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本編

ありし日の記憶③-3

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周りの遊ぶ歓声が耳から遠ざかっていく中、その言葉と視線を受け止めたレツは、ボールをその場に置き、引き寄せられるように蒼矢ソウヤへ歩み寄っていく。

「安心しろ。なにもこれで一生の別れってんじゃねぇんだし、なにしろおれたちの家、あんなに近いんだぜ? 会えなくなるわけがねぇ」

蒼矢の両肩に手を置きながら、烈はそうまっすぐに伝えた。

「おれはこの先もずっとお前の親友だ、それだけは絶対変わらねぇ。おれはいつだってお前が一番大事だし、おれもお前にとっていつも、いつまででも一番の奴でいるつもりだ。…だから、全然さみしくなんかねぇんだぞ、蒼矢」

声色はいつもと変わらない調子だったが、確かな真剣さが込められた視線を返され、感情を押し殺すように見据えられていた蒼矢の瞳が揺れ、真一文字に結ばれていた口元が微かに歪む。

「会いたくなるのに理由なんかねぇんだ。いつでも好きな時に来い。おれはいつでもお前を待ってる」
「…うん」

蒼矢が頷くと同時に、一瞬突風が駆け抜け、地面に置いたボールがころころと、滑らかに明後日の方へ遠ざかっていく。

「!! ああっ、待てこらっ…」

烈は蒼矢の肩から手を外し、面持ちに苛立ちを紛らせながら、一目散にボールを追いかけていった。
そんな、いまひとつ決まりきらない幼馴染の後ろ姿を追い、蒼矢は硬くなっていた表情を少しだけ緩め、頬を染めていた。
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