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本編
第7話_新たに宿す忠誠-10
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イツキ王子の満足がいくと、ふたりは王子の間へと戻る。
「湯浴みをして、もう寝ましょう」
「ソウヤは一緒に入らないの?」
「私は汗をかきませんので…」
ミヤジマ博士の趣味で擬似汗腺自体は機能として持っているが、それを言う必要はないと感じてソウヤは敢えて伝えず、やんわりと入浴を断り王子の湯浴みを見守る。
寝間着に着替えた王子は、ソウヤが見届ける中もぞもぞとベッドへ潜り込んでいく。
そのまま寝入るかと思われた時、王子の顔がふと振り返った。
「…来て…」
「!」
「一緒に寝て欲しいんだ」
王子の誘いに、ソウヤは一瞬戸惑い躊躇ったものの、やがて自分でも無意識に足がベッドへと進んでいく。
広いベッドの柔らかな心地に、背徳感を覚えながらも心を躍らせ、王子の隣に寝そべる。
「…おやすみ」
「おやすみなさいませ」
イツキ王子は胸元のガラス玉を握りながら、すぅすぅと寝息をたて始めた。
彼が眠りの世界へ入っていったことを認めると、ソウヤは音を立てないよう半身だけベッドから起き上がらせ、枕を背に寄り掛かる。
「…」
王子の寝顔を見やりながら、ソウヤは研究所でミヤジマ博士と一緒に眠り、やはり彼の寝顔を眺めて過ごした夜を思い出していた。
…王子殿下付き護衛機である俺は、いついかなる時も、もう眠ることは許されない。
…でもこうして、この小さな主が目の前で安心して眠ってくれることは、護衛任務を賜った俺にとって、この上ない幸せなことなのかもしれない。
…この寝顔を、いつまでも守っていたい。
「湯浴みをして、もう寝ましょう」
「ソウヤは一緒に入らないの?」
「私は汗をかきませんので…」
ミヤジマ博士の趣味で擬似汗腺自体は機能として持っているが、それを言う必要はないと感じてソウヤは敢えて伝えず、やんわりと入浴を断り王子の湯浴みを見守る。
寝間着に着替えた王子は、ソウヤが見届ける中もぞもぞとベッドへ潜り込んでいく。
そのまま寝入るかと思われた時、王子の顔がふと振り返った。
「…来て…」
「!」
「一緒に寝て欲しいんだ」
王子の誘いに、ソウヤは一瞬戸惑い躊躇ったものの、やがて自分でも無意識に足がベッドへと進んでいく。
広いベッドの柔らかな心地に、背徳感を覚えながらも心を躍らせ、王子の隣に寝そべる。
「…おやすみ」
「おやすみなさいませ」
イツキ王子は胸元のガラス玉を握りながら、すぅすぅと寝息をたて始めた。
彼が眠りの世界へ入っていったことを認めると、ソウヤは音を立てないよう半身だけベッドから起き上がらせ、枕を背に寄り掛かる。
「…」
王子の寝顔を見やりながら、ソウヤは研究所でミヤジマ博士と一緒に眠り、やはり彼の寝顔を眺めて過ごした夜を思い出していた。
…王子殿下付き護衛機である俺は、いついかなる時も、もう眠ることは許されない。
…でもこうして、この小さな主が目の前で安心して眠ってくれることは、護衛任務を賜った俺にとって、この上ない幸せなことなのかもしれない。
…この寝顔を、いつまでも守っていたい。
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