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本編
第14話_闇の救い手-3
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「蒼矢!!!」
と、今度はまた別方向から叫び声が届き、長い斧槍を構えた長髪のセイバーが[木蔦]へ急接近する。
[標的]の体躯へ振り被り、受け止められて得物に蔦が絡むと槍の先から電流を生んで柄へ走らせ、焦がし切る。
新手の蔦が伸びてくる前に一度退いて体勢を整えた葉月――セイバーエピドートは、視界の端に立つ黒い体躯にふと気付いてちらりと目をやり、[木蔦]へと戻した後、すぐに驚愕の表情で振り向いた。
「…影斗!?」
「絵に描いたような二度見すんじゃねぇ。今頃気付いたんかよ、耄碌したか?」
「だって…居ると思わなかったから…!」
不機嫌な顔を隠しもせずに悪態を吐くと、オニキスは再び暗虚を呼び出し、棒立ちの[侵略者]を睨む。
彼の面差しが変わったのを見、エピドートも斧槍の装具『雷嵐』を構え直し、ふたりは[木蔦]を前後から挟むように位置取った。
「…どういう理由があってかはさておき、良かったよ…君が来てくれていて。やっぱり純攻撃役は必要だ」
「いや、こいつはお前がやってくれ。俺がいい感じにサポートしてやっから」
「…えぇ!? 君がいるのに何で僕が攻撃役を!?」
「いいから頼んだ。なんかあいつきめぇ、生理的に無理」
セイバーたちが役割を押し付け合う最中、[木蔦]は沈黙のまま姿を蔦へ溶かし、薄くなっていく。
「!」
ふたりが目を見張る前で、残された人型の蔦の束はばらりと崩れ、地中へと潜って消えていく。
「…逃げたか」
そうエピドートが呟く後方で、どさりと落下する音がし、ふたりは同時に振り返った。
絡める効力を失った蔦に手放されたアズライトが地に伏せていて、駆け寄ったエピドートがその身を起こす。
全身の戦闘スーツを裂かれ、蔦の鞭で打たれ無数の紅い腫れを肌に痕す凄惨な姿に、エピドートは思わず顔を反らし、唇を震わせる。
「…酷い…」
「! 『空間』が消えちまうな…」
「駄目だ、とてもじゃないが回復は間に合わない…っ」
「出来る限り、時間いっぱいやれ」
「わかってる…!!」
エピドートから懸命な治癒を受け、オニキスに見守られながら、アズライトは血の気を失ったまま、瞼を硬く閉じていた。
と、今度はまた別方向から叫び声が届き、長い斧槍を構えた長髪のセイバーが[木蔦]へ急接近する。
[標的]の体躯へ振り被り、受け止められて得物に蔦が絡むと槍の先から電流を生んで柄へ走らせ、焦がし切る。
新手の蔦が伸びてくる前に一度退いて体勢を整えた葉月――セイバーエピドートは、視界の端に立つ黒い体躯にふと気付いてちらりと目をやり、[木蔦]へと戻した後、すぐに驚愕の表情で振り向いた。
「…影斗!?」
「絵に描いたような二度見すんじゃねぇ。今頃気付いたんかよ、耄碌したか?」
「だって…居ると思わなかったから…!」
不機嫌な顔を隠しもせずに悪態を吐くと、オニキスは再び暗虚を呼び出し、棒立ちの[侵略者]を睨む。
彼の面差しが変わったのを見、エピドートも斧槍の装具『雷嵐』を構え直し、ふたりは[木蔦]を前後から挟むように位置取った。
「…どういう理由があってかはさておき、良かったよ…君が来てくれていて。やっぱり純攻撃役は必要だ」
「いや、こいつはお前がやってくれ。俺がいい感じにサポートしてやっから」
「…えぇ!? 君がいるのに何で僕が攻撃役を!?」
「いいから頼んだ。なんかあいつきめぇ、生理的に無理」
セイバーたちが役割を押し付け合う最中、[木蔦]は沈黙のまま姿を蔦へ溶かし、薄くなっていく。
「!」
ふたりが目を見張る前で、残された人型の蔦の束はばらりと崩れ、地中へと潜って消えていく。
「…逃げたか」
そうエピドートが呟く後方で、どさりと落下する音がし、ふたりは同時に振り返った。
絡める効力を失った蔦に手放されたアズライトが地に伏せていて、駆け寄ったエピドートがその身を起こす。
全身の戦闘スーツを裂かれ、蔦の鞭で打たれ無数の紅い腫れを肌に痕す凄惨な姿に、エピドートは思わず顔を反らし、唇を震わせる。
「…酷い…」
「! 『空間』が消えちまうな…」
「駄目だ、とてもじゃないが回復は間に合わない…っ」
「出来る限り、時間いっぱいやれ」
「わかってる…!!」
エピドートから懸命な治癒を受け、オニキスに見守られながら、アズライトは血の気を失ったまま、瞼を硬く閉じていた。
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