毒殺されたんだ。娘が使用人達と出かけていて、帰ってきたら父親が亡くなっていたので通報したそうだ」
亡くなった篤志家には自殺する動機もなく、事故も考えられないという。
「うーん。遺産を受け継ぐのって娘だけ?」
「そうだね」
「富豪が死んで得するのは誰かって考えたら……娘じゃないかなあ?」
「動機だね。でも、娘は仲が良かったし、第一、アリバイがあったんだよ?」
「アリバイってどんな?」
「被害者が亡くなったとき外出していたんだよ。娘が使用人達を慰労にってお芝居に連れて行ったそうだよ」
ん? それだけ?
リロイ様からはそれ以上の言葉はない。
その場にいなくても殺せる方法はあるよね?
それだと使用人にもアリバイはなくなるけど、娘がアリバイ作りをしてるようで怪しくない?
「毒物ってどんな毒なの? 遅効性の毒物もあるよね?」
「遅効性?」
「そう。飲んでから何時間で効くとか。前もって飲ませてから外出すれば……痛っ」
リロイ様が急に立ち上がるから、顔に股間が当たって、尻もちをついてしまった。
ごめんごめんって、俺を起こして、リロイ様はそのまま部屋を出ていく。
「リロイ様! 前、前! 出しっぱなしですよ!」
行っちゃった。
まだ、あと一時間あるんだけど。
「おい! お前、何したんだ!」
オーナーが飛び込んできたけど、俺は首を傾げるしか出来なかった。
それから、何日かが過ぎた。リロイ様は来ない。
俺はイシュレイとヨーランと一緒に風呂に入っていた。イシュレイ、また縄目付けてる。
「ねぇ、アイスウッド伯爵が殺された事件、犯人、捕まったんだってね!」
「おう、実の娘が犯人だったんだろ? 仲良かったらしいのにビックリだよな!」
「恋人との結婚を反対されて勘当されたからって新聞に書いてあったよ」
「何の話?」
3人で並んで湯船に浸かる。
気持ちがいいのに、何故か二人は物騒な話をしてる。
「えっ、ぽめ太知らないの? 大騒ぎになってたのに」
「新聞読まねぇのかよ」
「この国の文字、読めない」
会話は出来るのに、字は読めないんだよね。翻訳されないっていうか。
「あ、そっか。すらすら話せてるから」
「外国人だもんなぁ」
俺は、店の連中には出稼ぎの外国人ってことになっている。渡り人と知られるよりいいんだそうだ。
渡り人って本当なら届けが必要らしいけど、俺は届けていない。
多分その辺りも関係してるんだろう。
陰間達って、意外と教育を受けている。
お客様の相手をするのに深い教養と巧みな話術のために必須なんだって。
この店、実は高級娼館でお偉いさんがお忍びで来たりするらしいし。
俺達の待遇もいいし、お店の子達のレベルも高い。
ホント、俺、場違い極まりない。
なんでも、偉い伯爵様が毒殺されて、捜査は難航してたけど、犯人は娘だったって……あれ?
最近、どっかで聞いたような?
まさかね。
「おーい、ぽめ太! ご指名入ったぞ。準備しとけよ」
風呂から上がると声がかかった。
「リロイ様だ」
え! 良かった!
粗相して、ご贔屓さん失くしたかと思ってたんだ!
使わないけど、今日は念入りに穴も磨いておこうかな。
この世界には魔石を使った便利な生活魔道具はあるけど、人は魔法が使えない。
だから、魔法で簡単に殺すなんて出来ないんだろうし、簡単に犯人を探し当てるのも難しいんだろう。
「どうやって殺されたの?」
「毒殺されたんだ。娘が使用人達と出かけていて、帰ってきたら父親が亡くなっていたので通報したそうだ」
亡くなった篤志家には自殺する動機もなく、事故も考えられないという。
「うーん。遺産を受け継ぐのって娘だけ?」
「そうだね」
「富豪が死んで得するのは誰かって考えたら……娘じゃないかなあ?」
「動機だね。でも、娘は仲が良かったし、第一、アリバイがあったんだよ?」
「アリバイってどんな?」
「被害者が亡くなったとき外出していたんだよ。娘が使用人達を慰労にってお芝居に連れて行ったそうだよ」
ん? それだけ?
リロイ様からはそれ以上の言葉はない。
その場にいなくても殺せる方法はあるよね?
それだと使用人にもアリバイはなくなるけど、娘がアリバイ作りをしてるようで怪しくない?
「毒物ってどんな毒なの? 遅効性の毒物もあるよね?」
「遅効性?」
「そう。飲んでから何時間で効くとか。前もって飲ませてから外出すれば……痛っ」
リロイ様が急に立ち上がるから、顔に股間が当たって、尻もちをついてしまった。
ごめんごめんって、俺を起こして、リロイ様はそのまま部屋を出ていく。
「リロイ様! 前、前! 出しっぱなしですよ!」
行っちゃった。
まだ、あと一時間あるんだけど。
「おい! お前、何したんだ!」
オーナーが飛び込んできたけど、俺は首を傾げるしか出来なかった。
それから、何日かが過ぎた。リロイ様は来ない。
俺はイシュレイとヨーランと一緒に風呂に入っていた。イシュレイ、また縄目付けてる。
「ねぇ、アイスウッド伯爵が殺された事件、犯人、捕まったんだってね!」
「おう、実の娘が犯人だったんだろ? 仲良かったらしいのにビックリだよな!」
「恋人との結婚を反対されて勘当されたからって新聞に書いてあったよ」
「何の話?」
3人で並んで湯船に浸かる。
気持ちがいいのに、何故か二人は物騒な話をしてる。
「えっ、ぽめ太知らないの? 大騒ぎになってたのに」
「新聞読まねぇのかよ」
「この国の文字、読めない」
会話は出来るのに、字は読めないんだよね。翻訳されないっていうか。
「あ、そっか。すらすら話せてるから」
「外国人だもんなぁ」
俺は、店の連中には出稼ぎの外国人ってことになっている。渡り人と知られるよりいいんだそうだ。
渡り人って本当なら届けが必要らしいけど、俺は届けていない。
多分その辺りも関係してるんだろう。
陰間達って、意外と教育を受けている。
お客様の相手をするのに深い教養と巧みな話術のために必須なんだって。
この店、実は高級娼館でお偉いさんがお忍びで来たりするらしいし。
俺達の待遇もいいし、お店の子達のレベルも高い。
ホント、俺、場違い極まりない。
なんでも、偉い伯爵様が毒殺されて、捜査は難航してたけど、犯人は娘だったって……あれ?
最近、どっかで聞いたような?
まさかね。
「おーい、ぽめ太! ご指名入ったぞ。準備しとけよ」
風呂から上がると声がかかった。
「リロイ様だ」
え! 良かった!
粗相して、ご贔屓さん失くしたかと思ってたんだ!
使わないけど、今日は念入りに穴も磨いておこうかな。
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