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本編

第4話_M大寮の一室で-3

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先ほど外観から見えたガラス張りの内廊下を並んで歩きながら、廿日市ハツカイチ蒼矢ソウヤへ話しかける。

「君は宮島ミヤジマの友達?」
「僕が高校の後輩なんですが、先輩とは友人でもあります」
「へー。あいつの交友関係まぁまぁ知ってるつもりだけど、出身高校が同じっていう奴は君が初めてだな。確か国立のTK高だったよね?」
「はい」
「素行悪過ぎるから、本当にあの高校出身なのかずっと疑わしかったんだけど、今日ようやく信じられたかも。君はあの高校のイメージに違わず真面目そうだ」

廿日市は、入館届に書かれた訪問目的や簡単なプロフィールへ視線を注ぎつつ、話題を広げていく。

「ちなみに、麻雀とかポーカーとかする?」
「いえ…賭け事系は、一切」
「そうだよねー、そんな感じには見えない。でも、宮島好きだしプロ並に上手いからさ。じゃ、バイクは?」
「いえ、免許持ってないので」
「そうなんだ、ライダー仲間でもないんだ」
「はい。でも、後ろにはよく乗せてもらってました」
「…へぇぇ? あいつがタンデムに誰か乗せてるのなんか見たことないよ? 俺も即断られたし、誰相手でも乗せてないみたいだったから、なんのためにタンデム用のアクセサリ付いてんだろって、ずっと思ってたんだけど」

よほど意表をつかれたのか廿日市は声高になり、本心からの驚き方をした。
そして、なにか得心したかのような顔つきへ変わる。

「…もしかして、君専用・・・なのかなぁ」
「えっ」
「宮島と友人以上・・・・の特別な関係だったりする? …君、すごく綺麗な顔してるよね…眼鏡かけてるからぱっと見わかりにくいけど」
「…!」
「宮島が好きそうな顔。あいつ女好きだけど実はバイかもって話も聞くし、オープンに見せかけといて肝心なとこはかなりセキュリティ高い奴だからさ。…君の存在も隠されてたのかなって」
「…違います、先輩とはそういう関係では」
「ほんとに? 宮島の"友人"て今まで色々見てきたけど、君はなんだか毛色が違い過ぎて、そう・・なんじゃないかって勘ぐっちゃうんだけど」
「…っ」
「俄然、興味深いな」

歩を緩め、廿日市はにんまりと笑いながら、蒼矢へ首を傾げる。
彼の詮索してくるような好奇の目に、蒼矢は少したじろぎ、視線を外した。
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