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本編
第21話_器に巣食う悪意-3
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「!」
哨戒のため、前線を含め広範囲を警戒していた葉月が、見える視界にいち早く異変を察知した。
前方に際限無く広がっていた緑と白のツートンカラーが、中央から徐々に紅くなっていき、次第に中心が白く光り、瞬く間に視界一杯に膨れあがっていく。
エピドートがセイバーたちへ脳内から報せようとした瞬間、紅いドーム状の球体は爆発し、凄まじい熱風が襲い来る。
「っ…!?」
「わぁっ…!?」
「熱っ…!!」
放射状に拡散した熱風は辺り一帯に吹き荒れ、影斗の毒霧を散らし、エピドートの厚い暴風壁さえもかき消した。
セイバーたちが見張る中、深緑の地を焼き焦がしながら、囚われていた烈――『セイバーロードナイト』が地中から飛び出す。
「…やっと出れた」
地へ降り立ったロードナイトは、変身する仲間たちの姿を目にし、ほっとしたように表情を緩めた。
固まっていたオニキスはその面差しを受け止め、思い出したように息を吐き出すと、軽く舌打ちした。
「…おせーよポンコツ、もっと加減しろ。熱ぃだろうが」
「本当に。防御壁が飛ばされてしまったよ…もう陣形が滅茶苦茶だ」
「…すんません」
エピドートも呆れたように笑い、ロードナイトはばつが悪そうに頭を掻く。
ついで、装具を持たずに呆けた面持ちのまま見やってくる蒼矢へ、視線を送った。
「…ごめんな、蒼矢。…現実逃避して、気付くのが遅くなっちまった」
「……」
「俺が鈍いせいで、…お前の何も解ってやれなかったせいで、沢山傷つけたな」
ロードナイトは、いつも通りの明るいトーンに一層の柔らかさを込め、遠慮がちに微笑った。
アズライトは見開いていた瞳を揺らし、少しずつ口元を歪めていくが、それでもまっすぐ見つめ返していた。
「随分辛い思いをさせちまったみたいだな。…どう詫びたらいいかわからねぇからこの場では保留にさせて欲しいけど、これだけは今伝えておきたい。…ありがとな、守ってくれて」
「…っ…」
「…後でちゃんと話そう。俺の溜め込んでた気持ちをお前にぶつけたいし、お前の気持ちもちゃんと聞きたい。少し挫けそうになったけど…やっぱり俺はお前の全部を受け止めたい。そのために、今までずっとお前の傍にいたんだから」
優しく心に落ちていくような彼の温かい声に、蒼矢は顔を俯かせ、肩を震わせながら小さく頷いた。
哨戒のため、前線を含め広範囲を警戒していた葉月が、見える視界にいち早く異変を察知した。
前方に際限無く広がっていた緑と白のツートンカラーが、中央から徐々に紅くなっていき、次第に中心が白く光り、瞬く間に視界一杯に膨れあがっていく。
エピドートがセイバーたちへ脳内から報せようとした瞬間、紅いドーム状の球体は爆発し、凄まじい熱風が襲い来る。
「っ…!?」
「わぁっ…!?」
「熱っ…!!」
放射状に拡散した熱風は辺り一帯に吹き荒れ、影斗の毒霧を散らし、エピドートの厚い暴風壁さえもかき消した。
セイバーたちが見張る中、深緑の地を焼き焦がしながら、囚われていた烈――『セイバーロードナイト』が地中から飛び出す。
「…やっと出れた」
地へ降り立ったロードナイトは、変身する仲間たちの姿を目にし、ほっとしたように表情を緩めた。
固まっていたオニキスはその面差しを受け止め、思い出したように息を吐き出すと、軽く舌打ちした。
「…おせーよポンコツ、もっと加減しろ。熱ぃだろうが」
「本当に。防御壁が飛ばされてしまったよ…もう陣形が滅茶苦茶だ」
「…すんません」
エピドートも呆れたように笑い、ロードナイトはばつが悪そうに頭を掻く。
ついで、装具を持たずに呆けた面持ちのまま見やってくる蒼矢へ、視線を送った。
「…ごめんな、蒼矢。…現実逃避して、気付くのが遅くなっちまった」
「……」
「俺が鈍いせいで、…お前の何も解ってやれなかったせいで、沢山傷つけたな」
ロードナイトは、いつも通りの明るいトーンに一層の柔らかさを込め、遠慮がちに微笑った。
アズライトは見開いていた瞳を揺らし、少しずつ口元を歪めていくが、それでもまっすぐ見つめ返していた。
「随分辛い思いをさせちまったみたいだな。…どう詫びたらいいかわからねぇからこの場では保留にさせて欲しいけど、これだけは今伝えておきたい。…ありがとな、守ってくれて」
「…っ…」
「…後でちゃんと話そう。俺の溜め込んでた気持ちをお前にぶつけたいし、お前の気持ちもちゃんと聞きたい。少し挫けそうになったけど…やっぱり俺はお前の全部を受け止めたい。そのために、今までずっとお前の傍にいたんだから」
優しく心に落ちていくような彼の温かい声に、蒼矢は顔を俯かせ、肩を震わせながら小さく頷いた。
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