上 下
5 / 38

05 仕込みって言ったって ※

しおりを挟む
 今回は、かろうじて玄関先までお見送りすることが出来た。
 お金払いはきれいな方だから、これでオーナーに怒られないことを祈ろう。

 下げていた頭を上げると、入れ違いに誰かが入ってきたのが見えた。

 あ。

「高藤様」

 慌てて、もう一度頭を下げる。イシュレイのご贔屓さんだ。

 この方、黒髪黒目なんだよね。名前も、「高藤たかとう」だし。
 でも、顔は日本人離れした正統派美形ですらっと背も高い。渡り人じゃないのかな?

「ぽめ太は見送りか」
「これから、イシュレイのところですか?」
「いや、あの子もなかなか指名が取れなくなってきたからね」

 イシュレイは、最近売れっ子の仲間入りを果たした。可愛いし努力家だし、素直で良い子だから当然だと思ってる。
 そろそろ部屋付きになりそうかな?

 部屋付きっていうのは、自分の住まいと仕事部屋の二間を与えられた兄さん達のことを指す。
 人気があって稼ぎがいい上位の兄さん達には部屋が与えられるんだ。
 俺達下っ端陰間は、雑魚寝部屋で何人かと寝泊まりしていて、仕事のときはお客さんが通された部屋へ行く。

 これって、江戸時代の遊郭のシステムみたいなんだよね。
 陰間茶屋って本当はお客様がご指定した料亭へ出張するらしいんだけど、ここのは遊郭と陰間茶屋がごっちゃになってるようだ。
 まぁ異世界だから、何でもありだな。


「なんだか嬉しそうだな、ぽめ太」
「そりゃあ、イシュレイのことですから」

 イシュレイを褒められてほくほくしていた俺の顔を見て、高藤様がおかしそうに笑う。

「んー、空いてる子なら誰でもいいかと思ったんだけど、ぽめ太にしようかな」
「は?!」

 やべ、つい、声が。
 そして、売れっ子じゃない俺の予定は空いている!
 今日は、緊縛かぁぁ。

「申し訳ないのですが、高藤様。この子は粗相をいたしまして、これから説教しなければなりません」

 げ。
 オーナー?! なんで、ここに!
 ちらっと奥を見たら、俺の世話役の金剛まわしハザナさんが小さくなってた。ハザナさんから状況を聞いたんだろう。

「そう? 残念」

 さほど残念でもなさそうに、高藤様は別の子の物色を始める。
 もっと、もっと俺を押してください!

 オーナーはにこやかな笑顔だったけど、がっしり掴んだ指は俺の肩に食い込んでた。



「あっ、やっ、オーナー、やだそこ」

 肉がぶつかる音がするたび、俺の尻とオーナーの腰骨がぶつかる。
 穴はすっかり何の液だか分からないものでぐしょぐしょだった。

 オーナーの大っきいペニスが、俺の前立腺を抉ってゆっくりと引き抜かれ、そしてまた一気に貫かれる。

 俺は膝立ちでよつん這いになって、後ろからオーナーに掘られてる。
 俺の両手を掴んで後ろに引っ張ってるから、逃げられない。

「お仕置きだろ、気持ちよくなってどうする」
「やっ、だ、出したいッ、もぉ解いてぇ」
「泣いても駄目だ、ほら、腰使ってみろ」

 俺のペニスは根本できつく紐が巻かれ、射精出来ないようにされている。

「アッ、や、乳首触らないでッ」

 俺が強く体を捻じったせいか、オーナーの手が離れて、俺はベッドに突っ伏した。
 
「あっ!」

 体が潰れても、腰を掴んで引き寄せ、上からガツガツと奥を突かれる。
 オーナーのシーツなのに、開けっぱなしの口から垂れる涎でべったりだ。

「ふぁっ、ぁ、んぅ」
「色気ねぇなぁ。そんなんじゃ客も萎えるぞ」

 あんた、萎えてないじゃん!
 オーナーが、ずるりと射精してないペニスを俺の穴から抜き取った。

「中に、出さないの?」

 オーナーがにやっと男臭く笑って、俺の顎を持ち上げたかと思うと、口の中にでっかいソレを捩じ込む。
 教えられたように、射精を促すように舌を使って吸い立てる。

 俺の頭を掴んで、顔を離されたと思ったら、オーナーの精液が顔にかけられた。
 目に入った。

「目ぇ痛いっ!」
「ん? 入ったか? 悪い悪い」

 入ったか、じゃないよ!
 乱暴に目を擦らないで! ほんっといい加減なんだから!

