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私、そんなに弱くないですよ
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情報収集をレボル、アメリアたちの護衛をドロフとメレブに任せた冨岡。
すぐにでも向かうべき場所が頭に浮かぶが、それよりも優先すべきことがあった。
冨岡はアメリアと子どもたちの前に立つと、自分の不安や焦りなどを全て隠し、優しく微笑む。
「アメリアさん、俺も何が起きているのか分かってないですけど、この場所は守ります。だから少し待っていてください」
「トミオカさん・・・・・・そんなに無理して表情を作らなくていいですよ」
「え?」
「そんなに弱くないですよ、私。自慢じゃないですけど、トミオカさんに出会うまでこの場所で戦ってきたんです。これくらいのことで、狼狽えていられませんよ。だから、トミオカさんはトミオカさんのしたいようにしてください。もうどうにもならないってってなれば、この国を出ればいいだけです」
「アメリアさん・・・・・・」
想像していたよりも力強い言葉を放つアメリアに、驚く冨岡。心のどこかで彼女のことは守るべき存在だと思っていた。
自分が守っている、という勘違いすらしていた。けれど、冨岡が現れるまでも、彼女は一人でフィーネと教会を守るために戦っていたのだ。
どれほど辛い思いをしても、逃げ出さず、先の見えない暗闇を歩んでいた。
よく考えれば、ここまで冨岡が頑張ってこれた理由は、彼女がいたからかもしれない。支えられていたのである。
アメリアはフィーネとリオの頭を両手で撫でながら、冨岡に綺麗な瞳を向けた。
「私、結構図太いのでどんな仕事でもできますから、この国を出た後はしばらく私がトミオカさんの分まで稼いできます。トミオカさんは美味しいご飯を作って待っていてくださいね。なんて、そんな未来も悪くないじゃないんですか。どこでだって、生きていけますよ」
「でも、この場所はアメリアさんにとって大切な・・・・・・」
「場所は場所です。大切な場所以上に大切な人がいる。そんな人たちと新しく大切な場所を作っていけばいいんですよ。トミオカさんやフィーネ、リオ。それにレボルさんやドロフさん、メレブさんがいれば、どんな場所だって大切な場所になります。だから、トミオカさんはトミオカさんのしたいように、すべきことをしてください。そして一つわがままを言わせてもらえるなら・・・・・・」
アメリアはそう言いかけて、子どもたちの頭から手を離して、冨岡の右手を両手で包み込んだ。
「ア、アメリアさん?」
「どうか、無事に帰ってきてください。必ず帰ってきて、一緒に美味しいものを食べましょう。あの夜のように、みんなで」
彼女の言葉を聞いた冨岡は、自分の目に狂いはなかったと温かな気持ちで溢れる。
異世界に転移したあの日、彼女に出会えてよかった。彼女を助けることができてよかった。彼女と同じ夢を持ってよかった。これまでの思い出が美しく輝き始める。
そして冨岡は改めて思った。こうまで言ってくれる彼女に対し、中途半端な態度でいていいわけがない。
「好きです、アメリアさん」
本心から出てくる言葉は状況や時、場所を選ばない。思わず口から出てしまったのだ。
冨岡は自分の言葉に驚いていたが、アメリアの驚きはそれ以上である。
「へ? ト、トミオカさん、あの、えっと」
「うわっ、すみません、こんな時に。あの、思わずというか、そのつい。で、でも勢いとかそういうのじゃなくて」
「・・・・・・今の言葉は聞かなかったことにします」
アメリアの言葉は冨岡の胸を痛く貫く。聞かなかったことにする、とは関係性を崩さないための対処方法だ。冨岡はそう思ってしまった。
先走った行動で、彼女に気まずい思いをさせてしまったのだと、反省すらしてしまう。
しかし、そうではなかった。アメリアはさらに言葉を続ける。
「ちゃんと聞きたいので、全てが落ち着いたらもう一度聞かせてください。きちんと聞きたいんです。だから、必ず帰ってきてくださいね」
彼女のそんな言葉に背中を押され、冨岡は走り出す。向かうべき場所へ。
