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決戦21
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そんなデイビッドの表情を見て、逆にエリエが指を差して言った。
「そんな事より。デビッド先輩こそ大丈夫なの? 武器――壊れちゃったでしょ?」
それを聞いたデイビッドは、折れた刀をアイテムの中から取り出してエリエに見せた。
「大丈夫さ。確かに壊れたが、どうやら全損扱いではないらしいしな。これなら鍛冶屋に行って直せるからな。まあ、熟練度は少し惜しいが、また稼げばいいさ!」
「……そう。でもそれ、結構前から大事にしてたでしょ?」
デイビッドは表情を曇らせているエリエの頭をぽんっと叩くと「大丈夫だ」と親指を立てて微笑んだ。
武器は破壊されると、一部破損、全損扱いで大きく結果が異なる。一部破損ならば、鍛冶屋に行けば再び修復も可能だが、全損となるとまるでガラスが割れて飛び散る様な消滅エフェクトが発生して武器そのものを消失してしまう。
だが、一部破損でも安心はできない。それがデイビッドが言っていた『熟練度』だ――フリーダムには武器強化システムが存在せず。ドロップや作られた時点でその武器の能力が決まってしまう。だが、強化が全くできないわけではない。武器強化システムの代わりにあるのが熟練度システムだ。
熟練度とは武器を使い込めば使い込むほど増えていく数値のことで――フリーダムの武器には、全て熟練度という機能が付いている。熟練度には、武器の攻撃力に最大50%までステータスを上昇させる能力があるのだ。
表情を曇らせ、名残惜しそうに手の中の刀を見下ろしているデイビッドの方に、涙を拭いた星が一本の刀を持ってデイビッドの側まで行くと、そっと彼の方に差し出した。
デイビッドはその刀を受け取るどころか、不思議そうな複雑そうな顔をして星の顔を見つめる。
「――星ちゃん。これはどういう事かな?」
「あ、あの……良かったら使って下さい」
「ははっ、使って下さい。って言われてもなぁ……」
デイビッドはそれだけ言って、困った顔でその刀を見て頭を掻いている。
すぐに受け取ってもらえるものだと思っていた星にとって、彼が受け取らないこの状況は予想していなかった。もう、どうしていいのか分からず。刀を持った両腕を前に突き出したまま、銅像の様に固まってしまっている。
そこにエリエがやってきてその刀を見ると、驚きの声を上げた。
「なにこれ! 見たことない武器じゃん! 星、この武器どうしたの!?」
「え、えっと……さっきの敵から出た……のかな?」
星はエリエにそう聞かれ、歯切れの悪い回答をすると小首を傾る。
エリエはそれを聞いて「どっちなの?」と聞き返すと、星は「ごめんなさい」とぺこっと頭を下げた。その直後、エリエの視線は星からデイビッドへと移る。
「――それでデビッド先輩はどうしてこれを受け取らないの?」
「いや。受け取れないだろう……これをリアルのショップで売れば、おそらく数十万の代物だぞ?」
「……だから?」
「だからってお前……」
デイビッドは不思議そうな表情で見上げているエリエを見て、大きくため息をついた。
本来ならば、現金で数十万と言われて物怖じするのが普通なのだが、どうやらエリエは育ちがいいのか、数十万単位では驚きもしないらしい……。
そのやり取りを見ていたエミルが、デイビッドに提案する。
「デイビッド。貰うのが心苦しいなら借りるって事にしたらどうかしら?」
「エミルまで……よし。分かったならこの世界から脱出できたらこの刀は君に返す。それでいいかい?」
「はい!」
星は嬉しそうに刀を受け取ったデイビッドに向かって、にっこりと微笑み返した。
星はドロップした刀をデイビッドに渡すと、今度はカレンの方に駆けて行って、まだ気を失ったままのカレンの顔を覗き込んだ。
「カレンさん……」
彼女とは色々あったが、それは昨日までのこと――今は大切な仲間だ心配するのは当然だろう。
心配そうな表情を浮かべている星の肩に手を置き、マスターが告げる。
「心配するでない。ここはゲームの中だ、HPが0にならなければ死にはせん。それよりも、お前の固有スキルはいったいなんなのだ。エミルと同じドラゴンを召喚できるものか?」
マスターはそう尋ねると、星の出したドラゴンを見上げた。
戦闘を終えても全く消える様子も見せない黄金のドラゴンに不思議そうに首を傾げている。
ドラゴン使いのエミルの召喚するドラゴン達は巻物から召喚され、用が終わればスッと消えるのだが。星の召喚したドラゴンは消えるどころかしっかりとその場に留まっていた。
その場で自分を見下ろしているドラゴンを見上げ、そのドラゴンに緊張しながら徐に話し掛ける。
「――れ、レイニール。ありがとう! あなたはこれからどうするの?」
すると、金色のドラゴンの大きな瞳が星を見据えた。
恐怖からビクッと体を震わせると、星の額から汗が流れた。内心『食べられるのではないのか?』などと思ったくらいだ。いや、実際に星をひとのみで飲み込めるほどの体格差はある。
だが、レイニールは不思議そうに首を傾げ。
「――どうするって、何を言っておるのだ主。スキルで召喚されたのだ、我輩はこれからは主と一緒にいるに決っておるだろう」
「……えっ?」
その予想だにしていなかったその返答に、星は困惑した様子で慌て出す。