 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子様のご帰還です

小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。 平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。 そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。 何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!? 異世界転移 王子×王子・・・? こちらは個人サイトからの再録になります。 十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。

溺愛

papiko
BL
長い間、地下に名目上の幽閉、実際は監禁されていたルートベルト。今年で20年目になる檻の中での生活。――――――――ついに動き出す。 ※やってないです。 ※オメガバースではないです。 【リクエストがあれば執筆します。】

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

好きな人の婚約者を探しています

迷路を跳ぶ狐
BL
一族から捨てられた、常にネガティブな俺は、狼の王子に拾われた時から、王子に恋をしていた。絶対に叶うはずないし、手を出すつもりもない。完全に諦めていたのに……。口下手乱暴王子×超マイナス思考吸血鬼 *全12話+後日談1話

神獣の僕、ついに人化できることがバレました。

猫いちご
BL
神獣フェンリルのハクです! 片思いの皇子に人化できるとバレました! 突然思いついた作品なので軽い気持ちで読んでくださると幸いです。 好評だった場合、番外編やエロエロを書こうかなと考えています! 本編二話完結。以降番外編。

絶滅危惧種の俺様王子に婚約を突きつけられた小物ですが

古森きり
BL
前世、腐男子サラリーマンである俺、ホノカ・ルトソーは”女は王族だけ”という特殊な異世界『ゼブンス・デェ・フェ』に転生した。 女と結婚し、女と子どもを残せるのは伯爵家以上の男だけ。 平民と伯爵家以下の男は、同家格の男と結婚してうなじを噛まれた側が子宮を体内で生成して子どもを産むように進化する。 そんな常識を聞いた時は「は?」と宇宙猫になった。 いや、だって、そんなことある? あぶれたモブの運命が過酷すぎん? ――言いたいことはたくさんあるが、どうせモブなので流れに身を任せようと思っていたところ王女殿下の誕生日お披露目パーティーで第二王子エルン殿下にキスされてしまい――! BLoveさん、カクヨム、アルファポリス、小説家になろうに掲載。

処女姫Ωと帝の初夜

切羽未依
BL
αの皇子を産むため、男なのに姫として後宮に入れられたΩのぼく。  七年も経っても、未だに帝に番われず、未通(おとめ=処女)のままだった。  幼なじみでもある帝と仲は良かったが、Ωとして求められないことに、ぼくは不安と悲しみを抱えていた・・・  『紫式部~実は、歴史上の人物がΩだった件』の紫式部の就職先・藤原彰子も実はΩで、男の子だった!?というオメガバースな歴史ファンタジー。  歴史や古文が苦手でも、だいじょうぶ。ふりがな満載・カッコ書きの説明大量。  フツーの日本語で書いています。

【完結】攻略は余所でやってくれ!

オレンジペコ
BL
※4/18『断罪劇は突然に』でこのシリーズを終わらせて頂こうと思います(´∀`*) 遊びに来てくださった皆様、本当に有難うございました♪ 俺の名前は有村 康太(ありむら こうた)。 あり得ないことに死んだら10年前に亡くなったはずの父さんの親友と再会? え?これでやっと転生できるって? どういうこと? 死神さん、100人集まってから転生させるって手抜きですか? え?まさかのものぐさ? まあチマチマやるより一気にやった方が確かにスカッとはするよね? でも10年だよ?サボりすぎじゃね? 父さんの親友は享年25才。 15で死んだ俺からしたら年上ではあるんだけど…好みドンピシャでした! 小1の時遊んでもらった記憶もあるんだけど、性格もいい人なんだよね。 お互い死んじゃったのは残念だけど、転生先が一緒ならいいな────なんて思ってたらきましたよ! 転生後、赤ちゃんからスタートしてすくすく成長したら彼は騎士団長の息子、俺は公爵家の息子として再会! やった~!今度も好みドンピシャ! え?俺が悪役令息? 妹と一緒に悪役として仕事しろ? そんなの知らねーよ! 俺は俺で騎士団長の息子攻略で忙しいんだよ! ヒロインさんよ。攻略は余所でやってくれ! これは美味しいお菓子を手に好きな人にアタックする、そんな俺の話。

処理中です...