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血路を開け!
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「そっちも終わったみたいだね!」
「ええ、結構きつかったけどね。何とかなったわ~」
サラザとエリエはお互いの無事を確認するかの様に互いに手を掴むと、2人は嬉しそうに微笑み合った。
辺りに派手に散らばる骨を見渡している。
部屋に入った時には気付かなかったが、足の踏み場もないほどのおびただしい量の骨が散らばっていた。
「まったく。あの数を良く倒せたもんだな」
「ふっ。デイビッドよ……お前も少しなまったか?」
デイビッドがむっとしながら声の方を向くと、そこにはマスターが立っていた。
マスターは少し不満そうな顔で腕組しながら、デイビッドを見ている。
「昔、お前と手合わせした時は、もっと獣のような男だったのにな……」
「そんな事言っても。マスターだって同じだろ? 可愛い女の子連れてさ」
言われてばかりではいられないと言わんばかりに、マスターの隣に寄り添っているカレンに視線を向けて、デイビッドが毒づく。
「確かに、儂もこいつが可愛くて仕方ない。もちろん、弟子としてだが……」
「――か、可愛いだなて……そんな……師匠。なっ、なに言ってるんですか!」
顔を真っ赤に染めてもじもじと体を揺らすカレン。
彼女の動作を見ていると、内心では物凄く嬉しそうだ――。
2人がそんなカレンを見て笑っていると、倒したはずのスケルトンの骨が一斉にカタカタと音を立てて再び集まりだした。
その場にいた7人は、慌てて一箇所に固り戦闘態勢を取る。しかし、その場にいた殆どの者が動揺を隠しきれない様子で、再びスケルトンの形になっていく骨を見つめている。
「これは、どういうことだ!?」
「分からないわ~。でも、この状況はやばいってオカマの勘が言ってる!」
「オカマとかはどうでもいいんだけど、これってちょっとまずいよ~。どうしてボスでもないのに再生とかできるの!?」
デイビッド、サラザ、エリエは慌てふためきながら、互いの顔を見合っている。
動揺するのも無理はないだろう。本来の仕様ならば、撃破したモンスターは撃破時のエフェクトで光となって空へと舞い上がっていく。
しかし、再生するというのは一部のしかもボス級のモンスターにのみ与えられた特権のようなものだった。
まさかそれが、こんな低級のしかもスケルトン如きに適用されるなんて誰も考えもしていなかったのだ。
「ほう、カレンよ。奴ら、まだやられたりないらしいな……」
「はい、師匠。良い鍛錬になりそうです!」
それとは対照的に、マスターとカレンは再び象られていくスケルトン達を見つめ嬉しそうに笑っている。
「……エミルさん」
星は不安そうな顔でエミルを見上げると、エミルの手が頭に乗った。
だが、彼女のその手は微かに震えている。
「大丈夫……大丈夫よ星ちゃん。私から離れないで!」
「は、はい……」
エミルはぎこちない笑みを浮かべながらそう言った。
その言葉に星は小さく頷くと、エミルの足にぎゅっとしがみつく。
エミルは大丈夫とは言っていたが、星も内心は今の状況がまずいということは分かっていた。
何事もなかったかのように蘇った敵――その圧倒的な物量の違いは、子供の星にも容易に理解できるものだった。
(このままじゃ……全滅する。でも、私に何ができるのかな……?)
星はそんなことを考えながら、不安そうに目の前を塞ぐようにして立っているスケルトン達を見た。
スケルトン達は再び星達に襲い掛かり戦闘になったが、前の戦闘の時とは違い。今度は呆気無く倒すことができた。
前回と今回の戦闘の違いは、皆が密集して戦ったことでお互いがお互いをカバーし合い。効率よく敵を撃破できたのが大きな要因だろう。
そしていつしか、スケルトンは最後の1体を残すのみとなった。
だが、スケルトン達は一度蘇ったのだ。もう一度蘇ってくると考えるのが普通だろう。しかし、ここにいるプレイヤーのほぼ全員が高レベルプレイヤーの集まり、同じ失敗を何度も犯すほど愚かでない。
「よし。ラスト1匹は殺さずに捕らえるんだ! おそらく、それでもう復活できなくなるはずだ!」
デイビッドがそう叫ぶと、彼の前を横切ったマスターが自分の道着の黒帯を外し、それを敵に向かって投げ敵を巻き付け縛りつける。
「よし! これでしまいだな!!」
マスターは満足そうに頷くと、帯に包まれぐるぐる巻になったスケルトンの元へと歩いていった。
これでやっと終わった――そう。その場にいた誰もが思っていた。その時、星がスケルトンのHPゲージが徐々に減っていることに気づく。
マスターの帯での締め上げが強すぎたのだ――。
「――マスターさん! モンスターが死んじゃいます!!」
「なにっ!?」
