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もう一人のドラゴン使い7
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エミルはこれがチャンスと、空かさず畳み掛けるように言葉を発した。
「……私はここに小学生の女の子を助けに来たの」
「小学生の女の子……?」
それを聞いた直後、微かにだが影虎の眉間に、一瞬しわが寄るのが見えた。だが、エミルはその一瞬の彼の表情の変化を見逃さなかった。
「何か知っているの?」
エミルがそう聞き返すと、影虎は表情を曇らせた。だが、その表情から察するに、彼が何かを知っているのは明らかだった。
泣き落とし作戦の効果は抜群だった。今までと違って急に話を聞いてくれるようになった影虎にチャンスだと感じたエミルは持っていたクレイモアを地面に落として、影虎に詰め寄って彼を問いただす。
「知ってるのね? 知ってるんでしょ!? あの子は今どこに居るの!? どこに居るのよ!!」
彼女にしては珍しく、取り乱したエミルに影虎はたじろぎながら口を噤む。
しばらくの沈黙の後、影虎は無言のまま首を横に振った。
エミルは『もしかしたら』という希望を裏切られ、その場に崩れ落ちるように両手を地面に突く。
そんな彼女の様子を見てどうしたらいいか分からず。影虎が途方に暮れていると。その直後、魔法陣が地面に現れ、その檻に閉じ込められた星が姿を現した。
「――星ちゃん!?」
星の姿を見て、エミルが駆け寄ろうとした瞬間。その檻の前に、狼の覆面を被った男のホログラム映像が映し出される。
「待った……動かないで頂きましょう! もし。それ以上その子に近付く事があれば、その檻ごと彼女はバラバラになることになる」
覆面の男は右手に持ったスイッチを、エミルと影虎の前に見えるようになって突き出してニヤリと不気味な笑みを浮かべている。
エミルは足を止め星の檻を見ると、怯える星の足元に爆弾のような黒塗の四角い箱が置かれていた。
大きさ的にまあそれほどの威力の代物ではないだろうが、狭い檻の中にいる星の体を吹き飛ばすには十分なものなのだろう……。
「……貴方! そんな事をして許されると思っているのッ!?」
覆面の男に向かって声を荒らげるエミル。
口元に不敵な笑みを浮かべると、覆面の男が徐ろに口を開いた。
「――なにを言ってるんですか、これはゲームですよ? ゲームの中で人が死ぬなんていうのは日常茶飯事でしょう? それを『そんな事をして許されるか』なんて言葉は滑稽ですね~」
「くッ! 貴方は……」
悔しそうに唇を噛み締めるエミルが、人を小馬鹿にしたように笑う男を睨む。
この状況にした張本人のセリフとは思えない男の発言に、エミルは眉を吊り上げ怒りを露わにする。
覆面の男はその表情を見て、楽しんでいるかのようにほくそ笑んだ。
その傍若無人な振る舞いに、体を小刻みに震わせていた影虎の怒りが爆発する。
「貴様! 俺を騙したのか!!」
「騙す? なにを言っているんですか、貴方は私に雇われた。そこの女を始末する為に……貴方こそ早くその女を始末したらどうです? 恨んでいるんでしょう? その女の一族を……」
「……貴様ッ!!」
拳を強く握り締めながら、鋭い眼光を向ける影虎に向かって更に言葉をぶつける。
「貴方の一族の恨みなど、所詮は女の涙くらいで掻き消えるようなものなのですよ! 貴方ができないのなら、私が手伝ってあげましょう!!」
「――なっ! よ、よせッ!!」
覆面の男はそう叫ぶと、手に持っていたスイッチのボタンを押した。
エミルは狼の覆面を被っている男の行動に驚き、同時に悲鳴を上げた。
「いやああああああッ!!」
咄嗟に檻に向かって走り出した直後、星の居た檻が跡形もなく吹き飛んだ。周囲には残骸が転がり、星の姿は服の一片に至るまで文字通り跡形もなく吹き飛ばされた。
もの凄い爆風の後。辺りに土煙が上がり地面には爆発によってできた大きな窪みと、鉄屑の残骸だけが無残に残されている。
「……そ、そんな……星ちゃん……」
エミルはまるで魂が抜けた様にその場にペタリと座り込むと、まだもくもくと煙を上げている星を捕らえた檻のあった場所を呆然と見つめていた。
彼女の頭の中には星との出会った日のことや、これまでの出来事がまるで走馬灯のように駆け巡っていた。意気消沈した様子で項垂れながら嗚咽を堪えてその場に泣き崩れるエミル。
その様子を見て、まるでショーでも楽しんでいるかの様に大声で笑う覆面の男に、拳を強く握り締めていた影虎が声を上げる。
「……よくも、よくも俺と北条の戦いに水を差してくれたな! 貴様! 絶対に後悔させてやる!!」
「ほう。ならどうします? 私を倒しますか? 倒せますかね。今の貴方に……」
「ああっ! やってやる! やってやるさ!! ファーブニル!!」
影虎はリントヴルムとの戦闘を止め、事態が収まるのを上空から見下ろす黒竜に命令する。
――グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
その直後、ファーブニルが大きく咆哮を上げ。口が赤く発光し、複数の炎の球が発射された。
一直線にホログラムでしかない覆面の男に向かって飛んでいく。
「これが決別の一撃!!」