背中の方で「先生顔赤いよ」というフィーネの声が聞こえてきたので、先ほどの言葉は好意的なもので間違いないだろう。
すぐにでも向かうべき場所が頭に浮かぶが、それよりも優先すべきことがあった。
冨岡はアメリアと子どもたちの前に立つと、自分の不安や焦りなどを全て隠し、優しく微笑む。
「アメリアさん、俺も何が起きているのか分かってないですけど、この場所は守ります。だから少し待っていてください」
「トミオカさん・・・・・・そんなに無理して表情を作らなくていいですよ」
「え?」
「そんなに弱くないですよ、私。自慢じゃないですけど、トミオカさんに出会うまでこの場所で戦ってきたんです。これくらいのことで、狼狽えていられませんよ。だから、トミオカさんはトミオカさんのしたいようにしてください。もうどうにもならないってってなれば、この国を出ればいいだけです」
「アメリアさん・・・・・・」
想像していたよりも力強い言葉を放つアメリアに、驚く冨岡。心のどこかで彼女のことは守るべき存在だと思っていた。
自分が守っている、という勘違いすらしていた。けれど、冨岡が現れるまでも、彼女は一人でフィーネと教会を守るために戦っていたのだ。
どれほど辛い思いをしても、逃げ出さず、先の見えない暗闇を歩んでいた。
よく考えれば、ここまで冨岡が頑張ってこれた理由は、彼女がいたからかもしれない。支えられていたのである。
アメリアはフィーネとリオの頭を両手で撫でながら、冨岡に綺麗な瞳を向けた。
「私、結構図太いのでどんな仕事でもできますから、この国を出た後はしばらく私がトミオカさんの分まで稼いできます。トミオカさんは美味しいご飯を作って待っていてくださいね。なんて、そんな未来も悪くないじゃないんですか。どこでだって、生きていけますよ」
「でも、この場所はアメリアさんにとって大切な・・・・・・」
「場所は場所です。大切な場所以上に大切な人がいる。そんな人たちと新しく大切な場所を作っていけばいいんですよ。トミオカさんやフィーネ、リオ。それにレボルさんやドロフさん、メレブさんがいれば、どんな場所だって大切な場所になります。だから、トミオカさんはトミオカさんのしたいように、すべきことをしてください。そして一つわがままを言わせてもらえるなら・・・・・・」
アメリアはそう言いかけて、子どもたちの頭から手を離して、冨岡の右手を両手で包み込んだ。
「ア、アメリアさん?」
「どうか、無事に帰ってきてください。必ず帰ってきて、一緒に美味しいものを食べましょう。あの夜のように、みんなで」
彼女の言葉を聞いた冨岡は、自分の目に狂いはなかったと温かな気持ちで溢れる。
異世界に転移したあの日、彼女に出会えてよかった。彼女を助けることができてよかった。彼女と同じ夢を持ってよかった。これまでの思い出が美しく輝き始める。
そして冨岡は改めて思った。こうまで言ってくれる彼女に対し、中途半端な態度でいていいわけがない。
「好きです、アメリアさん」
本心から出てくる言葉は状況や時、場所を選ばない。思わず口から出てしまったのだ。
冨岡は自分の言葉に驚いていたが、アメリアの驚きはそれ以上である。
「へ? ト、トミオカさん、あの、えっと」
「うわっ、すみません、こんな時に。あの、思わずというか、そのつい。で、でも勢いとかそういうのじゃなくて」
「・・・・・・今の言葉は聞かなかったことにします」
アメリアの言葉は冨岡の胸を痛く貫く。聞かなかったことにする、とは関係性を崩さないための対処方法だ。冨岡はそう思ってしまった。
先走った行動で、彼女に気まずい思いをさせてしまったのだと、反省すらしてしまう。
しかし、そうではなかった。アメリアはさらに言葉を続ける。
「ちゃんと聞きたいので、全てが落ち着いたらもう一度聞かせてください。きちんと聞きたいんです。だから、必ず帰ってきてくださいね」
彼女のそんな言葉に背中を押され、冨岡は走り出す。向かうべき場所へ。
背中の方で「先生顔赤いよ」というフィーネの声が聞こえてきたので、先ほどの言葉は好意的なもので間違いないだろう。
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