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夕食会

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 夕食に誘われたノルマンは、魔王の話の直後だったため多少複雑な心境だったはずだが、喜びが勝り、拳を握りしめていた。

「では、お邪魔しようかのう。ってお前さんはあの教会に住んでおるんじゃろう?」
「そうですね。そうか、往復することになっちゃいますよね」

 教会で夕食を食べるとなれば、ノルマンに教会までの往復路を歩かせることになる。
 元気だと言っても老爺だ。年寄り扱いするな、と言われるかもしれないが、気遣わないわけにはいかない。
 そこで冨岡はこう提案した。

「それじゃあ、屋台を持ってくるのでこの家の前を借りてもいいですか?」
「屋台を持ってくる? そんなこと可能なのか?」
「ええ、家の前の道を多少占領しちゃうんですけど、大丈夫ですか?」

 ノルマンの家は住宅街の中にある。家の前は街路として多少幅を持っているので、屋台を停めてもそれほど邪魔にならないだろう。
 だが、一応許可を取っておくのは大切だ。
 するとノルマンは不思議そうに首を傾げた。

「それは構わんが、この家の中でも良いぞ?」
「俺とアメリアさんに、レボルさん。フィーネちゃんにリオくんってなると五人ですから。机や椅子が足りないんですよ」
「ほっほっほ、それは賑やかになるのう。確かにこの家では手狭か。それじゃあ、屋台を持ってきてもらおうかの」

 ノルマンの許可を得た冨岡は、優しく微笑んでから「それじゃあ、夕食どきに戻ってきますから待っていてください」

 そう伝えて一度ノルマンの家を出る。
 そのまま移動販売『ピース』が営業している広場に向かい、そこにいたアメリアたちに事情を話すとそのまま冨岡も営業に加わった。
 閉店後、二号店のメンバーに貧民街での配布と、教会で工事をしている作業員の夕食作りを任せてノルマンの家に向かう。
 アメリアとレボルには全ての事情を話したが、フィーネとリオには冨岡の友人と夕食会をすると話していた。

「こっちです」

 冨岡が屋台を引き、案内すると家の前でノルマンが待っていた。

「おお、本当に来たな。これがお前さんの屋台か。立派なもんじゃ」

 ノルマンが嬉しそうに屋台を眺める。

「外で待っていたんですか? 日も暮れてきて冷えるでしょう。温かいお茶を用意しますね」

 冨岡はそう言っている隣で、屋台から出てきたアメリアが頭を下げた。

「初めまして、アメリアと申します。今日はよろしくお願いします」
「ほっほっほ、ノルマンじゃ。夕食に混ぜてもらって悪いのう」
「そんなそんな。夕食は大人数で食べた方が美味しいですからね。それよりも、その・・・・・・」

 何か言いにくそうにしているアメリアを見たノルマンは、そのまま冨岡に視線を送る。
 どこまで話しているのか、という確認だ。
 冨岡が頷くと、ノルマンはそのまま視線を屋台に向ける。
 中にいるリオを探しているのだろう。

「なぁに、心配せんでくれ。本人には伝えたくないこともあるじゃろう。ほっほっほ、じゃがワシは安心したぞ。親代わりのお前さんらが、これほどまでに親身になっていることにな」
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