「……ふふっ。ええその通り。決別の一撃ですよ……そして貴方は、深く後悔することになる……」
余裕そうに両手を広げながらそう呟く覆面の男。
「……私はここに小学生の女の子を助けに来たの」
「小学生の女の子……?」
それを聞いた直後、微かにだが影虎の眉間に、一瞬しわが寄るのが見えた。だが、エミルはその一瞬の彼の表情の変化を見逃さなかった。
「何か知っているの?」
エミルがそう聞き返すと、影虎は表情を曇らせた。だが、その表情から察するに、彼が何かを知っているのは明らかだった。
泣き落とし作戦の効果は抜群だった。今までと違って急に話を聞いてくれるようになった影虎にチャンスだと感じたエミルは持っていたクレイモアを地面に落として、影虎に詰め寄って彼を問いただす。
「知ってるのね? 知ってるんでしょ!? あの子は今どこに居るの!? どこに居るのよ!!」
彼女にしては珍しく、取り乱したエミルに影虎はたじろぎながら口を噤む。
しばらくの沈黙の後、影虎は無言のまま首を横に振った。
エミルは『もしかしたら』という希望を裏切られ、その場に崩れ落ちるように両手を地面に突く。
そんな彼女の様子を見てどうしたらいいか分からず。影虎が途方に暮れていると。その直後、魔法陣が地面に現れ、その檻に閉じ込められた星が姿を現した。
「――星ちゃん!?」
星の姿を見て、エミルが駆け寄ろうとした瞬間。その檻の前に、狼の覆面を被った男のホログラム映像が映し出される。
「待った……動かないで頂きましょう! もし。それ以上その子に近付く事があれば、その檻ごと彼女はバラバラになることになる」
覆面の男は右手に持ったスイッチを、エミルと影虎の前に見えるようになって突き出してニヤリと不気味な笑みを浮かべている。
エミルは足を止め星の檻を見ると、怯える星の足元に爆弾のような黒塗の四角い箱が置かれていた。
大きさ的にまあそれほどの威力の代物ではないだろうが、狭い檻の中にいる星の体を吹き飛ばすには十分なものなのだろう……。
「……貴方! そんな事をして許されると思っているのッ!?」
覆面の男に向かって声を荒らげるエミル。
口元に不敵な笑みを浮かべると、覆面の男が徐ろに口を開いた。
「――なにを言ってるんですか、これはゲームですよ? ゲームの中で人が死ぬなんていうのは日常茶飯事でしょう? それを『そんな事をして許されるか』なんて言葉は滑稽ですね~」
「くッ! 貴方は……」
悔しそうに唇を噛み締めるエミルが、人を小馬鹿にしたように笑う男を睨む。
この状況にした張本人のセリフとは思えない男の発言に、エミルは眉を吊り上げ怒りを露わにする。
覆面の男はその表情を見て、楽しんでいるかのようにほくそ笑んだ。
その傍若無人な振る舞いに、体を小刻みに震わせていた影虎の怒りが爆発する。
「貴様! 俺を騙したのか!!」
「騙す? なにを言っているんですか、貴方は私に雇われた。そこの女を始末する為に……貴方こそ早くその女を始末したらどうです? 恨んでいるんでしょう? その女の一族を……」
「……貴様ッ!!」
拳を強く握り締めながら、鋭い眼光を向ける影虎に向かって更に言葉をぶつける。
「貴方の一族の恨みなど、所詮は女の涙くらいで掻き消えるようなものなのですよ! 貴方ができないのなら、私が手伝ってあげましょう!!」
「――なっ! よ、よせッ!!」
覆面の男はそう叫ぶと、手に持っていたスイッチのボタンを押した。
エミルは狼の覆面を被っている男の行動に驚き、同時に悲鳴を上げた。
「いやああああああッ!!」
咄嗟に檻に向かって走り出した直後、星の居た檻が跡形もなく吹き飛んだ。周囲には残骸が転がり、星の姿は服の一片に至るまで文字通り跡形もなく吹き飛ばされた。
もの凄い爆風の後。辺りに土煙が上がり地面には爆発によってできた大きな窪みと、鉄屑の残骸だけが無残に残されている。
「……そ、そんな……星ちゃん……」
エミルはまるで魂が抜けた様にその場にペタリと座り込むと、まだもくもくと煙を上げている星を捕らえた檻のあった場所を呆然と見つめていた。
彼女の頭の中には星との出会った日のことや、これまでの出来事がまるで走馬灯のように駆け巡っていた。意気消沈した様子で項垂れながら嗚咽を堪えてその場に泣き崩れるエミル。
その様子を見て、まるでショーでも楽しんでいるかの様に大声で笑う覆面の男に、拳を強く握り締めていた影虎が声を上げる。
「……よくも、よくも俺と北条の戦いに水を差してくれたな! 貴様! 絶対に後悔させてやる!!」
「ほう。ならどうします? 私を倒しますか? 倒せますかね。今の貴方に……」
「ああっ! やってやる! やってやるさ!! ファーブニル!!」
影虎はリントヴルムとの戦闘を止め、事態が収まるのを上空から見下ろす黒竜に命令する。
――グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
その直後、ファーブニルが大きく咆哮を上げ。口が赤く発光し、複数の炎の球が発射された。
一直線にホログラムでしかない覆面の男に向かって飛んでいく。
「これが決別の一撃!!」
「……ふふっ。ええその通り。決別の一撃ですよ……そして貴方は、深く後悔することになる……」
余裕そうに両手を広げながらそう呟く覆面の男。
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