それもそうだろう。レイニールの体長は80mはある。これだけ大きいドラゴンとなるとエミルの城にも自分の家にも入らない。かと言って、雨ざらしというのも可哀想だ――。
「そんな事より。デビッド先輩こそ大丈夫なの? 武器――壊れちゃったでしょ?」
それを聞いたデイビッドは、折れた刀をアイテムの中から取り出してエリエに見せた。
「大丈夫さ。確かに壊れたが、どうやら全損扱いではないらしいしな。これなら鍛冶屋に行って直せるからな。まあ、熟練度は少し惜しいが、また稼げばいいさ!」
「……そう。でもそれ、結構前から大事にしてたでしょ?」
デイビッドは表情を曇らせているエリエの頭をぽんっと叩くと「大丈夫だ」と親指を立てて微笑んだ。
武器は破壊されると、一部破損、全損扱いで大きく結果が異なる。一部破損ならば、鍛冶屋に行けば再び修復も可能だが、全損となるとまるでガラスが割れて飛び散る様な消滅エフェクトが発生して武器そのものを消失してしまう。
だが、一部破損でも安心はできない。それがデイビッドが言っていた『熟練度』だ――フリーダムには武器強化システムが存在せず。ドロップや作られた時点でその武器の能力が決まってしまう。だが、強化が全くできないわけではない。武器強化システムの代わりにあるのが熟練度システムだ。
熟練度とは武器を使い込めば使い込むほど増えていく数値のことで――フリーダムの武器には、全て熟練度という機能が付いている。熟練度には、武器の攻撃力に最大50%までステータスを上昇させる能力があるのだ。
表情を曇らせ、名残惜しそうに手の中の刀を見下ろしているデイビッドの方に、涙を拭いた星が一本の刀を持ってデイビッドの側まで行くと、そっと彼の方に差し出した。
デイビッドはその刀を受け取るどころか、不思議そうな複雑そうな顔をして星の顔を見つめる。
「――星ちゃん。これはどういう事かな?」
「あ、あの……良かったら使って下さい」
「ははっ、使って下さい。って言われてもなぁ……」
デイビッドはそれだけ言って、困った顔でその刀を見て頭を掻いている。
すぐに受け取ってもらえるものだと思っていた星にとって、彼が受け取らないこの状況は予想していなかった。もう、どうしていいのか分からず。刀を持った両腕を前に突き出したまま、銅像の様に固まってしまっている。
そこにエリエがやってきてその刀を見ると、驚きの声を上げた。
「なにこれ! 見たことない武器じゃん! 星、この武器どうしたの!?」
「え、えっと……さっきの敵から出た……のかな?」
星はエリエにそう聞かれ、歯切れの悪い回答をすると小首を傾る。
エリエはそれを聞いて「どっちなの?」と聞き返すと、星は「ごめんなさい」とぺこっと頭を下げた。その直後、エリエの視線は星からデイビッドへと移る。
「――それでデビッド先輩はどうしてこれを受け取らないの?」
「いや。受け取れないだろう……これをリアルのショップで売れば、おそらく数十万の代物だぞ?」
「……だから?」
「だからってお前……」
デイビッドは不思議そうな表情で見上げているエリエを見て、大きくため息をついた。
本来ならば、現金で数十万と言われて物怖じするのが普通なのだが、どうやらエリエは育ちがいいのか、数十万単位では驚きもしないらしい……。
そのやり取りを見ていたエミルが、デイビッドに提案する。
「デイビッド。貰うのが心苦しいなら借りるって事にしたらどうかしら?」
「エミルまで……よし。分かったならこの世界から脱出できたらこの刀は君に返す。それでいいかい?」
「はい!」
星は嬉しそうに刀を受け取ったデイビッドに向かって、にっこりと微笑み返した。
星はドロップした刀をデイビッドに渡すと、今度はカレンの方に駆けて行って、まだ気を失ったままのカレンの顔を覗き込んだ。
「カレンさん……」
彼女とは色々あったが、それは昨日までのこと――今は大切な仲間だ心配するのは当然だろう。
心配そうな表情を浮かべている星の肩に手を置き、マスターが告げる。
「心配するでない。ここはゲームの中だ、HPが0にならなければ死にはせん。それよりも、お前の固有スキルはいったいなんなのだ。エミルと同じドラゴンを召喚できるものか?」
マスターはそう尋ねると、星の出したドラゴンを見上げた。
戦闘を終えても全く消える様子も見せない黄金のドラゴンに不思議そうに首を傾げている。
ドラゴン使いのエミルの召喚するドラゴン達は巻物から召喚され、用が終わればスッと消えるのだが。星の召喚したドラゴンは消えるどころかしっかりとその場に留まっていた。
その場で自分を見下ろしているドラゴンを見上げ、そのドラゴンに緊張しながら徐に話し掛ける。
「――れ、レイニール。ありがとう! あなたはこれからどうするの?」
すると、金色のドラゴンの大きな瞳が星を見据えた。
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だが、レイニールは不思議そうに首を傾げ。
「――どうするって、何を言っておるのだ主。スキルで召喚されたのだ、我輩はこれからは主と一緒にいるに決っておるだろう」
「……えっ?」
その予想だにしていなかったその返答に、星は困惑した様子で慌て出す。
それもそうだろう。レイニールの体長は80mはある。これだけ大きいドラゴンとなるとエミルの城にも自分の家にも入らない。かと言って、雨ざらしというのも可哀想だ――。
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