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本編
ありし日の記憶④-4
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「――俺、嬉しかったぞ」
そう唐突に口に出す烈を、蒼矢は少し呆けた面持ちで見上げた。
「本当は、少し不安なんだ。わけわかんねぇ内に『適合者』だってなって、知らねぇ世界に飛ばされて、気持ち悪い奴らと戦わなきゃならなくなってさ。いまだに半信半疑だし、"使命"ってやつを背負っていけるか、…俺自身がどうにかなっちまうんじゃねぇかって、先が見えな過ぎて怖い。…夢なら早く覚めてくれって思ってる」
「…烈…」
「でも、先にお前がいてくれた。…すげー嬉しかったし、心の底からほっとした。怖いけど…お前が一緒にいるなら、きっとなんとかやっていけるって思ったんだ。…野生の勘だな!」
そう言いながら蒼矢の隣に座り、烈は自分の手元を見ながら続ける。
「あとさー…こういう形でお前の横に並べたって意味でも、すげぇ嬉しかったんだ。…俺、お前に置いてかれちゃったと思ってたから」
「…は?」
「だって…俺は毎日遊んで家手伝って食って寝てって、何年経っても代わり映えしねぇのに、お前はどんどん遊ばなくなるし、寝るのも遅くなるし、学校だってめっちゃすごいところ行くだろ? …なんか…蒼矢は俺の手の届かねぇところに行っちまったな、こいつにはもう追いつけねぇなって思ってたんだ」
「…! …そんなこと…」
眉を顰め、否定しようとする蒼矢だったが、烈は頬を染めながら蒼矢へ顔を向けた。
「でも、やっと肩並べられた気がする。出会った頃みたいにさ。…これで大手振ってお前に"頼って来い"って言えるな!」
「…」
「俺とお前はもう"仲間"だ。お前が誰にも打ち明けられなくても、諦めてても、これからは俺がそれが事実だって受け止められる。…誰も頼れないなんて思うな、独りじゃねぇんだから」
烈は蒼矢の瞳を見つめながら、にやっと歯を見せた。
「不慣れなところは埋め合っていこうぜ、見習い同士でさ」
その屈託のない笑顔に、蒼矢はつられるように笑みを浮かべ、黙ったまま頷いた。
そう唐突に口に出す烈を、蒼矢は少し呆けた面持ちで見上げた。
「本当は、少し不安なんだ。わけわかんねぇ内に『適合者』だってなって、知らねぇ世界に飛ばされて、気持ち悪い奴らと戦わなきゃならなくなってさ。いまだに半信半疑だし、"使命"ってやつを背負っていけるか、…俺自身がどうにかなっちまうんじゃねぇかって、先が見えな過ぎて怖い。…夢なら早く覚めてくれって思ってる」
「…烈…」
「でも、先にお前がいてくれた。…すげー嬉しかったし、心の底からほっとした。怖いけど…お前が一緒にいるなら、きっとなんとかやっていけるって思ったんだ。…野生の勘だな!」
そう言いながら蒼矢の隣に座り、烈は自分の手元を見ながら続ける。
「あとさー…こういう形でお前の横に並べたって意味でも、すげぇ嬉しかったんだ。…俺、お前に置いてかれちゃったと思ってたから」
「…は?」
「だって…俺は毎日遊んで家手伝って食って寝てって、何年経っても代わり映えしねぇのに、お前はどんどん遊ばなくなるし、寝るのも遅くなるし、学校だってめっちゃすごいところ行くだろ? …なんか…蒼矢は俺の手の届かねぇところに行っちまったな、こいつにはもう追いつけねぇなって思ってたんだ」
「…! …そんなこと…」
眉を顰め、否定しようとする蒼矢だったが、烈は頬を染めながら蒼矢へ顔を向けた。
「でも、やっと肩並べられた気がする。出会った頃みたいにさ。…これで大手振ってお前に"頼って来い"って言えるな!」
「…」
「俺とお前はもう"仲間"だ。お前が誰にも打ち明けられなくても、諦めてても、これからは俺がそれが事実だって受け止められる。…誰も頼れないなんて思うな、独りじゃねぇんだから」
烈は蒼矢の瞳を見つめながら、にやっと歯を見せた。
「不慣れなところは埋め合っていこうぜ、見習い同士でさ」
その屈託のない笑顔に、蒼矢はつられるように笑みを浮かべ、黙ったまま頷いた。
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