その声に気付いたマスターは慌てて帯を解こうと帯に触れた直後、スケルトンはまたバラバラの骨の姿へと戻ってしまった。
「ええ、結構きつかったけどね。何とかなったわ~」
サラザとエリエはお互いの無事を確認するかの様に互いに手を掴むと、2人は嬉しそうに微笑み合った。
辺りに派手に散らばる骨を見渡している。
部屋に入った時には気付かなかったが、足の踏み場もないほどのおびただしい量の骨が散らばっていた。
「まったく。あの数を良く倒せたもんだな」
「ふっ。デイビッドよ……お前も少しなまったか?」
デイビッドがむっとしながら声の方を向くと、そこにはマスターが立っていた。
マスターは少し不満そうな顔で腕組しながら、デイビッドを見ている。
「昔、お前と手合わせした時は、もっと獣のような男だったのにな……」
「そんな事言っても。マスターだって同じだろ? 可愛い女の子連れてさ」
言われてばかりではいられないと言わんばかりに、マスターの隣に寄り添っているカレンに視線を向けて、デイビッドが毒づく。
「確かに、儂もこいつが可愛くて仕方ない。もちろん、弟子としてだが……」
「――か、可愛いだなて……そんな……師匠。なっ、なに言ってるんですか!」
顔を真っ赤に染めてもじもじと体を揺らすカレン。
彼女の動作を見ていると、内心では物凄く嬉しそうだ――。
2人がそんなカレンを見て笑っていると、倒したはずのスケルトンの骨が一斉にカタカタと音を立てて再び集まりだした。
その場にいた7人は、慌てて一箇所に固り戦闘態勢を取る。しかし、その場にいた殆どの者が動揺を隠しきれない様子で、再びスケルトンの形になっていく骨を見つめている。
「これは、どういうことだ!?」
「分からないわ~。でも、この状況はやばいってオカマの勘が言ってる!」
「オカマとかはどうでもいいんだけど、これってちょっとまずいよ~。どうしてボスでもないのに再生とかできるの!?」
デイビッド、サラザ、エリエは慌てふためきながら、互いの顔を見合っている。
動揺するのも無理はないだろう。本来の仕様ならば、撃破したモンスターは撃破時のエフェクトで光となって空へと舞い上がっていく。
しかし、再生するというのは一部のしかもボス級のモンスターにのみ与えられた特権のようなものだった。
まさかそれが、こんな低級のしかもスケルトン如きに適用されるなんて誰も考えもしていなかったのだ。
「ほう、カレンよ。奴ら、まだやられたりないらしいな……」
「はい、師匠。良い鍛錬になりそうです!」
それとは対照的に、マスターとカレンは再び象られていくスケルトン達を見つめ嬉しそうに笑っている。
「……エミルさん」
星は不安そうな顔でエミルを見上げると、エミルの手が頭に乗った。
だが、彼女のその手は微かに震えている。
「大丈夫……大丈夫よ星ちゃん。私から離れないで!」
「は、はい……」
エミルはぎこちない笑みを浮かべながらそう言った。
その言葉に星は小さく頷くと、エミルの足にぎゅっとしがみつく。
エミルは大丈夫とは言っていたが、星も内心は今の状況がまずいということは分かっていた。
何事もなかったかのように蘇った敵――その圧倒的な物量の違いは、子供の星にも容易に理解できるものだった。
(このままじゃ……全滅する。でも、私に何ができるのかな……?)
星はそんなことを考えながら、不安そうに目の前を塞ぐようにして立っているスケルトン達を見た。
スケルトン達は再び星達に襲い掛かり戦闘になったが、前の戦闘の時とは違い。今度は呆気無く倒すことができた。
前回と今回の戦闘の違いは、皆が密集して戦ったことでお互いがお互いをカバーし合い。効率よく敵を撃破できたのが大きな要因だろう。
そしていつしか、スケルトンは最後の1体を残すのみとなった。
だが、スケルトン達は一度蘇ったのだ。もう一度蘇ってくると考えるのが普通だろう。しかし、ここにいるプレイヤーのほぼ全員が高レベルプレイヤーの集まり、同じ失敗を何度も犯すほど愚かでない。
「よし。ラスト1匹は殺さずに捕らえるんだ! おそらく、それでもう復活できなくなるはずだ!」
デイビッドがそう叫ぶと、彼の前を横切ったマスターが自分の道着の黒帯を外し、それを敵に向かって投げ敵を巻き付け縛りつける。
「よし! これでしまいだな!!」
マスターは満足そうに頷くと、帯に包まれぐるぐる巻になったスケルトンの元へと歩いていった。
これでやっと終わった――そう。その場にいた誰もが思っていた。その時、星がスケルトンのHPゲージが徐々に減っていることに気づく。
マスターの帯での締め上げが強すぎたのだ――。
「――マスターさん! モンスターが死んじゃいます!!」
「なにっ!?」
その声に気付いたマスターは慌てて帯を解こうと帯に触れた直後、スケルトンはまたバラバラの骨の姿へと戻ってしまった。
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