上 下
39 / 103
本編

第9話_屈辱の隷従-1

しおりを挟む
後続の講義を欠席し、大学を後にした蒼矢ソウヤは、早足で最寄りの駅へ戻り、電車に乗る。
自宅までの帰宅ルートを辿るが途中で乗り換え、別方向へと向かっていく。
やがて電車を降り、使ったことがない駅の改札を抜け、スマホを片手に知らない道を、方々を見渡しながら進んでいく。

目的の建物は駅から程ない距離にあり、蒼矢は初めて間近で見るその外観を前に、緊張感を高める。
入り口を前に立ち止まり、湧き上がる負の感情をなんとか抑え込むと、マフラーで口元を隠し、頭を屈めがちに建物内へ入っていく。

「…」

モダンで落ち着いた色調のエントランスは、なんとなく思い描いていた印象よりもノーマルな雰囲気で、開けた景色の中に人影は無く、少し胸をなでおろした蒼矢は、入ってすぐ目につく場所に構えられたタッチパネル機へ進む。
スマホに表示されている通りに入力し、受け口へ落ちたカードキーを手に取ると、エレベーターに乗って上がっていく。

「――何をもたついていた? 連絡が入ったら30分以内には来い」

目的の部屋へ着き、ドアを開けた途端中から声が飛んできて、奥へ進んでいくと、ベッド脇のコンパクトソファへ[木蔦ヘデラ]が股を大きく開いて座っていた。

正面へ立ち尽くす強張った面差しを、[木蔦ヘデラ]はゆるりと見やる。

「危機感が足りないようだな。大事な友人の命運がかかってるというのに」

蒼矢は噴き上がりそうになる敵意を紛らすように[木蔦ヘデラ]から視線を外し、顔を伏せた。
その心中を察したのか、[木蔦ヘデラ]は蔑むように鼻を鳴らす。

「…まぁ、『セイバーお前』相手に従順は期待できないだろうな。好きにするといい。――だが、命令違反や抵抗は許さない。…そこのクローゼットの中を見てみろ」

そう粗野に促され、蒼矢は[木蔦ヘデラ]の気配を警戒しつつ、横のクローゼットを開く。
中を見、目に飛び込んできた"光景"に、顔を凍らせた。

「隙を狙って『転送』させようなどとは考えるなよ。…そいつは第二の"保険"だ」

クローゼットの中には、見ず知らずの若い男が裸で手足を縛られ、膝を折り曲げて窮屈そうに収まっていた。
気を失っているのか故意に眠らされているのか、ぴくりとも動かず静かにうずくまっている。

反応を満足気に認めると、[木蔦ヘデラ]は蒼矢を部屋の中央へ戻らせ、ソファへ背中を預けて背もたれに両腕を載せる。

「とりあえず、下着以外全部外せ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

魔族に捕らえられた剣士、淫らに拘束され弄ばれる

たつしろ虎見
BL
魔族ブラッドに捕らえられた剣士エヴァンは、大罪人として拘束され様々な辱めを受ける。性器をリボンで戒められる、卑猥な動きや衣装を強制される……いくら辱められ、その身体を操られても、心を壊す事すら許されないまま魔法で快楽を押し付けられるエヴァン。更にブラッドにはある思惑があり……。 表紙:湯弐さん(https://www.pixiv.net/users/3989101)

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

首輪 〜性奴隷 律の調教〜

M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。 R18です。 ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。 孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。 幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。 それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。 新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。

処理中です...