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本編
第6話_鮮彩なる金色の瞳-2
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攻撃姿勢へ変えた陽は、高速で[侵略者]へ接近していく。
風の防御壁は、動きに合わせて回転と速度を増し、寄り添うように彼を包む。
「らあああぁぁっ!!」
真正面から現れた新手に至近距離でようやく気付いた[霆蛇]は、何も行動が取れないまま光のセイバーの攻撃を受け止めた。
「!! むぐぉっ…」
渾身の力でもって穿たれた『閃光』は、[霆蛇]の上唇へ蒼矢の身体とほぼ水平に埋まっていく。速度と体重の乗った一撃は刀身根元まで入り、耳が切り刻まれるような咆哮と共に[霆蛇]の口が開いた。
サルファーは『閃光』を置き去りにして、アズライトを一気に引き抜く。ずるりと抜け出た身体を防御壁へ回収し、装具がかき消える前にはきびすを変え、光の速さで沈んできた道を引き返す。
「……っ!!」
無呼吸で一連の回収劇をやりきったサルファーは、震える眼でちらりと[侵略者]を振り返った。
[霆蛇]は追ってくる素振りは無く、傷ついた上唇を舌で舐め、憮然とした顔貌でこちらを睨みあげていた。
サルファーの周囲を[異形の水]が躍り、妨害を試みてくるが、葉月の壁はものともせず、セイバーたちを浮上させる。
[侵略者]の眼力に息を飲んだサルファーは即視線を外し、アズライトの身体を支えながら地上を目指す。
エピドートの元へ帰り着くまで、サルファーは目を閉じたまま動かないアズライトへ、必死に声を掛け続けた。
「アズライトっ…蒼兄っ、…蒼兄しっかりしろ…!!」
「……」
その場から動かず、離脱していくセイバーたちの後ろ姿を目で追うのみにとどまった[霆蛇]は、無言のままその姿を水中へ溶かしていく。
[霆蛇]の黒い巨体が、徐々に青の中に薄れて消えていく。
「…。」
消え入る直前、その唇が嫌らしく、口角を上げた。
「サルファー!! …アズライト!!」
やがて地上へ帰還してきたサルファーと、その腕に抱えられるアズライトを見、周囲を警戒していたエピドートが駆けつけてくる。
「…よく…無事で…っ…!」
「…辛くも成功!!」
興奮冷めやらぬ緊迫した表情の中からにやりと笑ってみせ、サルファーはアズライトを差し出した。
手渡したタイミングで、『転異空間』がその役目を終え、辺りが現実世界へと溶けて消え始める。[異界のもの]が空間を退去していったことを察し、エピドートは辺りへ視線をやった。
「! 退いたのか…」
「エピドート、消えちまう前に診てくれ!!」
「!? っあぁ、そうだね」
サルファーの言動に少し目を見張るエピドートだったが、ひとまずそれは置いておくとして、アズライトの身体を調べる。
意識が無く、ずぶ濡れになってはいるものの、呼吸と脈ははっきりしていて、外傷も見当たらなかった。
「…ここで出来ることは無さそうだ。あとは戻って…意識が戻ったら、何か影響が残ってないか見てみるしかない」
「そっか…」
そう返し、安堵と悔しさの入り混じったような表情でうつむくサルファーを見、エピドートは感極まりそうになる己をしまい、ひとつ息をつき、その頭に優しく手を置いた。
「よくやった。…ひとりで本当によくやってくれた。ありがとう」
「…っ!」
見上げる澄んだ金色の眼は、エピドートの柔らかな微笑みを受け、少しずつ滲んでいく。
「大変な思いをさせてすまなかった。…もう君は、一人前だよ」
「……」
サルファーは無言でエピドートの胸へ頭を押し付け、肩を震わせた。
風の防御壁は、動きに合わせて回転と速度を増し、寄り添うように彼を包む。
「らあああぁぁっ!!」
真正面から現れた新手に至近距離でようやく気付いた[霆蛇]は、何も行動が取れないまま光のセイバーの攻撃を受け止めた。
「!! むぐぉっ…」
渾身の力でもって穿たれた『閃光』は、[霆蛇]の上唇へ蒼矢の身体とほぼ水平に埋まっていく。速度と体重の乗った一撃は刀身根元まで入り、耳が切り刻まれるような咆哮と共に[霆蛇]の口が開いた。
サルファーは『閃光』を置き去りにして、アズライトを一気に引き抜く。ずるりと抜け出た身体を防御壁へ回収し、装具がかき消える前にはきびすを変え、光の速さで沈んできた道を引き返す。
「……っ!!」
無呼吸で一連の回収劇をやりきったサルファーは、震える眼でちらりと[侵略者]を振り返った。
[霆蛇]は追ってくる素振りは無く、傷ついた上唇を舌で舐め、憮然とした顔貌でこちらを睨みあげていた。
サルファーの周囲を[異形の水]が躍り、妨害を試みてくるが、葉月の壁はものともせず、セイバーたちを浮上させる。
[侵略者]の眼力に息を飲んだサルファーは即視線を外し、アズライトの身体を支えながら地上を目指す。
エピドートの元へ帰り着くまで、サルファーは目を閉じたまま動かないアズライトへ、必死に声を掛け続けた。
「アズライトっ…蒼兄っ、…蒼兄しっかりしろ…!!」
「……」
その場から動かず、離脱していくセイバーたちの後ろ姿を目で追うのみにとどまった[霆蛇]は、無言のままその姿を水中へ溶かしていく。
[霆蛇]の黒い巨体が、徐々に青の中に薄れて消えていく。
「…。」
消え入る直前、その唇が嫌らしく、口角を上げた。
「サルファー!! …アズライト!!」
やがて地上へ帰還してきたサルファーと、その腕に抱えられるアズライトを見、周囲を警戒していたエピドートが駆けつけてくる。
「…よく…無事で…っ…!」
「…辛くも成功!!」
興奮冷めやらぬ緊迫した表情の中からにやりと笑ってみせ、サルファーはアズライトを差し出した。
手渡したタイミングで、『転異空間』がその役目を終え、辺りが現実世界へと溶けて消え始める。[異界のもの]が空間を退去していったことを察し、エピドートは辺りへ視線をやった。
「! 退いたのか…」
「エピドート、消えちまう前に診てくれ!!」
「!? っあぁ、そうだね」
サルファーの言動に少し目を見張るエピドートだったが、ひとまずそれは置いておくとして、アズライトの身体を調べる。
意識が無く、ずぶ濡れになってはいるものの、呼吸と脈ははっきりしていて、外傷も見当たらなかった。
「…ここで出来ることは無さそうだ。あとは戻って…意識が戻ったら、何か影響が残ってないか見てみるしかない」
「そっか…」
そう返し、安堵と悔しさの入り混じったような表情でうつむくサルファーを見、エピドートは感極まりそうになる己をしまい、ひとつ息をつき、その頭に優しく手を置いた。
「よくやった。…ひとりで本当によくやってくれた。ありがとう」
「…っ!」
見上げる澄んだ金色の眼は、エピドートの柔らかな微笑みを受け、少しずつ滲んでいく。
「大変な思いをさせてすまなかった。…もう君は、一人前だよ」
「……」
サルファーは無言でエピドートの胸へ頭を押し付け、肩を震わせた。
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